リ・イン監督、田原総一朗らが抗議「靖国 YASUKUNI」緊急記者会見
2008年4月11日 12:00

[映画.com ニュース] 4月12日からの公開が決定していたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の政治的圧力・上映中止に抗議する緊急記者会見が4月10日、東京・永田町の参議院議員会館にて行われ、リ・イン(李纓)監督の他、ジャーナリストの田原総一朗氏、映画監督の是枝裕和氏ら14名が出席した。
稲田朋美衆院議員(自民党)の要請で議員向け試写会が開かれたことがきっかけで、大きな騒動に発展した今回の事件。リ監督は「去年の8月くらいから上映に向けて動き出したのに、ここに来て全ての劇場で上映中止になったのは驚き。こういったことは日本の国際イメージにとってもマイナスになるのでは」と懸念の色を示した。
また、本作の出演者の一人である刀匠・刈谷直治氏が自分の映像を削除するよう求めているという報道についても「刈谷さん夫妻からは承諾をもらい、上映に向けて頑張れと言われた。だが、3月25日に有村治子参院議員(自民党)が電話した後に、刈谷さんが変心した。刈谷さんと有村議員との間にどんな話があり、(有村議員が)どのような圧力をかけたのか私には分かりませんが、一国会議員がそこまでやっていいものなのか。この作品を上映させないために働きかけているという風にしか受け取れない」と、政治家の介入に対して激しく非難した。リ監督によると、刈谷氏は2月にチラシを見せたところ喜び、さらにパンフレット用に「誠心誠意」という言葉を送ったという。
呼びかけ人の一人として出席した田原総一朗氏は、本作の内容について「隠し撮りをせずに正面から撮っている。ナレーションも一切なく、現場の声しか入ってない。この映画を偏向だとか反日映画だとか言うのは大きな間違い」と評価。そして「(上映を中止した)映画館が悪いという声があるが、これは違う。現場の館主とこの映画の配給会社は(上映するつもりで)話し合いが出来ていた。なのに、なぜ彼らが中止にせざるをえなかったかというと、上の会社、そのまた上の会社の役員たちが、上映するなと言ったからだ」と語り、日本社会の構造的な問題についても言及した。
続けて、是枝裕和監督は「今現在、内容についての批判があったとしても、それは上映後に起きるべきリアクションのはず。もし上映後のリアクションならば、どんなものであっても構わないだろうし、多様な意見が交換されて、靖国に対しての意見、考えを深めるというのが成熟したパブリックの在り方なのでは」と述べ、文化庁の助成金の使途について稲田議員が疑問視している点についても、「助成金が税金というのならば、税金を払っている我々がチェックすべきであり、権力側がするものではない」と語った。
本作は4月12日の公開は中止となったが、配給のアルゴ・ピクチャーズによると5月から東京を始め、全国で公開するとのこと。なお、劇場への妨害行動を防ぐために、上映する劇場名は現段階では伏せておくという。
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