「KIDS」のハーモニー・コリンによる8年ぶりの監督作「ミスター・ロンリー」
2008年2月1日 12:00

[映画.com ニュース] 19歳のときに書いた「KIDS」の脚本と初監督作「ガンモ」でセンセーションを巻き起こしながら、監督としては8年間も沈黙を続けてきたハーモニー・コリン。その彼が、新作「ミスター・ロンリー」(2月2日公開)で帰ってきた。不器用なモノマネ芸人たちのラブストーリーと空飛ぶ尼僧の挿話を通して、純粋さゆえの悲しみを見つめたこの作品には、過去の作品にあった尖鋭的なイメージはない。何が彼を変えたのか? 来日したコリン監督に聞いた。
まず、この8年間はコリン監督にとってどんなものだったのだろう。「監督2作目の『ジュリアン』を撮った後、僕は映画への情熱をなくしてしまった。もう自分には何も残っていないような感覚で、周りで起こっていることに対処できなくなり、壊れてしまったんだ。それで映画から離れて全く違う人生を歩もうと、世界を放浪しながらいろんなことをやったよ。人命救助隊員やコック、靴屋、植木屋、ペルーでは人面魚を探すカルト集団に加わったりしてね(笑)」
長い旅路の果てに、彼を映画へと引き戻したのは“愛”だったという。「映画作りには、“愛”が絶対不可欠だと思うんだ。映画に愛を与え、映画から愛を得るということが。それを取り戻させてくれたのが、いまは僕の妻になっているレイチェル(この映画に赤ずきんちゃん役で出演)との出会いだった。故郷のナッシュビルに帰ったとき一目惚れしたんだけど、彼女のおかげで自分の抱えている問題がほとんど解決した。いまは映画を撮っているとき、自分がいるべき場所にいるって思えるんだ」
「ミスター・ロンリー」の主人公は、マイケル・ジャクソンのモノマネ芸人。他人としてしか生きられない人たちを描こうと思ったのは「強迫観念にとりつかれた人間にいつも共感を持っているから」だという。「パリにいたとき、雨の中、街角でマイケルのモノマネをしている人を見かけてね。歴史的建造物を背景に、誰にも注意を払われていないその姿がずっと印象に残っていた。そこから、他人でいることに執りつかれた人たちの人生について考え始めたんだ。僕自身、孤独や疎外感、自分への違和感、注目から外れた焦燥感を感じていたから、すごく共感できたんだよ」
孤独を抱える人々を見つめる目は温かく、これまでの尖った作風とはガラリと変わって人生への慈しみに満ちている。「いままで作ってきた映画はどれも、そのときどきの自分の精神状態がすごく表れている。最初の2作はカオス状態でコラージュ的。イメージが押し寄せてきて観客を挑発するような、攻撃的なものだった。でも今回はもっとクラシカルな、きちんとした構成のもとで語りたいと思った。いままでのような“脱構築”じゃなく、美を作り出していきたかったんだ。この8年で僕の何が変わったかというと、物事に対する理解力とか、人々や状況に対する共感の度合いが格段に上がった。それが、この映画に表れていると思うよ」
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