呉監督「オカンの嫁入り」で宮崎あおい&大竹しのぶに関西弁を徹底指導
2010年9月3日 17:29
[映画.com ニュース] 「酒井家のしあわせ」(2006)で長編監督デビューを果たした呉美保監督の第2作「オカンの嫁入り」が9月4日から公開となる。咲乃月音の小説「さくら色 オカンの嫁入り」を原作に、大阪の下町に生きる母娘のきずなを描いた家族ドラマ。若い男を家に連れ込み突然結婚すると宣言した母親・陽子に大竹しのぶ、母の言動に戸惑い葛藤(かっとう)する引きこもりの娘・月子に宮崎あおいが扮している。
「原作者の咲乃さんは、大竹さんをイメージして陽子のキャラクターを作ったそうなので、私がこの企画に入った段階では大竹さんはもう決まっていました。そこで、大竹さんに匹敵するというか、太刀打ちできる若い女優さんって誰だろうって考えたときに思い浮かんだのが宮崎さんでした。宮崎さんは出演作をじっくり選ぶと聞いていましたが、原作をすでに読んでいたということですぐに出演を決めてくれました。運がよかったですね」
人気女優2人をキャスティングできたが、宮崎と大竹はともに関東出身。監督は方言指導担当とともに、2人に対して念入りな関西弁の指導を行った。
「私自身、関西弁が下手な映画やドラマって見ていられないのです。役者さんたちが話す方言のニュアンスが少し違うだけで話に集中できなくなってしまうのです。この点だけはかなり気をつけましたし、さらに、大竹さんと宮崎さん以外の登場人物は関西ネイティブの役者さんに演じていただいたので、その環境もあってか、お二人は自然の流れで関西弁になじんでいました。おかげで宮崎さんと大竹さんの関西弁は全く違和感無いと思います」
方言指導以外でも宮崎とは月子という役について、とことん話し合った。宮崎は「いままでで監督と一番ディスカッションをした映画」と本作を振り返っている。
「宮崎さんは自分自身の思考と自分が演じるキャラクターの思考を同化させた上で、ウソなく役に入っていく方でした。なので私も正直に月子というキャラクターについての私の考えを話しました。その上で宮崎さんには、納得できるところ、出来ないところを言ってもらって、お互いの意見をすり合わせて、相違点をひとつひとつ潰していきました。幸い、撮影スケジュールがシーンの順番だったので、いつのまにかお互い熱くなってましたね。とことん話し合うことができ、そういう意味では非常に贅沢な“映画作り”ができたと思っています」
デビュー以来、家族をテーマにした映画を撮り続けているが、家族ドラマが特別好きなわけではないという。
「家族を絵空事のように描いているドラマや映画は苦手ですね。今回の作品では、絵空事ではない、どこにでも存在しそうな家族を通して、私自身が原作から受け取ったテーマ『当たり前だと思っている日常は、ともすればすぐ先でなくなってしまうかもしれない』ということを伝えようと思いました。今回は母と娘の物語でしたけれど、これからも映画を通じてさまざまな“家族のカタチ”を描いていきたいです」
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