別所哲也“劇画の父”の半生を声で6役演じ分ける
2011年10月24日 14:33

[映画.com ニュース] 俳優の別所哲也が10月23日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第24回東京国際映画祭に、アジアの風部門に出品された長編アニメ映画「TATSUMI」の上映に際し、エリック・クー監督、原作者の辰巳ヨシヒロらとともに舞台挨拶に立った。声優として6役を演じ分けた別所は、「声を通じてキャラクターに命を与えるということがいかに大変で、そして意義深いことか勉強になりました」と感慨深げに挨拶した。
「TATSUMI」は、第64回カンヌ映画祭ある視点部門オフィシャルセレクション出品作でもあり、日本の“劇画の父”辰巳ヨシヒロの半生が描かれた「劇画漂流」と、辰巳の短編作品群とを交えた物語。シンガポール映画の旗手エリック・クーがアニメ化し、国際的に注目を集めている。昭和30年代の日本における庶民が抱く苦悩や哀愁、戦後の日本社会のリアルな姿を描いている。
俳優として挑戦しがいがあったという別所は、「高度成長時代の光と影、その時代を支えている(私たち日本人の)先輩たちが、どういう思いだったかということも、この劇画の世界を通じて学ぶことができました」と、改めて出演の喜びについて述べた。
約20年近く、辰巳の作品に魅せられてきたというクー監督は「辰巳先生に敬意を表する、“天才を世界により知らしめることを何かしなくては”という気持ちにかられて、この作品をつくることにしました」と製作にいたった経緯を語った。
辰巳は昭和30年代、大人が読める漫画をコンセプトに、“劇画”という分野を開拓した漫画家。辰巳の半生を描いた「劇画漂流」は、2009年手塚治虫文化賞マンガ大賞、2010年にはアメリカのアイズナー賞最優秀アジア作品と、最優秀実話作品の2部門を受賞。日本のオルタナティブ・コミックの第一人者として、さらには日本漫画を芸術へと昇華させたとして、世界的に辰巳の作品への再評価が進んでいる。
クー監督の挨拶の間、目を閉じて耳を傾けていた辰巳は「この20年の間にいろんな映画の(依頼の)話がありましたけど、全部契約前に流れてしまいまして。そのトラウマが尾を引いていました」と、完成まで不安を抱えていたことを吐露。そして、「とうとうこの日を迎えることになり、僕は入学試験の合格発表以来のバクバクした気持ちでいます」と感激の思いを語った。
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