「ザ・コーヴ」上映館が決定!東京、横浜などで7月3日から公開
2010年6月21日 19:01
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[映画.com ニュース] 市民団体などからの度重なる抗議活動の末、東京での上映が急遽中止となった「ザ・コーヴ」が7月3日から東京のシアター・イメージフォーラム、横浜ニューテアトルなど全国6館で上映されることが決定した。6月21日、東京・千代田区の霞ヶ関にある弁護士会館で行われた上映中止に関する緊急シンポジウムで発表された。
同作は、和歌山県・太地町にある入江で行われているイルカ漁を追ったドキュメンタリー。今年の第82回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、国際的な評価を得る一方、立ち入り禁止区域をリモコン飛行機で撮影するなど、地元からは反発を招いていた。6月26日から上映を予定していた東京・シアターN渋谷などに、抗議電話や市民団体の抗議による街宣活動が行われたことから、同館を含めた一部上映館での上映中止を決めた。
配給を手がける株式会社アンプラグドの加藤武史代表は、抗議活動及び上映中止の経緯を説明した上で、改めて上映館が決定したと発表。「我々としては今後、考えられるであろう抗議について対応を検討し、劇場さんに負担をかけないような配慮をしたい」とコメント。また、現時点では上映を応援する電話も増えている状況だといい、「まずは見た上で賛成反対の意見が出るような状況にしたい」と劇場上映への思いを語った。
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今回、同作の上映を決定した大阪・第七藝術劇場、京都・京都シネマ、名古屋・シネマテーク、宮城・フォーラム仙台、青森・フォーラム青森は、08年に同じく抗議活動による上映中止で議論を集めた「靖国」を上映した劇場だ。第七藝術劇場の支配人、松村厚氏は「前回(「靖国」)とは違って、抗議の電話は基本的に短めである意味紳士的。現在は粛々と上映できるよう準備している。もちろん抗議による、いらぬストレスがあるのは事実」。京都シネマの代表取締役、神谷雅子氏は「今回は、(抗議)活動している人たちの実体が見えない点が大きな違いで、不安な点」と語り、シネマテークの支配人、平野勇治氏も「地方のミニシアターはスタッフも少ない。ちょっとしたトラブルで疲弊している現実もある」と話した。
また、シンポジウムには欠席したシアター・イメージフォーラム支配人の山下宏洋氏は「上映を決定した理由としては、上映依頼があり、見たいというお客様がいらっしゃるということ、それ以上他にありません。独立系単館映画館である当館として、この作品を上映できないことで、上映される映画の幅が狭まっていくような事態は避けたいと思っています」と書面でメッセージを寄せた。なお、出席予定だった横浜ニューテアトルの代表取締役である長谷川善行氏は急きょ欠席。シンポジウム当日から同劇場で、街宣活動が始まったからだといい、月刊「創」編集長の篠田博之氏は「厳しい状況に転ずる可能性がある」と楽観視できない現実を指摘した。
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シンポジウムにはジャーナリストの田原総一朗氏、崔洋一監督らも出席。田原氏は「端から敵陣に乗り込むという感覚で、漁師を犯罪者として捉えている。ノンフィクションではないが、宣伝映画としてはよくできている。すごく面白いんですよ。最後の血の海なんて、見事に撮っている」と作品を評し、崔監督も「ある意味プロパガンダ的作品。だからといって、右とか左とかの観点で否定するのはナンセンス。どこが反日なんだろう、反日って概念何だろうと。エンターテインメントとして面白い」
さらに崔監督は「映画を見るのは自由でなければいけない。だから映画館は存在しうる。コンビニで気に入らないもの置いてるからって、街宣かけるか? よその店で何か買うだろ」と語り、「上映断固支持、それだけです」と上映を英断した劇場にエールを送った。
「ザ・コーヴ」はアンプラグド配給で、7月3日から全国順次ロードショー。
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