チェコの巨匠、ヤン・シュバンクマイエル来日
2006年5月9日 12:00
人形や粘土を用いた独特の立体アニメと実写を融合させた数々の長編・短編映画や、舞台美術、アートなど幅広い分野で活躍し、稀代のシュルレアリストとしても知られるチェコの巨匠ヤン・シュバンクマイエルが、00年の「オテサーネク/妄想の子供」以来となる長編映画「ルナシー」を完成させ来日。5月1日、アサヒアートスクエアホール(東京・浅草)にて記者会見を開いた。
本作も、これまでの作品に多く見受けられた妄想や快楽主義などを随所に描いた作品。60年代から美術家・演出家として活動をはじめ、当時の共産党政権下でブラックリストにも載ったことのあるシュバンクマイエル監督の作品は、89年に共産党政権が倒れるまで「反体制的と見られていたようだ」と言うが、「これまでも映画に政治的メッセージをこめようと思ったことはない」とコメント。「ここ100年の人類の文明が生んだものは、ファシズムであり、スターリニズム。全ての責任は文明にある。89年に旧東欧圏は自由を得たが、それで人類の問題が解決したわけではないし、チェコの40年間の共産主義など、人類全体の文明からすればちっぽけなもの。作品に対する検閲はなくなったが、当時と今で大して“自由”に変化はないよ」と、過酷な時代を切り抜けたアーティストとして持論を語った監督だが、「次回作の脚本もできあがっているんだが、資金がなかなか集まらないのが問題」と、現実的な苦労も垣間見せていた。
「ルナシー」は今秋公開予定。
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