「ローマの休日」など、廉価版DVD販売の差し止めを申請
2006年5月30日 12:00
米国の映画会社パラマウント・ピクチャーズ・コーポレーションは、映画「ローマの休日」及び「第十七捕虜収容所」の著作権を同社が有すると主張し、これら作品の廉価版DVDを製造・販売しているファーストトレーディング社に対し、差し止めを求める仮処分を 5月12日東京地裁に申請した。
過去、映画の著作権は50年とされており、公開されてから50年が経過すれば、著作権が失効し誰でもが自由に使える“パブリックドメイン”作品となっていた。しかし、04年の著作権法改正によって、映画の著作権は70年に延長されている。
ところが、この延長規定は54年公開作品から適用されるとして、53年公開の上記2作品を“パブリックドメイン”作品と称し、500円~1000円の安価で販売している業者が数社、存在している。
文化庁著作権課の解釈に則ると、旧法から新法へ移行するタイミング(03年12月31日午後12時から04年1月1日午前0時)が接着していることから、新法による保護期間延長は53年公開作品にも適用される。従って、日本において上記2作品のDVD独占的頒布権を有しているパラマウントホームエンタテインメントジャパンは、同作品のDVDを低価格で販売する数社のうち、大型書籍販売店等に広く頒布を行う1社を相手に仮処分を申し立てた。
今回の争点は、53年公開作品に改正法の保護期間延長が適用されるか否か。53年は名画が多く誕生した豊作年だけに、裁判の行方が注目される。