ベルリン金熊賞はイタリアの巨匠タビアーニ兄弟が戴冠
2012年2月20日 14:45

[映画.com ニュース] 第62回ベルリン国際映画祭の授賞式が2月18日(現地時間)に開催され、最高賞の金熊賞に、イタリアの巨匠タビアーニ兄弟の「Caesar Must Die」が選ばれた。映画祭の序盤に上映されながら、最後まで有力候補と目されていた本作は、実際の刑務所を舞台に、囚人たちを起用して撮影されたフィクションだ。
シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を囚人たちが演じるという大胆なアイデアで、彼らのライバル意識が現場にもたらすサスペンス。暴君のもとで自由を求めるキャラクターたちと、彼ら自身の境遇の共通性など、随所にフィクションと現実がオーバーラップし、金熊賞に相応しい見応えのある作品である。今年のコンぺ部門には若手監督の作品が目立ったが、最終的にはベテランに軍配が上がる結果となった。
同じく下馬評が高く、地元ドイツで人気のクリスチャン・ぺツォルド監督作「Barbara」は、監督賞に輝いた。2006年に「Yella」で最優秀女優賞を受賞したニナ・フォスとペツォルド監督が再タッグを組んだ新作で、田舎の診療所に引っ越して来る謎めいた女医の物語をサスペンス・タッチで描く。
審査員グランプリを受賞したのは、実際の事件を元に、迫害を被るロマの人々の姿をリアリスティックに描いたベンス・フリゴフのハンガリー映画「Just the Wind」。また最優秀女優賞には、「War Witch」でスクリーンデビューとは思えない力強い演技を見せた、14歳のアフリカの女優ラシェル・ムワンザ、最優秀男優賞には「A Royal Affair」で破天荒な王クリスチャン7世に扮したミケル・ボー・フォースガードが輝いた。
メイン部門ではないが、日本映画も健闘した。短編のコンぺティション部門に出品された和田淳監督のアニメ「グレート・ラビット」が審査員賞を受賞。「ジェネレーション14プラス」に出品された、原発事件後の未来を描いた平林勇監督の短編アニメ「663114」は特別表彰(スペシャル・メンション)賞を戴冠。さらにジェネレーション部門で、今泉かおり監督の「聴こえてる、ふりをしただけ」が、子ども審査員が選ぶ特別表彰賞を受け、フォーラム部門のヤン・ヨンヒの「かぞくのくに」は、CICAE(国際アートシアター連盟)賞を受賞した。日本映画も、若手監督たちが着実に海外に活動の幅を広げている印象だ。
全11日間にわたった今年のベルリン映画祭は、スティーブン・ダルドリー監督の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」や、シャーリーズ・セロン主演の「ヤング≒アダルト」など、華やかなハリウッド系の招待作品と、若手監督たちの意欲的なコンぺ作品の間でバランスのとれた映画祭となった。(佐藤久理子)
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