市子のレビュー・感想・評価
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天使と、悪魔と
いやぁ~、今年も終わりかけの時期に問題作を見てしまいましたよ。
本作を見ていると、それぞれの映画にはそれぞれの目指す地平があり、それがどんどんと多岐にわたり、昨今の作品は昔の様に単純には理解や感動を見ている者に与えてくれない作品が増えてきたように感じてしまいます。
本作などはまさにそれで、確実に力作だとは思うのだけど、何か理解できないモヤモヤも残り、その為に単純に絶賛したり傑作だって言われることも拒否している様な気配も感じられました。この辺り、最近の日本映画の力作に共通している要素であり項目かも知れません。
基本的に、サスペンス&ミステリー風味の作品なので、何を言ってもネタバレに繋がってしまい感想が書き難いのですが、別にネタバレ書いても読み手には何のネタバレにもなっていない様な作りにもなっています。要するに答えを用意していない作品であるからです。
“答え”というのは“テーマ”でも“メッセージ”と置き換えて貰っても良いのですが、珍しくもテーマもメッセージもない問題作なのです。
だからと言って、決して空っぽの映画ではなく、非常に濃い密度の作品でもある訳です。なので鑑賞後モヤモヤとしてしまうのです。
モチーフ的には『ある男』に通じる作品で、物語的には主人公「市子」とは一体何者だったのか?を探す旅という部分では同様でした。
しかし過去が明らかになったとしても、結局彼女がその状況下でどのように性格形成されたのかは他の登場人物にも観客にも理解できないし、その行動について(神目線もなく)肯定も否定もせず観客に委ねられるのは、多くの観客にとってはしんどい(というより答えのない)宿題を突き出された気分になるのです。
ナポレオンのキャッチコピーが「英雄か、悪魔か」で、本作のコピーは「本当の彼女を誰も知らない」ってなっていましたが、こちらは「天使と、悪魔と」で良いのでは…
杉咲花の杉咲花のための杉咲花による映画。
テーマは重い。がしかし絶望が支配してはいない。確かに周りの多くが不幸になるかもしれない。不幸が市子を支配し市子は周りを不幸にするかもしれぬが、それでも市子は生き抜いていく。市子の特殊な特性により物語は推進されるが、それでもこの映画、重い映画にありがちな性や暴力はほぼ前面に出ない・・むしろ不幸の中に降り注ぐ市子への一条の光にこそ、そこにフォーカスされる点がこの映画を救っている。そしてこの救いこそが実は現実にこの世界の見えぬところで起こっている真の人々の不幸が、重いテーマとなって観る者にのしかかってくる。それを見事に提示してくれた眞に静かな作品といえよう。主演が杉咲花でなければこの映画は成立しなかったであろう。
色んな問題が詰め込まれてて、誰も幸せにならなくて観てるの辛い。 低...
花ちゃん大人になったね。
杉咲花演じる市子が、突然いなくなる。プロポーズされて嬉しそうだったのになぜ?それから始まる市子探しと、過去の話。小さい頃や学生時代に学生やめてから。苦手な時間の行ったり来たり。過去に戻る時は表示されるが現在に戻る時は、えっ!?の繰り返し。最初に、あれ?って思ったのは初めて月子が出てきた時、この子市子じゃなかったっけ?自分の目が悪いのかと思ったら、あらそうだったのね。それにしても学生時代は自分の真実を隠し続ける嘘つき女子なのにモテまくり。それだけ気遣いをしてたって事なのかな。とにかく市子の事が可哀想で、ずっとウルウルしてました。大人になった同級生の男子も一生懸命探してくれる。なんで?ずっと惚れっぱなしってことかな?そりゃ無いよな。えっ!そこにいたの?でもまた逃げた?良い子の市子、殺人犯だったの?色んな事がハッキリしないでモヤモヤ。ラストはオチ無し?
この話、もう少し法律とのやりとりが欲しかったな。だって現実にこんな人いるでしょ。自分も巻き込まれるかもしれないんだもん。結構重い流れで、市子はほとんど喋らない。けど周囲の人達の優しさに共感。かなり楽しめました。
ひた隠すにも
冒頭から終末まで雰囲気はヘビー級
「市子」タイトルどおり市子の周りで起きる事件を描いたストーリーだが、市子目線で描かれるストーリーはほぼ無し。
基本的には、市子周りのキャスト目線で、市子についてのストーリーが描かれている。
映画を観ていると、市子の仕草や話し方、笑顔が魅力的すぎて観客はどんどんと市子そのものに吸い込まれていったのではないか。
登場人物の全員が市子を救いたい、という切実な思いをもっているがその闇の深さに手が負えない情勢。
さらに主演目線の気持ちは描かれておらず、
市子の気持ちは市子にしか分からない。
つまり観客の感受性に委ねる構図。
ラストシーンまで考えれば考えるほど、私も蟻地獄に落ちてしまいそうな気分になる。
個人的には今年一のヘビー級映画で久々に喰らいました。
俳優陣の演技が光るも評価が難しい
明日、自分がどこにいるかも分からないとしたらどんな希望があるのだろう
映画館告知で少し見てフライヤーのインパクト強く気になったので鑑賞しました
全体的に暗くジメジメっとしたたまにある暗い邦画と思いますが最後までドキドキしました
物語は平坦に進んでいきますが…
説明しすぎないところが良くてプロファイリング的に過去に関わりがあった人の名前だして過去と現在を転換したのが入ってきやすかったです
テーマとしては重いしすぐ解決できるわけではなくヤキモキした気分で映画館を後にしましたがこれはこれで好きなんですよね〜
杉咲花さんのミステリアス感出すの凄いですよね 直近の法廷遊戯でも思いましたが😤
これでもか!ってくらい市子は過去でも現在でも黒い服着てたけどどんな意味合いだったんだろう…
嘘や隠し事が強いほど黒い服になるんかなぁ…
でもそうだとしたら長谷川と写真撮ったとき市子が白い服で長谷川が黒い服だったんだよなぁ…
最後のシーンは不気味だけどそれが良かったです😀
「砂の器」の現代版、今年見た映画の中では最高傑作です
今年見た映画の中では最高傑作です。
笑いがない、勧善懲悪でない、救いを入れない、重たいテーマなのに主張していない、
かつて見た「砂の器」を彷彿させます。
見事な場面は2つ
まず、殺人シーン、殺す方、殺される方の目の表情がすごい、殺す方の目の表情は「2001年宇宙の旅」のHAL9000と同じ、その後の「市子、ありがとう」の言葉が秀逸
次にラスト「結局、どうなったのだろう」と言うところをあえて描かないところがすごい。「あとは見た人が想像しろ、たぶん、そのとおりだ」と監督が言っているような気がしました。
時系列が頻繁に前後するので、映画館でじっくり見ないと分からなくなってしまいます。その意味では、映画らしい映画だと思っています。
他のレビューでも触れられておりますが、杉咲花さんの演技がすばらしい。
幸せになれるまで、何度でもリセットする⁉️
最後までハラハラドキドキしながら観ていた。逃げて逃げて逃げまくって、何度も罪を犯して、人生リセットしまくって、いったい何処に行ってしまうんだろう。最後のシーンの、若干勝ち誇ったかのようなふてぶてし気な市子の表情(私にはそう見えた)‥強っ‼︎だてに修羅場をくぐり抜けてないわ‼︎っ。メンタル最強。もう一度やり直しよ⁉︎。違うか??。杉咲花の市子役は良いなー。一見、何処にでも居そうな容姿に見えるけど、実際には滅多におめにかかれない。手が届きそうで届かない。口数少なくて煩く無い。話し方が良い。声が良い。ミステリアス。薄幸な影を纏っている。いつもは無表情なのに笑うとめっちゃ可愛い。魅力をあげればキリがない。気がついたら市子だけを必死で追っていた。好きだわー。魔性の女???。
杉咲花の演技力
良く分からないし具合が悪くなった!!
同年公開の「法廷遊戯」で杉咲さんの演技が良かったので、こちらも観ましたが微妙に感じました。戸籍のない女性が、難病の妹の戸籍を乗っ取って生きる話、かと思ったらそうでも無かったので、良く分からなかったです。また、北君の存在と喋り方がウザく、「ナイトクローラー」(2015年の洋画)的にこのキャラは間違い無く死ぬ!!と思ってそれが的中したようなのですが、演技派の杉咲さんを起用したのに殺害シーンが省略されていて、かなりガッカリしました。映画のクライマックスだと思うのですが、省略っておかしくないですか。戸籍を売りに来た?女性も死んだのでしょうか。ラストは長谷川との楽しかった過去のシーンが続き、結末がどうなったのか良く分からないし、まともな登場人物もあまりいないので具合が悪くなる映画でした。作家性を出そうとして気持ち悪い内容になったと思いますが、杉咲さんもメンヘラ演技専門になってしまうなら何か残念です。久しぶりにユナイテッドで観たのですが、立体音響で良かったです。
粗はあっても演技で持って行く力技
杉咲花という女優は、結構小さいときからテレビで見ていた記憶がある。子役あがりとまではいかないけど、それに近い印象。だから、大人の女性として恋したりセックスする役柄を演じているのを観ると複雑な気持ちになる。娘が(いたら)彼氏といちゃついているのを見てしまったときにこんな感情になるのかもしれない。
本作ではプロポーズされた翌日に失踪する市子を演じている彼女。穏やかな話し方で家庭的だった印象が、過去のエピソードとともに徐々に塗り替えられていく。なかなか壮絶な人生。でも、周りに振り回されながらも自分の人生を生きようとする姿がとても清々しかった。たとえ許されないことをしていたとしても。杉咲花だから醸し出せる雰囲気かもしれない。北くんのように魅了されて人生を狂わされてしまうのも少しだけわかってしまった。
杉咲花だけでなく、他の俳優たちもとても上手なので、あの世界観につい引き込まれてしまった。自分があの世界で疑似体験している気分。刑事が聞き込みに一般人(しかも重要参考人の恋人)を連れて行くわけがないといった脚本上の粗があったことはたしか。でも、そこまで嫌悪感を覚えるものではなかった。元々は芝居の脚本なら、そんな展開もあり得るかと妙に納得する。ただというか、だからというか、スッキリする終わり方ではない。観る者の判断に委ねる部分もかなりある。とてもつらいことが待ち受けている予感はあるが、市子の未来に少しでも幸せがあればと願うだけだ。こんなことを感じてしまうのだから完全に世界観に浸っている証拠。
杉咲花の女優としての凄みを存分に感じることのできる本作。確実に彼女の代表作の一つになるばだ。
果たして市子は悪魔なのか
つい最近たまたま市子のような人たちの記事を読んだばかりで、なんとなく途中で市子の境遇が想像出来たので、あまり衝撃的でなはかった。
だけどこれまでの市子の人生は、なかなか過酷だった。
月子を見下ろす市子と、市子を見上げる月子。おそらく衝動的ではない姉妹の覚悟のような視線。
そして、その後の『市子ありがとう』はぎゅっとなった。市子もお母さんもしんどかったんだなぁ。
逃げる市子と、市子の人生を辿る長谷川君、なんかずっとイラついてるように見える北君。それぞれまっすぐなのに、どこか不安定。
演じる3人は若いけどキャリアは長いから、安定感があって良かった。
ラストで市子と北君が、どういうやりとりがあったのか気になる。
市子とは
想像していた以上に壮絶で生々しい1人の人間の人生の一部を垣間見たようだった。
市子は1日1日をどんな思いで生きていたのか。
彼女の笑顔と涙が頭から離れない。
笑顔と涙の裏側にはいったいどれほどの葛藤や孤独、苦しみがあったのだろうか。
当たり前に存在するものが当たり前ではなく、細やかな幸せが細やかではないのだということ、忘れてはいけないなと思う。
最後まで市子という人物が掴めなかった。
けれどその掴めなさこそが、人間の真の姿なのかもしれない。市子という人物、市子の人生について、想像することはいくらでもできるけれど、きっと想像には及ばない。
他人から目に見えるものなんてきっとほんの一部で、それさえも正しいといえるのだろうか。この人はこうだ、こうに違いないと想像することはいくらでもできるが、他人が簡単に決めつけて言い表わしてしまっても良いのだろうか。
きっとこの世界には、まだまだ自分の想像も及ばないような人間がいて、物事があるのだろうと思う。
杉咲花さん素晴らしかったです。圧巻でした。
市子は誰よりも力強く確かにそこに生きていました。
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