映画化きっかけに復刊した小説「海炭市叙景」、異例の書店員割引実施
2010年12月17日 12:54
同作は、佐藤さんの故郷である北海道・函館をモデルにした“海炭市”を舞台に、さまざまな事情を抱えた人々の人生を交錯させ、地方都市の憂うつと再生を繊細なタッチで描く群像劇。「鬼畜大宴会」の熊切和嘉監督がメガホンをとり、加瀬亮、谷村美月、南果歩、小林薫ら演技派俳優陣が結集した。
5度も芥川賞候補に挙げられながら受賞かなわず、41歳で自らの命を絶った佐藤さんの遺作を映画化。原作は36編で構成される予定だったが18篇までの未完で終わっており、91年に集英社から単行本が出版されたが絶版となっていた。今年、映画製作実行委員会の熱心な呼びかけにより小学館から文庫本が出版されると、重版を重ねる売れ行きとなり、およそ20年間忘れられていた作品に再び光が当たった。
人気原作の映画化が相次ぐなか、映画化をきっかけに小説が再版され再評価されることは異例なこと。そこで、より多くの人々に映画と小説の存在を認知してもらうため、関東公開3劇場で書店員特別割引が実施される。劇場窓口で書店員であることが証明できる名刺やネームプレートを提示すれば、大人1人1200円で鑑賞できる。
「海炭市叙景」は12月18日から、全国60スクリーン規模で公開。