西島秀俊“殴られ屋”で新境地「一生忘れない」
2011年12月17日 15:20

[映画.com ニュース] 俳優の西島秀俊が12月17日、東京・シネマート新宿で主演作「CUT」の初日舞台挨拶を、メガホンをとったアミール・ナデリ監督とともに行った。2005年、「東京フィルメックス」でナデリ監督との「運命的なものを感じる出会い」(西島)を経て、完成にこぎつけた本作。“殴られ屋”役で新境地を切り開き、「ついに初日を迎えることができた。この瞬間は一生忘れない」と感激しきりだった。
映画監督の秀二(西島)が、亡き兄が残した莫大な借金を返済するため、ヤクザ事務所に間借りし“殴られ屋”を営む姿を通して、死をも恐れず自らの映画愛を貫く男の生きざまが描かれている。
撮影中は西島自身も死を意識する瞬間があったといい「毎日、祈る気持ちで現場に向かった。それでも監督が『不可能を可能にするのが、この映画だ』と言うので、それに挑戦したかった」と述懐。すでにベネチア国際映画祭、釜山国際映画祭、東京フィルメックスなど国内外の映画祭で、西島のこん身の演技が話題を呼んでおり「この作品をきっかけに、アートにかかわる人、アートを愛する人から『何か新しいことをやろう』とたくさん連絡が来ている。今後、人生をかけて挑戦を続けたい」と語り、「いつかこの作品がシネコンで上映され、そこで舞台挨拶をする。それが一番の夢」と決意を新たにしていた。
一方のナデリ監督も「この作品は西島さんの勇気、才能、ハートがなければ完成しなかった。初日を迎えて、言葉にならないし、私自身が生まれ変わった気持ちです」と感無量。「今までの西島さんとはまったく違う姿を見てもらえるはず。特に舞踊のようなボディランゲージが素晴らしい」とたたえ、「今は彼のボディガードをしています」と、西島が主演するテレビドラマを引き合いに笑いを誘った。
さらに「日本に限らず、特に若い世代はハリウッド大作に洗脳されている。観客の感情を操り、お金をもうけるのは簡単だが、私はもっと誠実に、観客と経験の共感をしたい。インディペンデント映画が存在するためには皆さんの応援が必要です」と熱弁。本編には小津安二郎、溝口健二、新藤兼人、黒澤明、ジョン・フォード、オーソン・ウェルズら巨匠たちの作品へのオマージュが随所にちりばめられており、「過去の名作に触れる機会になれば。日本の映画史にもたくさんの傑作があるのです」。スタッフから名作のタイトルが刻まれたクッキー100枚がプレゼントされると「クッキーは大好物。本当にありがとう」と大喜びだった。
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