イランの映画一家に育った20歳の美人監督が来日!「子供の情景」会見
2009年3月6日 12:00
[映画.com ニュース] イランを代表する映画監督モフセン・マフマルバフの末娘ハナ・マフマルバフ監督の初長編監督作品「子供の情景」が4月18日に公開される。3月5日、東京・神保町の岩波書店セミナールームにて、来日した弱冠20歳の美人監督による本作の記者会見が行われた。
映画は、いまだ戦争の爪痕が残るアフガニスタンの山岳地帯バーミヤン(同地の渓谷にある古代遺跡は世界遺産に認定されている)に暮らす貧しい少女バクタイが、学校に行くために文房具を手に入れようと奮闘する姿を寓話的に描く。監督は18歳で撮影に入り、19歳で本作を完成させた。
母マルズィエ、兄メイサン、姉サミラも映画作家という世界的に有名な映画一家で育った監督は、子どもの頃から父親の撮影現場で遊んでいたそうで、「父が書いた本『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない。恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』(現代企画室刊)にインスパイアされ、アフガンの子どもたちの痛みを描こうと思った。それはイランとアフガンに共通する痛みというより、戦争が起きている国ならどこでも共通する痛みだと思う」と話した。父親から映画製作を学び、わずか8歳で短編映画を撮影したという監督は、「芸術家というのは創るというよりは自分の中にあるものを発見し、人に見せることが仕事。映画は国境を越える1つの語学ね」と独自の芸術論を語った。
本作はその作風やストーリーから、イランの名匠アッバス・キアロスタミの「友だちのうちはどこ?」(87)を想起させると言われているが、監督はまだ同作を見たことがないそうだ。しかし、「子どもの映画を撮ると、過去の同様の作品と必ず比較されるけれど、共通するのは“子どもは純粋”という点だけで、ストーリー自体は全然違うと思う」と堂々とコメント。物怖じしない性格と早熟な才能で、イラン映画界に新風を巻き起こすかもしれない。