福島第1原発の危険性に警鐘を鳴らすドキュメンタリーが公開
2011年7月20日 12:59

[映画.com ニュース] 原子力発電所の危険性を訴えるドキュメンタリー「あしたが消える どうして原発?」の試写会イベントが7月19日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた。1989年に製作された同作は、東日本大震災による事故により、現在甚大な被害をもたらしている福島第一原子力発電所の元設計士が、4号機の一部がいびつな形で納品されたことを明かし、「いつか大事故が起こる可能性」を示唆するなど、重大な証言が収録されている。
22年前に製作された同作は、原発反対運動にかかわる人々が中心となり地域のホールで上映されたことはあったものの、テレビ放送や大きな劇場で公開されることはなかった。平方則安プロデューサーは「チェルノブイリの事故が起きたとき、日本で同じことが起きたらどうなるんだろうと思い、自然発生的に作った映画。22年後の公開に当たり、複雑な思い、無力感にさいなまれている」と、事故後の劇場公開について無念そうに語った。
原発の保守点検に携わる父親を骨がんで亡くしたひとりの女性にスポットを当て、チェルノブイリ原発事故がもたらした被害の状況とともに放射能の危険性を説明する。さらに、日本の原発で働く被曝(ひばく)労働者たちが、過酷な労働環境や利益のみを追求しようとする電力会社の体質について証言する。
作品の最後には、「福島原発で大事故が起こったときに、日本全土がチェルノブイリと同じように危険地帯に一変する」と今回の事故を予言するかのように、明言されている。本作の監修を務めた原子力資料情報室共同代表の西尾漠氏は、「(今の日本は)放射能と共存せざるを得ないところにいる。映画は予言するような形になっているが、起こるべきして起こった事故。22年前に訴えたかったことを改めて訴えたい」と力強く語った。
「あしたが消える どうして原発?」は8月6日からユーロスペースで公開。
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