市子のレビュー・感想・評価
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「無国籍児」となって育った川辺市子
市子
神戸市内にある映画館「シネ・リーブル神戸」にて鑑賞 2023年12月20日
パンフレット入手
戸田彬弘監督が自身の主宰する劇団チーズtheaterの旗揚げ公演として上演した舞台「川辺市子のために」を映画化。
おかっぱ頭の川辺市子は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則からプロポーズを受けた翌日に失踪。
途⽅に暮れる⻑⾕川の元に訪れたのは、市⼦を捜しているという刑事・後藤。後藤は長谷川の目の前に市子の写真を差し出し「この写真は誰なんでしょうか」と尋ねると、「あんたの知っている川辺市子って人間は、存在せえへんのですよ」と告げた。
長谷川は後藤と協力し市子を探す決意をする。
幼少期に同じ団地に住んでいた幼なじみのさつき、高校時代の北、市子が同じバイト先で一緒に下宿していた友人キキらの話で、市子に妹がいたことや、違う名前、年齢など偽っていたことを知る。
長谷川は市子が置いて行った鞄の底の一枚の写真を発見、裏に書かれた住所を訪ねると、失踪中であった市子の母なつみにたどり着く。
「300日問題」により「無国籍児」となって育った川辺市子。なつみは筋ジストロフィーを患った妹・月子の戸籍を市子に使わせていたことが判明。
300日問題とは、明治時代に制定され戦後も変わることがなかった日本の民法772条は、母が離婚後300日以内に生まれた子は遺伝的関係とは関係なく前夫の子と推定されると規定いている(嫡出推定)。このため生まれた子が前夫の子となることを避ける目的で出生届を提出せず、無国籍の子が生じている問題をいう。
2022年に法改正がなされ、2024年4月1日から施行される。
女性の再婚を100日間禁止していた規定はなくなるものの、離婚後300日規定は残る
パンフレットには「市子」年表があり、時系列になっていますが、長谷川から市子がプロポーズされる前まで。
あまりにも過酷な境遇で翻弄されてきた女性、市子であった。
なお、この映画を鑑賞した理由はかつて「市子」という女性とお付き合いをしていた。
なんとなく思い出してしまうのでした。元気にしているのかなならいいんだよ。
よかった…?
別格の日本映画
杉咲花よ、泣く不思議ちゃん役からの脱却を。
お祭りの焼きそば、妻も好きです。
こういう日本映画は、本当に苦手だ。重いテーマに対するリアルさがしんどい。この作品を観て思うのは、人には出生や家族、自身の闇などパンドラの箱が存在していて、この扉を開けられるのが映画なんだ、と気付かされた。
だからこそ、しかるべき役者だけが通る道なのかも。今回もその演技の凄まじさに感服した。
シーンに応じて適確に演じ分ける行き過ぎのない杉咲花の演技には、ぐーっと見入ってしまうほど。
思った通りの彼女の独り舞台⁈
この作品は期待をかなりしていたが…。
予想通り?と言うか,思っていた通りの?私的には彼女の独り舞台という気がしてならなかった⁈
[他に誰が出演していたかを思い出せない程?]
女性という分類に区分けしちゃうと、話題になる様な目立つ作品と云(イ)うとどうも露出系,風俗系(肉体系)になる作品が多い様に想われるが、
<決してそんな事はない‼︎そんな事言おうモノならば、女性皆を敵に廻(マワ)し兼ねない発言だったと思い直し,後から訂正(テイセイ)する文章を書き足した次第で有ります>コレはあくまでも<私自身が勝手に話題になり易(ヤス)い女性の一例として,書き込んでいた事がとんでもない発言をしちゃっていました,失礼致(イタ)しました🙇。>
非常に話が逸(ソ)れちゃいました。
杉咲花の巧(タク)み?な話術に?作品の面白味を感じ取れたなんて処(トコロ)かな⁈
杉咲花の熱演は見事だが・・・
市子に突き動かされた映画
この映画の市子を徹底的に描く姿勢が素晴らしかった。多分この映画は市子に突き動かされて作られた映画なんだなと伝わってきた。
市子の時には観客に寄り添って時には突き放して、同化と異化のバランスが絶妙すぎる。杉咲花が今までの杉咲花じゃないのは皆が感じたことだと思う。弱々しさとその裏にある魔性とが表情に現れてて恐ろしかった。
また観客のオリジナル脚本(元々戯曲)にも関わらず、しっかりとしたミステリ展開で映画自体の掴みも強いし、映像だったり物語だったりのトリックも良かった。
映画自体のコンセプトだったり市子の魔性さだったりは好きだけど、
最後の展開含めてストーリーの華のために映画全体の人間描写のクオリティが下がっているように思う。
筋ジストロフィーというシリアスな病気を、このストーリーの為に道具として利用した様にも感じられる。もう少しその点を説明しないと配慮やリアリティが欠けてしまう。
お母さんの「ありがとう」というセリフは自分には違和感だった。なんか当事者のリアルと言うより外側から見た演出のような感じがした。
またこの映画は万人向けの王道を捨ているだけあって、最後の回想シーンは違和感。
ただやっぱり市子を映画で描ききったのは本当に凄い。
市子は幸せを実感できた。人は再生できるのか。
「逃げたのは彼を信じられなかったから」なんて言いたくない。次元が違う。あー、、、あんまり深入りしたくないテーマ。できれば目を背けていたい。だって…まー良いか。「花は好き。水を遣れば枯れないから。」枯れてしまった市子。普通なら空っぽな自分を抱えて、薬物やら自傷やら性的逸脱やら、行き着くとこまで行ってもおかしくない。そこに幸せという文字は存在しない。てかそれが普通?と思ってしまう自分の感覚がもう少しアレなのかもなー。でも素直で優しい市子が、真正面から現実を受け止めて、ここまで壊れなく居られるのは凄い。家族との幸せな時間が彼女の原体験として支えになってるからなのだろうか。今は何が幸せか分かりにくくなっている時代だなと感じるけど、ささやかな自分の人生、間違って無かったなとしみじみ感じました。
タフでハードなものがたり
念仏
余韻がしっかり残る映画だった。 暑い夏の日、ザラザラとした感情や違...
2人ではなく、きっと3人なんだと思う。
太陽の下汗ばみながら鼻唄を口ずさんでいるのは、一体誰なのか。
私の苦手な時間軸が行ったり来たりするパターンで、あれ?これ何歳なん?なんかおかしくないか、ってなりながらの前半。市子の秘密を知ってからはこの苦しい物語をどう締め括るんだろうと思いながらクライマックスへ。これは切なすぎる。お母さん、色々あったで片付けないでよ、あなたが悪いよ。本当に母親を張り倒してやりたい気分になった。
自分ではどうしようもできなかった市子がそれでも自分自身として生きると決めた。与えられなかった人生と与えられたはずの人生の狭間でもがきながら。杉咲花が普段のほんわかしたかわいらしい一面を封印し何者にもなれない一人の女性を見事に体現しています。
そして市子を支えようと奔走する二人の男性。長谷川はあくまでストーリーテラーのような存在でむしろ重要なのは北。彼には市子と関わった全てで違う選択をしてほしかったな。
法律の不備よりもダメ母親の元に生まれた姉妹の悲劇
どうする市子、どうなる?
素晴らしいところ、気になるところ
役者さんの演技が素晴らしいので、作品世界に没入できます。
杉咲花はこうした過度の演技性を必要としない作品のときに活きると思いました。
しかし一方で、見た後にいろんなことが気になってしまいました。
戸籍がなくても、学校には通えます。別人になりすます必要はありません。
無戸籍だからと言って不幸になるわけではないし、この作品の舞台となった頃はともかく、現在では父親がDV男でも戸籍を取得できるよう、手を貸してくれる人たちがいます。
この作品にもそうしたNPOが協力しているようですが、そのこともわかるように描いてくれるとよりよかったかなとは思います。
福祉につながれないこと(というか、あの男がそうしてしまったわけですが)が問題を大きくてしまうケースとして見ました。
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