ナ・ホンジン監督、邦題「哀しき獣」に感心しきり
2011年10月27日 13:12

[映画.com ニュース] 「チェイサー」で衝撃的な長編デビューを飾ったナ・ホンジン監督の最新作「哀しき獣」が10月26日、第24回東京国際映画祭のアジアの風部門で上映され、来日したナ・ホンジン監督がティーチインに出席した。
前作「チェイサー」の主演ハ・ジョンウと再びタッグを組んだクライムサスペンス。中国の朝鮮族自治州で、タクシー運転手の男が借金返済のために殺人を請け負い、向かった韓国で罠にはまり追われる身となってしまう姿を描く。
あるシーンについて疑問を投げかけられたホンジン監督は、「監督の僕があらすじを説明しなければならないって状況は避けたかったな(笑)。実は韓国でもわからないと話題になってネットに解説が載ったんだ。他にも理解できないところがあったらネットに説明を出すよ」と笑わせた。
原題である「黄海」の由来については、「僕も実際に中国への密航ルートである黄海をたどり、その時からシナリオのエンドマークを打つまで、ずっとタイトルにしようと決めていた。でも、『哀しき獣』にすればよかったかな」と本質をとらえた邦題に感心していた。また、韓国人留学生からの「暴力性の強い韓国映画が増えている」という指摘には、「暴力的な映画は興行成績に結びつかないから必ずしもトレンドだとは思わない。僕は現実には明らかに存在しているけど認めたくないもの、汚いものをあえて取り上げている。否定的な意味ではなく、前向きに捉えている」と答えた。
朝鮮族を描いたきっかけを聞かれると、「この質問は今日9本のインタビューを受けて毎回聞かれたから、答えるのは10回目(笑)。実は前作の『チェイサー』でサブプロットとして入れようと思っていたけれど反対されてしまったんだ」と説明。さらに、「だけど彼らがどんな風に生きているのか知って胸が痛くなった。故郷があるのにもかかわらず、別の場所で苦労して生きるということは、全ての外国人労働者に共通すること。そんな彼らの旅の過程を描きたかった」と語った。
「哀しき獣」は来年1月7日より全国で公開予定。
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