市子のレビュー・感想・評価
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人生は選択の連続だと思う。 必ずしも望み通りにはならない事も多い。 幸福を求めて人生を歩みたいと願う。 自分や家族や友人仲間も含めて幸福でありたいと願っているはず。 市子には、 何が与えられたのだろう。 何を許されたのだろう。 小さな嘘を隠すためにまた嘘をつく。 不幸を誤魔化そうとして幸福が遠ざかる。 本当の自分を誰も知らない。 自分自身でもわからなくなる。 共感など出来ないが いたたまれない気持ちになった。 杉咲花、凄かった。
戯曲を映画化 演劇を見たかった…
日本の法律の穴をついた内容 金儲けしか考えないバカな国会議員たちが作った法律に翻弄される無戸籍者無戸籍者は人間なのに、人権すらないような…(893も一緒だが…) 可哀想過ぎて、涙こそ出なかったけど、日本の現実を突き付けられた感じ私腹を肥やすことにしか興味の無い日本の政治家(特に自民党)は、生きる価値すらないパラサイト それでも市子(月子)は、生き続けるタフさ(生きることの重要性)を感じているのだと思う
きっと明日はいい天気
NHKの朝ドラ「おちょやん」で主演を務めた杉咲花が主演ということでしたが、個人的に彼女は初見。それで驚いたのですが、演技が抜群で、彼女が演じた「川辺市子」という人物が、本当に実在の人物のように感じられました。 内容的には、いずれも昨年公開された「さがす」や「ある男」と同じ系統と言えば同じ系統で、突然失踪した家族(本作の場合は同棲相手だけど)の行方を捜す物語であり、戸籍制度のエアポケットに関わる物語でした。本作では、父親のDVから逃れてようやく離婚した母親がその後市子を出産したものの、民法の規定のために出生届を出せなかったが故に無戸籍になってしまい、結果的に公的公的医療保険は勿論、「市子」としては学校にすら行けないなど、一切の基本的人権がない状況のまま大人になって行くという痛ましい物語を突き付けられるというとても重たいお話でした。 そんな痛ましい状況下で生きる市子ですが、生きて行くために文字通り何でもして来たことが描かれています。生まれは1987年、本作の舞台は2015年だったので、齢28歳の女性な訳ですが、この間辿った彼女の数奇な運命は、想像を絶する苦難の連続。そんな彼女の半生に、リアリティというか立体性を持たせ、物語を重層的なものにした戸田監督に拍手を送るとともに、繰り返しになりますが、市子に魂を吹き込んだ杉咲花の演技には最大の賛辞を送りたいと思います。 因みに本作のテーマとなる「戸籍制度」ですが、世界的に見渡すと日本以外では中国と台湾にしかないそうです。以前は韓国にもあったようですが、男系血統中心の家父長的家族制度を土台にしている戸籍制度は、男女同権などに反するということで最高裁で違憲と判断され、2008年に廃止されたそうです。 ただ本作の魅力と言うか、いいところ(奥ゆかしいところ?)は、世界的にも稀で、韓国同様に明治以来の家父長制に端を発する戸籍制度に対して、「断固反対!廃止せよ!」というメッセージを声高に主張している訳ではないところでした。むしろ、戸籍制度からこぼれ落ちてしまった人に光を当て、そうした人を社会として如何に包摂していくかということを考えさせてくれる優しい視点こそが、本作の肝だったように感じました。 本作の中盤で、市子が戸籍を作りたいと支援者に相談したことが語られます。制度的にも「就籍」という手続きをすることで、戸籍を作ることが出来るとのことですが、そのためには指紋採取や親の認知証明が必要と分かった市子は、支援者の前から姿を消してしまったそうです。支援者の話では、こうしたことを伝えると、半数の人は就籍を諦めてしまうとのこと。勿論戸籍を作るという事の重要性を考えれば、一定の審査や手続きが必要なのは充分に理解できますが、そのハードルが高いと感じて戸籍取得を諦めてしまう人を放置しておいていいのかという議論もあって然るべきでしょう。 なお、法務省が把握している無戸籍者は3千人余りということですが、「無戸籍の日本人(井戸まさえ著)」 という本によれば、実際は1万人以上いるようです。その原因としては、本作でも問題になった民法772条2項の「法的離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子と推定される」という規定にある場合が多いとのこと。本作のように、DV夫と離婚した後でも、300日以内に生まれてしまった場合は、DV夫の子として出生届を出さなければいけないことが障害となり、結果として無戸籍になってしまうケースが多いようです。 話を物語に戻すと、本作は殆ど音楽が掛からない作品でしたが、唯一市子が口ずさむ「にじ」という曲が印象的でした。何処かで聞いたことがあるようなないような曲でしたが、子供向けに作られた曲のようで、以下のサビの歌詞が繰り返されるものでした。市子はメロディーを口ずさむだけで、この歌詞自体は本作で登場しないのですが、これを読むとまさに市子の気持ちを代弁した歌詞であり、結構泣けるものでした。これを敢えて表に出さず、メロディーだけ口ずさむシナリオにしたところも、実に奥ゆかしくて素晴らしい創りでした。 「にじが にじが 空に向かって 君の 君の 気分も晴れて きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気」 またパンフレットを読むと、戸田監督は黒澤明監督の「羅生門」を参考にしたとのこと。確かに市子の子供の頃からの友人や同僚などの証言をオムニバス形式にして市子の行方を捜していく流れは、まさに「羅生門」形式。ただ論理的整合性の観点から、誰かが嘘を言っていることになる「羅生門」と違って、一見矛盾することも実は全て整合しているというのが本作の特徴であり、名作に触発されて自分流を築き上げた本作の構成は、中々見事だったと感じました。 そんな訳で、本作の評価は★5とします。 市子の明日に幸あれ!
かなり複雑・・・
途中までストーリーが把握出来ず、中々展開に着いて行けませんでした。 後半でなんとか筋書きが分かって来たのですが、最後は消化不良気味に終わってしまい、しっくり来ていません。 ただ、内容は奥深くとても良く考えられたストーリーなので、観ている方に問題提起をされたような気がします。
極めて高レベルの問題作
信じられないほど過酷な人生を生きている「市子」と、彼女を追う男たちの物語。 名前の違いなどから、次第に「市子」の実像が現われていく展開は、まるで上質のミステリーの謎解きを見ているよう。杉咲花はじめ、演技陣の熱演・好演もまぶたに残る。時制の処理の仕方がうまく、時々挟まるハンドカメラの映像も効果的。 みっちり中身の濃い、極めてレベルの高い問題作である。
思ったほど、映画に引き込まれなかった😞
ストーリーが時間の流れで進むのではなく、たびたび時間を逆のぼり、主人公と絡む登場人物も単発に出てくる。 しかし、内容は把握出来るように製作されている。 内容は、人それぞれ評価はあると思うが、私的には人生の課題や責任から逃げ回っている、臆病者の映画にしか思えなかった。
市子
今時の見せ方の映画だった。 なんというか、、終わってみるとあまり同情も共感も出来ない感じだった。 中国では多くいそうな子供だけど日本社会においてシステムから漏れる子って存在し得るのだろうか?と、 あと、ちょっとサスペンスの部分が幼稚と言うか…大阪の警察ってそんなに無能なのか?と、、捉えてしまった。、まぁ、伝えないのはそこではないのだろう。 どこまでも孤独で不器用な市子の生き方。というものを描いているのかな、 女性特有の弱さのようなものを彼女からは感じ取れなかった、時折弱さを出すも男達からは悪魔だと言われる始末の悪さは、、やはり嘘がつけない性分なのだろう。
面白かったです。
杉咲花の演技力なんだろうな、グイグイと引き込まれておもしろい作品でした。時系列やら、登場人物やら追うのが大変だったけど、元が舞台作品だと知って納得。この世の中、普通に生きることって大変なのに、最初っからこんなハンディ背負ってちゃ、そら正気でいれないわさ。とんでもないことが起きているのに、花ちゃんだからこそみていられたんだと思う。舞台も観てみたいなぁ。
静まり返る館内
失踪をきっかけに恋人が過去を辿りながら、市子の人生が少しづつ明かされゆく。 けっこう埋まっていた日比谷シャンテの館内はずっと静まり返り、観客誰もがスクリーンに引き込まれ集中している空気が伝わってきました。 波の音と、かすかな話し声だけが聴こえるだけのエンドロールもひとりとして席を立つ人はいませんでした。 杉咲花さんがもう市子でしかなく、なんか僕も市子を守ってあげたいという気持ちになりました。 杉咲花さんの演技だけでも☆5個をつけたい気持ちになりました。
ちょっと観客の想像に委ねすぎ
予告で感じられる重さで大体間違いないです。ずっとその重さです。ところによりきっついです。 ちょっと、 そこで三人が合流してから何があったかは明記しません。 誰が死んだかは明記しません。 このシーンで何があったかは この事件の行く末は この後の彼は が多すぎて、エッッッ終わったでオイ!ってなってしまいました。 法廷遊戯でも疲れる役やってたし、花ちゃん、たまにはひたすら笑ってるだけのおバカな役とかやってや。ママ心配になるでしょ。
基本的人権の尊重……
肝となる「市子の謎」的な部分は大筋で思っていた通りの流れだったからストーリー的な意外さや大どんでん返しとかは無し。 それでも自分の中での高得点となったのは、杉咲花ちゃんの演技一択。 自分のせいではない不可抗力な理由から大変な人生を歩まされてる女の子の心の中の空虚感が何をしている時でも常に感じ取れる演技に魅了されてしまいました👀 先日の『法廷遊戯』でも凄い女優さんだな、と思ったけどここでまた評価ウナギ上り⤴️⤴️⤴️ 杉咲花ちゃん、Fan!登録します💜 世の中の市子ちゃん達が幸せに過ごせますよぉに✨
「夏」に込めた感情と想い出が、美しくもたまらなく切ない一作
物語はごく普通の若い男女の仲睦まじい生活から始まるものの、そこから一転して、川辺市子(杉咲花)にまつわる謎に引き込まれるまで、実にあっと言うまの展開。戸田彬弘監督の手際は実に見事です。 市子の跡を追う恋人、長谷川(若葉竜也)と刑事(宇野祥平)は、捜査の過程で彼女が二つの名前を使い分けていたことなど、幾つもの不可解な点を見出していきます。過去と現在を行き来しつつ(日付の表記の仕方が秀逸!)、川辺市子とは誰で、彼女に一体何があったのかが少しずつ明らかになってきます。 姿を消した人が実は正体不明の人物だった、と言う作品は既にいくつも登場していて、昨年公開の『ある男』(2022)もその中に含まれる訳ですが、本作で明らかになる市子の過去、そして結末に至るまでの決断の苦しさと寄る辺なさは、映像的にはむしろ淡々と、といってもいいようなあえて抑揚をつけない演出であるだけに、一層の現実感を持って観客に突き刺さってきます。 決して楽しい気分で劇場を後にできる類の作品ではないので、年末の気忙しい状況を忘れるような気楽な映画として本作を選ぶことはちょっとおすすめしづらいものがありますが、是非とも一度は観ておきたい作品です。 日本の家族制度の根幹にある重大な問題点を突いた物語でもあり、その着眼点に感心すると言うよりも、未だにその問題点が放置されていると言うことに戦慄してしまいます。 演劇『川辺市子のために』を原作とした本作は、時系列が前後する構造となっています。丁寧な演出もあって決してわかりにくくはないのですが、市子の名前に関する設定上、どうしても初見では概要の把握が難しくなりがちです。パンフレットでは時系列に整理した年譜を掲載しているので、鑑賞後の資料としておすすめです。 ごく自然に感じられるような外光の描写が実に見事で、潮の香りが漂ってくるような薄暮の海岸、むせ返るほどの湿気と熱気に取り囲まれたマンションの一室の空気感、雑草の草いきれと足裏の砂利の感覚が伝わってくる冒頭の映像など、年末のこの時期に観ても、特に本作にとって重要な意味を持つ「夏」の季節感がよく伝わってきます。
悪魔やで…
一緒に暮らし3年、プロポーズをした翌日に失踪した女性を探す青年が、彼女を探す中でその壮絶な過去を知っていく物語。 市子の哀しき過去と向き合いながら真相に近づいていく、ミステリーチックなサスペンスドラマといった作品でしょうか。とは言え、失踪の理由は開始1分くらいで大体読めてしまうのですが…。 しかし、物語はそう単純なものばかりでなく、ただ普通の生活を送りたかった、そして何故それができなかったのか…。う~ん、辛い。 市子の過去に接点のある人物を辿って真相を追う展開は良いですね。ちょっと登場人物が多すぎる気がしなくもないが、好みの展開です。 目まぐるしく巡っていく展開に目が離せなくなるし、最後にはどんな真実が待っているのか気になって画面にくぎ付け‼…しかし、な~んとなく嫌な予感が。。あぁいう終わり方しそうな…。お!まだ続くか。あ、でもやっぱり…。う~ん個人的にこの終わり方は好きじゃないんですよね。。 終わり方こそワタクシ的にあれでしたが、終始兎に角夢中にさせられた2時間強で、哀しくもとても面白かった。 物語もそうですが、冒頭のプロポーズシーンが良いですね…。こんな可愛い奥さんと慎ましやかな幸せを感じながら…なんて妄想をしつつ、杉咲さんの演技に心をガッツリ掴まれてしまいました。 んで、印象に残ったキャラクターは彼。やってることはアレだし、思い上がりのストーカーでやべぇ奴には変わりないが、色々と協力してこの扱いって…。 好きだから当たり前なんだけど、長谷川とかには優しかったり乙女だったりする市子なだけに、この都合の良い便利屋的な扱いにちょっと理不尽さも感じてしまったりした(笑)
市子
自分は市子、ただ市子でいることが、ただ市子として普通の幸せを掴むことがなぜこんなにも難しいのか。市子。単なる名前。ただ単なる名前さえ手に入れられない人もいるのか。 杉咲花は本当にいいですね。めちゃくちゃ難しい役だと思いますが、シーンごとに抜群の表情。追い込まれた人間の複雑な表現。さすがでした。 若葉竜也もよかったですね。熱い想いにジーンとくる。 中村ゆりもなんか不思議な色っぽさもあって素敵でした。あの状況での、市子ありがとうね、の重み。 その後どうなったんだろうーとか答えを求めてしまうのは違うなーと思いつつも、気になる。ずーんとくる映画ですな。
深淵なるもの
お、これはいいぞ。 年末までの鑑賞候補作には入ってなかったのだけれど、ポスタービジュアルに惹かれて鑑賞。そしたら、予想以上に面白い! 思わぬ拾い物だった。 真夏のアスファルトの道。何故か女性の低いハミングのオープニングが印象的。 訳ありの彼女の失踪から、ちよっとしたミステリを装いながら、過去と今を行き来しながら物語が進む。まあ、普通のミステリ風に、だんだんと彼女の過去が明かされていくのだけれど、そこにとてつもない闇が帳を下ろしていた。 平板な描写の連続で、昭和のドラマを思わせる撮影スタイル。セリフも掛け合いは静かで、沈黙も多い。派手さは無いのに、何故かグイグイ来て、画面から目が離せない。 なんといっても杉咲花が、秀逸。 浮世離れした存在感が作品にぴったりマッチしていて、話の先を知りたいような知りたく無いような、不思議な感覚にとらわれる。彼女の、死んではいないけど、生きてもいないような目。単なる絶望感とも、諦めとも違う、深い沼の底のような目が良い。それを覗きたいが、近づくのが怖く思える。崖の上から真っ暗な海を覗くような感覚だろうか。 エクソシストより、よほど怖いかも。 そこそこの客足だったのだけど、エンドロールで、最後まで誰も立たなかったのが印象的。好き嫌いはありそうだけど、一見の価値あり。
3.6なかなか難役を杉咲花が良かった
戸籍問題にヤングケアラー問題にそんな状態でまともな精神状態では無くなってしまうだろう可哀想過ぎる境遇。。。幸せになりたくも求めてはいけない贖罪的な思い。。。最後はなんだか報われない感じで、救ってあげて下さい😢
傑作というよりは問題作、杉咲花に脱帽
タイトル通りです。 技術面で細かく気になる点はあれど、圧巻な作品の内容とそれを見事に演じ切った杉咲花に言葉もありません。 ラストの汗と鼻歌が示す結果と、それでも前に進む彼女の足取りはしばらく頭から離れないでしょう。
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