「神を信じる神子から、神は全てを奪った。」DOGMAN ドッグマン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
神を信じる神子から、神は全てを奪った。
神は惜しみなく奪う・・・・
神の神子・ダグラスから、
優しい母を!
清潔なベッドを!
そして邪悪な父親は犬小屋に閉じ込める。
ダグラスがDOGにパトカーを教えて、通報させる。
警察官が救助に来たドサクサに父親の撃った流れ弾により
ダグラスは脊椎を損傷して脚の自由を失う。
というように神は多くのものをダグラスから奪った。
しかしDOGたちだけははダグラスを愛して集い大家族を作り
ダグラスの思いのままに動く。
DOGにとっての神はダグラスなのだ。
思い通りにならない人生に犬たちだけが、彼を愛して忠誠を尽くす。
DOGMANを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズが本当に魅惑的。
女装も美しい、妖しい、艶かしい。
痛々しい拷問具のような膝下の装丁金具。
ケイレブのDOGMANの女装を見ただけで、心を奪われた。
そして音楽がイイ。
ゴッドファーザーの愛のテーマ、
ダグラスが金曜日の夜にキャバレーで歌う
エディット・ピアフのシャンソン
(もちろんアテレコだけどピアフの歌は人生そのもの)
ダグラスが魔法使いのように犬を調教して、
金持ち女宅から宝石を盗んだり、
犬を凶器や猛獣のように悪人を襲わせる数々のシーンは、
黙示録のようだ。
遂に半グレ与太者集団の襲撃を受けて絶体絶命。
ここでも犬たちが熊やライオンや虎のように助けてくれる。
この辺のダグラスはアメコミのアンチヒーローのようだ。
最後の審判に向かうダグラス。
神の神子は御心を信じて
御国に召されたのだろう。
(これだからキリスト教は、訳わからん・・・のだ)
コメントありがとうございました!面白い作品でしたよねー!
アマプラで観られるようになったし、この作品は、もう一度見たい映画です。
と、思って出だしチラ見→やっぱりケイレブ、引き込まれる演技。怖さ、優しさ、哀しさ、痛み、そんな感情が入り混じる、全身での表現。素晴らしいです!
コメントありがとうございます。
作品の意図にあるのが「神とは何?」ではないかと想像しました。
ラストで、立ち上がったダグラスが倒れます。
それは肉体は従来のままだから限界が来たのです。
でも、彼は神の声を聴いたのだと想像しました。
その神の声とは今まで何となくそう思っていた第三者的誰かではなく、「本当に私が望むこと」だったのだと気づいたんだと思います。
その声、つまり希望、夢、願いがある限りいつでも「立てる」ことを理解したのでしょう。
こうなれば考えが変わったので怖いもの知らずです。
エブリンのところに犬が1匹向かいます。
おそらくそれは福音の象徴で、彼の気づきを犬たちが祝福したことを、そのきっかけをくれたエブリンに報告したかったのでしょう。
でもすべて私の勝手な妄想です。