疑惑の影のレビュー・感想・評価
全1件を表示
後味は良くないが、ヒッチコックらしい怖さ満載でユーモアも健在
主人公のテレサ・ライトが憧れの叔父ジュセフ・コットンによる命を狙われることになる展開は、とても面白かったのだが。列車の中の二人の争いで、叔父の方が列車から落ちてしまう結末は、原作通りかもしれないが、リアリティに欠け安易な結末付けに思え残念。
ヒッチコック監督による1943年公開の米国映画。原作がゴードン・マクドネル、脚本がソートン・ワイルダー、アルマ・レヴィル、撮影がジョセフ・バレンタイン。
出演はジョセフ・コットン、テレサ・ライト、マクドナルド・キャリー、パトリシア・コリンジ、ヘンリー・トラバース、エドナ・メイ・ウオナコット、ヒューム・クローニン、イステル・ジュエルら。
主人公の眼鏡かけた本好きの妹、エドナ・メイ・ウオナコットのセリフがやけに大人びていて笑える。推理小説マニアらしい父ヘンリー・トラバースと隣人ヒューム・クローニンの人殺し方法に関する会話もブラックで可笑しい。隣人のその推理好きが、主人公救出にいかされる流れも流石。
2階の部屋が外からと中から両方出入り出来、状況・感情次第で外から出入りに変わり、更に外階段であわやの事故が起こるというのが映画的絵になり上手い。また主人公と刑事マクドナルド・キャリーの恋心を殺人事件に絡めてくるところ、巧みに動くカメラワークも、ヒッチコックらしくて良い。
そして、殺人事件解決の報道が流れた後、真実を知っている姪を階下にじっと見つめるジョセフ・コットンの映像が、実に怖くてドキドキさせられた。ただ、ジョセフコットンの死には、もう一捻りの意外な何かが欲しかった。ラストの若い二人による解釈は、まあ悪くなかったし、クリスチャンとしての監督のメッセージ提示の様でもあった。
全1件を表示