渡辺謙が新社会人にエール「君たちの力が必要」
2012年2月9日 19:05
[映画.com ニュース] 俳優の渡辺謙が2月9日、主演映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(瀧本智行監督)の公開を記念し、就職活動中もしくは今年から新社会人となる大学生約50名を対象に都内でティーチインを行った。本作のプロジェクトマネージャーも務める渡辺は、「あと50年くらいすると、日本は4000万人くらいの人口が減るといわれている。おれも頑張るけど、君たちの力が本当に必要。君たちが真面目に考えて今の日本の姿勢を正してくれないと、楽しい老後は待ってないからね」と冗談交じりにエールをおくった。
2010年6月13日、7年間60億キロの宇宙航海を経て小惑星「イトカワ」の微粒子を地球に持ち帰った小惑星探査機・はやぶさと、幾多の試練を乗り越え偉業を達成した科学者たちのドラマを描く。
渡辺の「単なるお客様じゃないところに映画を届けたい」という気持ちから、今月2日にも福岡・博多で同様のティーチインを敢行。学生からはハリウッドで活躍する渡辺に海外経験にまつわる質問が集中したが、「我々が思っているほど向こうは日本人かどうかなんて気にしていない。文化も習慣も食べ物も違うことが素敵であって、それを寛容し、自分がどう思うかをきっちり発信することが大事」とアドバイスした。そして、「湾岸戦争のとき、『参戦するとはどういうことなのか?』と朝日新聞に投書した。闘病中だったのでベッドの上から戦争映画のように弾丸が飛び交う映像を見て非常に心が震えていた。外国での経験がどうというよりは、俳優という仕事をしている一社会人としての意識が、年を重ねるにつれ深くなったのだと思う」と真しに語った。
また、作品のテーマについて質問が及ぶと「結末の分かっている話で、すごいよねってことだけを届けるのじゃ違うかなと思う。どんな状況でもいいから、人が困難を乗り越えていく姿を見せたかった。人としての生き方や仕事に対する生き方が伝わればいい」と説明。さらに、「リーマンショックで終身雇用が崩壊し、『仕事っていったい何?』っていう問いが生まれた。たとえ答えが出なくても、就活の前に仕事とは自分にとって何なのかきちんと考えておくべき。個人的には誰かのためになる、社会のためになるってことが仕事の醍醐味じゃないかな」と仕事観を熱く語った。
「はやぶさ 遥かなる帰還」は、2月11日より全国で公開。