山田洋次監督、延期になった「東京家族」は来年3月に撮影開始の意向
2011年11月16日 16:16

[映画.com ニュース] 山田洋次監督が11月16日、脚本・演出を手がける初春新派公演「東京物語」の成功祈願イベントに出席し、水谷八重子、波乃久里子ら出演者を率いて、東京・柴又の帝釈天参道を練り歩いた。山田監督が、監督生活50周年を迎える記念作品として、2010年初春新派公演の「麥秋(ばくしゅう))」に続き、小津安二郎の名作映画を舞台化。「もともと小津さんの作品は、なじみのメンバーがそろったチームワークで知られている。前回の経験で、新派の魅力もまたチームワークなのだと理解できたし、今回もまた小津作品でご一緒できるのは光栄。何とか第一稿が完成したので、これからの稽古も楽しみです」と抱負を語った。
昭和28年の夏。久しぶりに東京に出てきた老夫婦が子どもたちの家を訪ねるが、それぞれの生活で精一杯で歓迎されない。そんななか、戦死した次男の未亡人だけが親身になってくれる。今回の舞台化にあたり、山田監督の意向で「寅さん」の柴又に隣接する葛飾区金町が舞台に選ばれた。「原作は荒川区だが、僕にとって、なじみがあるのは江戸川沿い。昭和28年頃、柴又は田んぼや畑が多かったが、金町あたりは住宅街で、長男がつましく医院を営む設定にも納得がいく場所」(山田監督)。また、大掛かりなセット転換はせずに、長男宅でのみ物語が展開するといい「制約を逆に面白がるのが戯曲の魅力。苦労と楽しみを味わいたい」と語った。
映画監督生活50周年を記念し、映画と演劇それぞれの形で、小津監督の「東京物語」にオマージュを捧げる新作に取り組んでいる山田監督。しかし、映画最新作となるはずだった「東京家族」は東日本大震災の発生を受けて、物理的事情と山田監督の意向によって、撮影が延期されている状態だ。この日、山田監督は「舞台が終わった後、改めて準備を進め、来年3月から撮影を開始したい」という意向を示した。
初春新派公演「東京物語」は2012年1月2日から1月24日まで、東京・日本橋の三越劇場で上演される。
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