ミッキー・ロークが勝てなかったイタリアの名優とは?
2010年6月25日 16:46

[映画.com ニュース] イタリアの名匠プピ・アバティ監督作「ボローニャの夕暮れ」に主演し、第65回ベネチア国際映画祭で主演男優賞に輝いたシルビオ・オルランドに話を聞いた。
物語の始まりは1938年のイタリア・ボローニャ。高校の美術教師として働くミケーレ(オルランド)は、同じ高校に通う内向的なまな娘ジョバンナ(アルバ・ロルバルケル)のことをいつも気にかけていた。そんなある日、ジョバンナが嫉妬(しっと)心から親友を刺し殺す事件を起こしてしまい……。第2次世界大戦前後の激動の時代を背景に、父・母・娘の3人の人生を見つめる。
「赤いシュート」「息子の部屋」などナンニ・モレッティ監督作の常連でもあるオルランドは、アバティ監督とは今回が初タッグ。初めて脚本を読んだときのことを振り返り、「脚本は全編通して感動的だったし、ミケーレはとても力のあるキャラクターだと感じたんだ。この役を演じることで、自分とは違うキャリアが築けると確信した」と語る。その確信は的中し、ベネチア国際映画祭で下馬評の高かった「レスラー」のミッキー・ロークから主演男優賞を奪い取った。
殺人を犯したジョバンナは裁判の結果、24歳になるまで精神病院に入院することになってしまう。そんな娘を献身的に支えたのが、父ミケーレだ。「ミケーレが娘のためを思って取った行動は、実は娘の存在を利用して自分の考えを一方的に押しつけている。それが悲劇を引き起こし、娘の弱さに気づかなかったミケーレは罪の意識にさいなまれる。そして彼は自分の人生をあきらめることになるのだけど、『娘を守り抜きたい』という本当の気持ちに気づけたのだから、彼なりに納得のいく選択だったんじゃないかな」
映画では1930~50年代におけるイタリアの家族が描かれているが、昨今日本で父親の威厳が失われつつあるように、イタリアでも父親という存在に変化が表れているという。「父親が一家の長たる存在だった昔に比べ、今は映画などでも描かれるように“マンマ(母親)”の存在がすごく大きいんだ。それと最近のイタリアでは、子どもが経済面でいつまでも親に依存する傾向にあるね(笑)」
「ボローニャの夕暮れ」は6月26日公開。
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