同性愛者の子供たちに希望を!「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」監督語る
2007年9月21日 12:00

[映画.com ニュース] 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「ショートバス」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィアーの略称)の子供たちが通う“ハーベイ・ミルク・ハイスクール”のために、「ヘドウィグ~」のトリビュートアルバムを製作し、収益金を寄付するプロジェクトを立ち上げた。そのアルバム製作の様子を捉えたドキュメンタリー「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」の日本公開にあたり、監督を務めたキャサリン・リントンが来日。製作の裏側を語ってくれた。
ハーベイ・ミルク・ハイスクールとは、LGBTQの若者を対象にした権利団体“ヘトリック・マーティン・インスティテュート”の機関として、2003年より正式な公立高校として開校。学校名は、全米で初めてゲイを公表した政治家ハーベイ・ミルクに由来する(ガス・バン・サント監督によって伝記映画が作られる予定)。映画は、シンディ・ローパー、オノ・ヨーコ、ヨ・ラ・テンゴ(「ショートバス」の音楽担当)ほか多数のアーティストが参加したチャリティアルバム製作の様子を捉えるとともに、同ハイスクールに通う4人の生徒にスポットを当て、彼らの抱える悩みや葛藤を映し出している。
自身も同性愛者だというリントン監督は、映画に登場する生徒の1人がレズビアンだったために信心していた宗教から破門された例を挙げ、「アメリカでは、政治的な意味での原理主義者が70年代あたりから力を持つようになったわ。ブッシュ大統領もキリスト教原理主義者と言えると思うけど、彼のような人間が道徳観を判断して『同性愛は病気だ』と決めつけているのよ。若いLGBTQの人たちに自殺が多いのも、宗教側が彼らに様々な負の面を押し付けているせい」と、アメリカにおける宗教とLGBTQの関係性について熱弁を振るった。
生徒たちの日常を映し出す一方、全米中を飛び回ってミュージシャンたちのレコーディング風景の撮影を行ったそう。「私たちは誰がいつレコーディングするのかをほとんど把握できていなかったの。すべてエージェントがスケジュールを教えてくれなかったせいなんだけど、エージェントって本当に感じ悪い人間ばかりよね。シンディ・ローパーもオノ・ヨーコもとても素敵な女性だったけど、彼女たちのエージェントは最悪よ(笑)」といった裏話も飛び出した。
「ヴォイス・オブ・ヘドウィグ」は9月22日より公開。
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