劇場公開日 2024年1月12日

「見る側の感性も試される鏡のような作品」ある閉ざされた雪の山荘で hitomiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0見る側の感性も試される鏡のような作品

2024年1月16日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

初日に1回見て、翌日原作読了し、2日後に2回目を見ました。東野さんの作品はデビュー作から沢山読んでいますが、この小説は未読でした。なので、映画で初めてこの物語に出会いました。

最初はゆっくり、静かに淡々と進み、時々間のびしてる?様な感すらありました。事件が起こっても、どこか怖さを感じ切れない部分もあり(設定上)、これ面白いんかなと少し不安になりそうな時もあったのですが、、、

途中からジェットコースターが降下するようにぐいんと引き込まれます。謎解きが始まったらスピードが加速、さらに加速、する感じで止まりません。最後は良い意味で頭を殴られた感じになります(言い方が乱暴ですみません)。

前半フワッとしている部分は全て意味がある事が、勘のいい人は見終わって分かるかも。あまり勘の良くない私は2回目の鑑賞で理解しました。あの映像、シンプルなBGM、衣装についても、全部計算されていることがわかります。

小説を読んで更に分かったのは、小説自体の設定が元々かなりチャレンジングだということ。あと、最後の結び方は、「残る感情」は同じものの、その見せ方が違うということです。これは、映像化したから「こそ」可能(というかパンチの効いた演出)になった幕引きなのだと、小説を読んだ方は分かると思います。ちなみに小説はかなり昔の作品で、その頃の作者さんの瑞々しさと少しの粗さも感じる作品でした。

どこまでがネタバレありコメントになるのか非常に難しいのでアレですが、映画班の方が原作をリスペクトしている事、映像、音楽、衣装、キャスティング、総力上げてこのスルメのような、2度3度美味しい映画を作られたのだろう事が分かり、その苦労に頭が上がりません。実写化、めちゃくちゃ大変だったと思います。原作と違う点もあります。工夫されています。

あと、なんか、〇〇ぽいな...って漠然と思っていた自分の感覚が最後に正解だったと分かり、個人的にはめちゃくちゃ嬉しかったです。やっぱりな、そういう作りか、という。

ただ。身の毛もよだつ殺人事件が起こり、その犯人は誰?意外な犯人だった、ビックリ!スカッとシンプル解決大団円!というタイプの推理劇が好きな人にはやや咀嚼するのに時間がかかるかもしれません。

友達のお子さんで小中学生さんも行かれていましたが、分かったし面白かったと言っていました。深い所まで分かったかは分かりませんが、
細かい所を見落としても展開の面白みは存分に味わえるかと思いますよ。

なので、この感想のタイトル通り、見る側も試されるような、挑戦状のような作品だと思います。漫才コンテストの審査員がどう審査するかも視聴者に見られているように、この映画をどう感じたかを書く事は、自分の感性を浮き彫りにする事にもなるかと思いますが、、、私個人の感想を思い切って書いてみました。

映画、2回目を見たいと思ったのはこれが初めてです。東野圭吾さんの小説を読み終わった後、もう一度最初から見直したくなるような。そういう読後感も似ていて、そこまでも狙ってるのかな?と思いました。

実は前に見た推理ものの映画で、序盤のひと言の不自然さで「あ、この人犯人じゃん」って分かってしまった事があって。そうなってしまうと、2度目を見たいとはまず思わない。この映画は読めなくて、色々騙してくれて、面白かったです!今度、最終確認の3回目見に行きます〜

パンフレットも原作も読むと(観てからでも良いかな)より楽しめるかと思います。

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hitomi