ゆるゆりはアニメで視聴済み
大室家の原作は未読
劇場版の1つ前も未視聴
44分というありがたい長さで、わちゃわちゃとゆるさがあるアットホームコメディ。
サイゼリヤでグラスワインを飲んだ後に、リラクゼーションだと思って観に行った。
観に行った…ら…
いい意味で裏切られた。
わちゃわちゃとゆるさがあるアットホームコメディ…はじゅうぶん満たしつつ、
①姉の恋人は誰なのか(候補者3人)を視聴者が探る、ミステリ要素による引きの強さ
②他作で見ないほど、実在の範囲内だと感じる空気で同性カップルに向き合っている真摯さ
で、しっとりと仕上げられていた。
①について
事件だなんだと立て付けを組まずとも、「3人の中の誰なんだろう」と観客が思えば、それはもうミステリのフックがかかっている。『五等分の花嫁』が最初から最後までそれでやり通した傑作だが、本作も「撫子が密かに付き合っているのは、この3人の中の誰なんだろう…?」と、鑑賞者が推理したくなる構成になっている。ある意味、飛び道具を使ってくる昨今の本格ミステリよりずっと古き良き「読者への挑戦」をしており、楽しめた。
絞り込むためのヒントはちょこちょこあったと思う。たぶんあの人…と自分の中ではわかったつもり。目線がな。一つ前のdear sisterを観ればもっとヒントがあるのかもしれない。
②について
2010年ごろから、右も左もただのシスターフッド・女性同士の友人関係を「百合」と騒ぎ立てる作品ばかりで、正直食傷気味。ゆるゆりも確信的にその範疇を突く作品だったと思う(ただ、出自はそうであっても実際にゆるゆりがウケていたのは百合的な味付け以外の部分に思う。同時期に構築されたきららシステムと同じシルバニアファミリー感。シルバニアファミリーの商品性は百合ではない)
だが、本作では撫子には明確に「彼女・恋人」がいて、他の友人たちとは一線を引いた上で、カップルとしてお付き合いをしている。同性愛的な葛藤や強調は一切なく、櫻子も撫子に「恋人」がいるっぽいことには驚いているが、性別は気にしていない感じだ。隠しているのは高校生らしい初々しいカップルだからということで、同性愛だから的な感じではない。ついに週末来るらしいし。ま、真面目…なんて真面目なテンションの百合…
そんな感じで、気楽でありつつもわりとしっかりと観ることができた、非常に良コントロールの作品だった。
向日葵はいつ観ても可愛いですわ(いつもインターホンと同時に部屋に入ってくる遠慮の無さはややびびるのですわ。合鍵持ち?)
OPの実写の生活圏・通学路感はとても良かった。②でも触れた意外なリアリティの作品トーンの導入として、非常にマッチしていたと思う。大室家も向日葵家もまったく生活の悩みが無さそうなハイクラスな一軒家なのがちょっとびびるが、そこで所帯じみた感じ出されてもノイジーなので割りきりだろう。
次があるとしたら、ゆるゆりの4人ももっと絡んでほしい。劇場版続編希望。