過激なAVシーンに絶句…「名前のない女たち」主演女優2人が明かす撮影秘話
2010年9月3日 11:24
[映画.com ニュース] 日雇いでセックスを売る企画AV女優の素顔を描いた「名前のない女たち」が9月4日に公開される。体と精神をすり減らしながら過酷なAV業界に生きる女性たちを体当たりで演じた、主演の安井紀絵、佐久間麻由に話を聞いた。
同作は、中村淳彦の同名ノンフィクションの映画化で、ピンク四天王の雄と称される佐藤寿保監督がメガホンをとった。街中で落としたメガネを拾ってくれたスカウトマンとの出会いをきっかけに、地味なOLからコスプレ女優ルルとして変ぼうをとげていく主人公を演じた安井は、映画初主演。「ルルは純粋でまっすぐな子だけれど、自分に自信がなくて、人付き合いも苦手。少し私と似ているなと思いました。脚本を読んで共感できるところもありましたが、かなり過激なシーンもあり、とにかく無我夢中で演じました」と振り返る。
これまで舞台を中心に活動してきた佐久間が演じるのは、元ヤンキーの先輩女優・綾乃。キレやすい性格ながら、男に貢ぐために感情を押し殺してAVの仕事を続けている。「以前、AV女優の方とお仕事させていただいたことがあるのですが、すごく優しくて親しみやすい素敵な女性だったんですね。今回、資料としてAVは見ました。でも、連想する典型的なイメージよりも、葛藤(かっとう)しながら頑張って生きている普通の女の子の部分をすくい取りたいと思いました」
安井は、ブルーのウィッグにセーラー服姿で渋谷ロケも敢行した。撮影中、外国人観光客に写真を撮らせてほしいとせがまれて困惑したと笑うが、AVシーンでは極度の緊張に体が震えたという。「台本だとト書きで1行、『○○されるルル』とあるだけなんですよ。でも、予想していた以上にきつく縛られたり、ハードで長いシーンだったりして、絶句することもありました。この役を引き受けたからには覚悟を決めたつもりでしたが、実際は恐怖心と戦いながら必死でしたね」
ファンがつき、売れっ子になるにつれ、現実の世界から逃避し、より厳しい条件の仕事に身を投じていくルル。そんな彼女を疎ましく思いながらも見守り、徐々に心を開いていく綾乃にも、思いがけない事態が巻き起こる。2人が全裸で笑いあい、すべてをさらけ出すクライマックスのシーンは、不器用にしか生きられないルルと綾乃の切実さが胸を打つ印象的な場面だ。
佐久間は、「安井さんと私にとっても、ルルと綾乃にとっても、心に抱えていたものをぶつけ合えた瞬間でした。あの日の出来事を、ルルと綾乃はお互いに一生忘れないだろうし、初めからそうやって気持ちを人に伝えることができれば、彼女たちはAVの世界に入っていなかったと思うんですよ。個人的にもすごく気に入っているシーンです」と明かす。
不安や孤独に押しつぶされそうになりながらも、懸命に前に進もうとするルルと綾乃の姿に、若い女性なら多少なりとも自分の影を重ねずにはいられないだろう。AVがテーマの作品ではあるが、「殻を破って生まれ変わろうとするルルの成長物語として、先入観を持たずに見てほしいです」(安井)、「女性は目を伏せがちな題材ですが、直視してほしいなと思います。こうやって生きている女の子たちもいるんだということを、分かっていただけるとうれしいです」(佐久間)と、柔らかな笑顔を見せた。
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