岩井俊二監督「今の日本を撮りたい」地元被災で心境に変化
2011年4月17日 22:06
[映画.com ニュース] CS日本映画専門チャンネル「日本邦画劇場」の放送500回を記念した特別番組の公開録画が4月17日、都内で行われ、同番組で放送される「リリィ・シュシュのすべて」(2001)の岩井俊二監督と蒼井優が当時を振り返った。
美しい田園風景が残る地方都市を舞台に、いじめや援助交際、自殺といった問題と向き合う中学生の痛みを繊細なタッチで描写した、岩井監督の代表作。蒼井をはじめ、当時14歳だった市原隼人が銀幕デビューを果たしている。10年の時を経て「原石が集まった作品。とても幸運だった」(岩井監督)。蒼井も「いい思い出であり、誇り。女優の仕事は常にグレーゾーンでのせめぎ合いだが、この作品が自分のスタートだと思うと心強い」と胸を張った。
岩井監督はカナダのバンクーバーで撮影した最新作「Vampire」で、蒼井を日本人唯一のキャストとして起用。蒼井にとっては、「リリィ・シュシュのすべて」「花とアリス」「虹の女神 Rainbow Song」(プロデュース)に続く岩井組への参加で、血を愛する“吸血鬼”の男と対じする日本人留学生を演じる。
蒼井は、「英語でセリフをしゃべる自分に、最初は笑えてしまった」という。すでにサンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭などで上映されており、岩井監督は「衝撃的なシーンもあり、賛否が分かれた。具合が悪くなる人もいて……」と現地の反応を報告。日本での公開時期については未定だが、現在最終的な調整に入ったという。
オーランド・ブルーム主演の「ニューヨーク、アイラブユー」「Vampire」と海外での映画製作が続く岩井監督は、「日本が恋しい。海外にいるからそう思うのかも」と吐露。3月11日に発生した東日本大震災では、地元・宮城県仙台市も大きな被害に見舞われた。「震災後、『今の日本を撮りたい』という気持ちがなおさら強くなった。自分が青春時代を過ごした仙台市で、今の若い子も青春を送るんだなと思うと、ふと『何か作らなきゃ』と考えるようになった」と日本で新作を撮影する可能性を示唆した。
日曜邦画劇場「リリィ・シュシュのすべて」は5月8日、日本映画専門チャンネルで放送。
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