巨匠ウォン・カーウァイが描く“エロス”の世界
2005年4月12日 12:00

ウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニと、カンヌ受賞歴をもつ監督3人が、“エロス”をテーマにして撮った3部作のオムニバス「愛の神、エロス」。3人の監督を代表し、来日したウォン・カーウァイに話を聞いた。
本作はアントニオーニ監督が発案者で他の2人を集めたそうだが、カーウァイ監督は「アントニオーニ監督は、今年で92歳という高齢で、以前の病気の後遺症で言葉も話せず体も自由がききません。そんな状況でも、映画を作ろうという彼の情熱と勇気に感動し、企画に賛同しました」と、オファーを受けた経緯を語った。「これは確かに3人の監督によるトリロジー(3部作)ですが、この映画に関する成功と名声はすべてアントニオーニ監督のものだと思います」
カーウァイ監督の作品「若き仕立て屋の恋」は、3作のなかで唯一ヌードシーンもなく、直接的な官能の描写がない。しかし、原題が「The Hand」とあるように、描いているのは“手と手の触れ合いから生まれる愛”だ。「仕立て屋というのは、女性の体を良く知り、触れる機会も多い。しかし、この物語の若い仕立て屋は、身分の違いから女に触れることができない。だからこそ、ある種の欲を掻き立てられる。そして、最後に触れ合うことが波紋を呼ぶわけです」
では、他の2人の作品は? 「アントニオーニ監督の作品はどこか心に穴のようなものがあり、ソダーバーグ監督の作品は夢の世界を描いています。この作品が面白いのは、“エロス”というテーマを3人がそれぞれ異なるアプローチで描いてることですね」
4月16日より、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにてロードショー。
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