「インセプション」のデザイナー ノーラン監督は「マジシャンのよう」
2010年12月28日 11:24
[映画.com ニュース] 「インセプション」でプロダクション・デザイナーを務めたガイ・ヘンドリックス・ディアスが、アカデミー賞監督賞の有力候補といわれる同作のクリストファー・ノーラン監督に、強力なエールをおくった。
米ロサンゼルス・タイムズ紙は、ディアスの寄稿文を掲載。「クリスには、複雑なコンセプトを本質まで絞り込める生まれつきの才能があります。非常に直観的で、マジシャンのように考えるのです」と絶賛している。
ディアスは、スティーブン・スピルバーグ監督(「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」)をはじめ、ブライアン・シンガー監督(「スーパーマン・リターンズ」)、テリー・ギリアム監督(「ブラザーズ・グリム」)ら有名監督と仕事をしてきたが、どんなに難しいショットでもVFXを極力避けようとするノーラン監督の姿勢には驚かされたという。
「彼は、ハリウッドの大半の若手監督とは違うとすぐに気づきました。役者から素晴らしい演技を引き出し、映画にリアリズムを与える最高の手段は、すべての出来事をカメラの前で起こすことだと信じているのです」
しかし、非現実的な現象をVFXに頼らずに映像に収めるのは容易なことではない。ディアスをはじめとする主要スタッフは、同作のプリプロダクション中に過去の名作を鑑賞し、かつてのフィルムメーカーがいかに問題を解決したか徹底的に研究したという。現場で壁にぶつかることもしばしばで、そんなときに解決法を提示するのはいつもノーラン監督だったそうだ。
たとえば、無重力状態でアクションを展開する廊下の場面で、セットの長さが足りないという問題にぶつかった。普通ならば増設すれば済むが、セットそのものが回転する仕掛けなので、ノーラン監督は鏡を利用することで廊下を長く見せるアイデアを思いついたのだという。「イリュージョンを生み出すことこそが大事なのだと、クリスは教えてくれました」
ちなみに、ディアスは日本のソニーでプロダクト・デザイナーをしていた経験を持ち、現在はスピルバーグ監督の最新作「Robopocalypse」を担当している。
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