ベルリン映画祭新人作品賞受賞の熊坂出監督、凱旋上映の受賞作を語る
2008年4月25日 12:00

[映画.com ニュース] 今年2月に開催された第59回ベルリン国際映画祭にて最優秀新人作品賞を受賞した熊坂出(くまさかいずる)監督の「パークアンドラブホテル」が今週末より、いよいよ日本公開となる。05年、短編映画「珈琲とミルク」をぴあフィルムフェスティバル(PFF)に出品し入選。企画コンペを経て、PFFスカラシップ作品として製作され、ついにはベルリンで栄誉に輝いた本作について、熊坂監督に話を聞いた。
本作は、都心のラブホテルの屋上を公園として解放している初老の女性オーナー艶子(りりィ)と、そこを訪れる3人のワケあり女性たちとの交流を描いた人間ドラマ。元来、大人たちがセックスを楽しむ場所であるラブホテルと、子供や老人たちが集って遊ぶ公園を組み合わせた設定がユニークだが、監督は元々ラブホテルという特殊な場所が好きだったとか。「ラブホテルって虚飾だけど、中で行われていることは凄くリアルで本能的じゃないですか。あの対比がとても面白いと思うんです。取材で渋谷・円山町をはじめ、いろいろなラブホ街に行きましたけど、やっぱり何かエネルギーがありますよね(笑)」
当初の設定では、主人公は艶子ではなく、ラブホテルの屋上に遊びに来る女の子だったという。「初めはラブホテルの屋上に遊びに来る女の子を中心にしたコメディタッチの群像劇でした。だけど、プロデューサーから『この映画で一番キャッチーなところは、ラブホの屋上を公園にしているおばあちゃんの話なのでは』と指摘されて、艶子を中心に組み立て直してみたんです。そこで、艶子を立たせるために一番機能するキャラクターは誰かということで、本編に出てくる3人の女性が残ったわけです。なので、最初から女性映画として描こうと思っていたわけではありません」
紆余曲折を経て主人公となった艶子だが、熊坂監督が初めから艶子役に考えていたのがシンガーソングライターで女優のりりィだった。「『ヴィタール』(塚本晋也監督)のりりィさんを見てすごくいいなあと思っていました。ただ、決め手というのは特になくて、非常に漠然と感覚的に、彼女にしようと思ったんです。彼女の魅力っていうのは言語化しにくいんですけど、魅力を一つ挙げるとすると、誰に対しても分け隔てなく接するところでしょうか」
艶子のキャラクターは、何らかの形で自分の母親の影響を受けていると話す監督。「ある種、母に捧げる作品になっています。僕の母親は普段辛口であまり誉めない人なんですけど、この映画のことは誉めてくれたので、嬉しいですね」
「パークアンドラブホテル」は4月26日よりユーロスペースほかにてロードショー。
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