加瀬亮、主演最新作「海炭市叙景」で初の父親役に意欲新た
2010年3月20日 08:55
[映画.com ニュース] 加瀬亮の主演最新作「海炭市叙景」の北海道・函館での撮影現場を独占取材した。芥川賞候補に5度ノミネートされながら41歳で自殺した作家・佐藤泰志の遺作を熊切和嘉監督が映画化するもので、加瀬は5編からなるオムニバス作のうち「裂けた爪」で主演を務める。
同作は、佐藤の故郷である函館をモデルにした架空の地方都市・海炭市を舞台に、バブルが破綻した80年代にさまざまな事情を抱えた人々が必死に生きる姿を描く。加瀬が演じるプロパンガスを扱う燃料店を経営する目黒晴夫は、後妻が息子を虐待していることを疑いながら、元同級生と浮気を重ねている後ろめたさも手伝って問いただせずにいるという役どころだ。
撮影は、2月16日に小林薫と南果歩が夫婦を演じる「黒い森」からクランクイン。加瀬は同22日に函館入りし、25日から本格的な撮影に入った。「裂けた爪」には大森立嗣、あがた森魚、伊藤裕子が出演しているが、オーディションを経て大抜てきされた妻・勝子役の東野智美さんや息子・アキラ役の小山燿くんらは一般の函館市民。原作の世界観に強くひかれた熊切監督が、「既成の俳優だけでも映画は成立するが、今回はそこに止まってはいけないような気がする。さらに上の映画を目指すために、大胆な素人俳優の抜てきが必要だった」と“地元採用”に踏み切った。
加瀬は、この状況を「地元の人々は手あかがついていないし、本当に素晴らしいですよ」と楽しんでいる様子。行き場のない葛藤(かっとう)を胸中に抱えた役どころについて、「今、僕は背伸びをしないといけない時期に差し掛かっているんですよ。年齢的にも微妙だし、試行錯誤しながらやっています。初日からてこずっていますけどね」と初の父親役に意欲新た。熊切監督からオファーを受けた際には、「10回くらい断ったんですが、どうしてもって言われて。でも、こういう役を監督が僕にやらせてみようと思ってくれたことがうれしかった」と真しに語った。
熊切監督の期待に応えようとする加瀬は、カメラが回っていない撮影の待ち時間でも設定に合わせて足をひきずり、役になりきるひと幕も。本番前に加瀬と入念の打ち合わせを繰り返していた熊切監督は、「僕も加瀬君も同い年。いくつかある役のなかで、これは加瀬君がやれるという狙いがあった。ナイーブな役を演じることが多いけれど、本来、彼は男らしいところのある人だから、そういう部分を引き出したかった」と出演に至る経緯を説明した。
そして、演技経験のない一般人を出演させるという思い切った決断について「最初は『失敗したらどうしよう……』とも思いましたが、こんなにうまくいくとは思いませんでした。勝子(加瀬の妻の役名)なんて最初はひどかったし、今だって上手ではないけれど迫力がありますから。すごいですよ」と太鼓判を押した。撮影は、デジタルではなく16ミリフィルムを使用。「黒い森」以外のパートでは、「まだ若い廃墟」に竹原ピストルと谷村美月、「ネコを抱いた婆さん」に山中崇、「裸足」に三浦誠己、森谷文子、村上淳らが出演している。3月20日に全編クランクアップし、編集作業に入る。
「海炭市叙景」は、12月から東京・渋谷のユーロスペースほか全国60スクリーン規模で順次公開予定。
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