俳優生活50年を迎えた松方弘樹の新作「ザ・ボディガード」
2010年3月5日 18:01
[映画.com ニュース] 「仁義なき戦い」「修羅の群れ」といったヤクザ映画から、「柳生一族の陰謀」「江戸城大乱」などの大作時代劇、人気TVシリーズの「名奉行 遠山の金さん」まで、幅広く活躍する日本映画界のベテラン松方弘樹の最新主演作「ザ・ボディガード」が今週末より公開となる。本作は任務中のミスで人を殺めて引退した元SPの黒沢(松方)が、政財界の大物の指令により職務に復帰し、新進気鋭の画家を警護するうちに人間性を取り戻していく姿を描いたサスペンス・アクション。松方は御年67歳とは思えないほどの体のキレで、凄腕のボディガードを見事に体現している。
「現代劇ではボディガード役というのはあまりないですが、時代劇では人を守る用心棒みたいな役はこれまでにたくさん演じてきましたからね。現代の日本でボディガードというと政治家を警護するSPが有名ですけど、今回は、表には立ってないけど、警察機構のなかで確実に存在するボディガードのプロフェッショナルを意識して演じました」
だが、ボディガードを演じるにあたっての特別な役づくりはしなかったという。
「僕たちが若い頃は年間20本くらいのプログラム・ピクチャーに出演していて、役者というのは撮影現場に出て演じるということ自体がトレーニングみたいなもの、という考え方になっているからね。だから特別な準備はしません。だけど、共演者に若い人が多いので、常に体が動くようにしておきたいと思ってウォーキングくらいはしましたけどね」
映画出演本数は150本を超え、今年で俳優生活50年を迎えた松方。その映画人生のなかでも大きな存在だったと語るのが、03年に亡くなった深作欣二監督と「893愚連隊」「脱獄広島殺人囚」などでコンビを組んだ中島貞夫監督だ。自身も03年に「OKITE/掟」で映画監督デビューを果たしているだけに、2人の巨匠への尊敬は篤い。
「中島さんとは『893愚連隊』で隠し撮りをしたり、テスト無しのぶっつけ本番もやって、いろんなことをして遊びましたよね(笑)。それから作さん(深作監督)とは70年代に『仁義なき戦い』をはじめ、多くの映画で組みましたけど、あの人はアクション、笑い、そして女性も描けたので、僕は黒澤明さんに勝るとも劣らない偉大な監督だと思っているんです。それにしても、映画監督ってものすごくパワーがいるんですよ。本当に大変で、はるかに役者のほうが楽ですよ(笑)」
「ザ・ボディガード」は3月6日より、渋谷シアターTSUTAYAで限定1週間レイトショー。