「不幸なる者のところに 神は犬を遣わす」DOGMAN ドッグマン ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
不幸なる者のところに 神は犬を遣わす
犬は本来群れを作って生活していて、その中でリーダーを立て、犬社会のルールに従って平和に暮らす事が出来る動物です。
噛み癖や無駄吠えなどの問題行動がある子って、そもそもが人間の接し方が間違っているからなんです。
犬は賢く美しくチャーミングで健気。
人と一緒に何かをする事に喜びを感じてくれる、とても友好的な動物です。
作中のダグラスのセリフ
「人間を知る程に、犬への愛が深まる」
「犬の唯一の欠点は、人間を信頼することだ」
人間く犬 なんじゃないかと思う時もあるよ。
人間は愚か過ぎるし、犬は純粋過ぎる。
こちらが申し訳なくなるほどに。。
少年期のダグラスの家庭は「闘犬」の仕事をしていた。
闘犬の歴史や、それに携わっている人を批判はしないが、愛犬家としては辛かった。
これから訪れる猛暑日。焼けたアスファルトを歩く事になる時間帯の散歩はやめて!チャリで引っ張る散歩もやめて!
それから一部の愛犬家達の行き過ぎた変愛によって、犬に対してネガティブなイメージが付いてしまう事も残念に思う。
間違っているのは人間で、犬ではない事は知っていて欲しいです。
と、犬がたくさん出てくる作品なので、、
犬に対する愛を書きましたが。。
いや〜!!久々に心臓を鷲掴みにされた作品でした。私の中では傑作!!
刺さったーー!!
まず、ダグラスの少年期を演じたリンカーン・パウエルが、とにかく素晴らしい!!
悲惨な状況下で過ごすシーンも、サルマと出会って変わって行く様子もお見事!
数々の傑作を演じる演劇シーン。
表情、セリフの言い回し、声量まで全てがパーフェクト!
駆け寄って抱きしめてあげたくなりました。
青年期。犬達と、サルマとの大切な思い出だけが救いで希望でもあった若きダグラス。
このパートは、全体的に感情を抑えた、静かなトーンを通すダグラスが、感情を爆発させる数少ないシーンも含まれており、こちらの心もヒリヒリと痛んだ。
そして何と言っても凄いのは、
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ!!
怖いくらいの圧倒的な存在感!
ダグラスの人生を全身全霊の演技力で魅せてくれました。
ベッソン監督のキャスティングにはいつも感服してしまうのだが、本作も然り。そしてキャストも120%の演技でそれに応えており、全てが完璧だった。
刺さったーーー!!
私は聖書も詳しくないし、キリスト教原理主義者の信仰心もわからない。
だだ、父親と兄の描かれ方は、アメリカ白人保守者への皮肉、批判が強烈で、ヨーロッパ人のベッソンならではの表現なのかなと思いました。
(アメリカ国旗も掲げられていました)
フライヤーのキャッチコピー。
まるで「ジョーカー」??
私はジョーカーは、アーサーの妄想部分が大半なのかな?という理解だったのですが、もしかしてダグラスも
「信頼できない語り手」だったのか。。?
と混乱している。
サルマの所へは行ったのかもしれないが、実際には会えなかった?とか
(結婚は記事で読んで知った?)
見所だったピアフ!!!
リリーマルレーン!!
だけど明らかに吹き替えでした。
本当はあれ程の喝采は得られなかった?
(あれが現実だったら、ベッソンはケイレブ本人(ダグラス)に歌わせていると思うんだよな。。)
それに、現実だったとしたら、観客、支配人、ドラッグクイーン達の心をあれ程掴む事が出来たのなら、もっと出演オファーがあったはず。
車椅子があの場にそぐわなかったとしても、椅子に座ってのパフォーマンスでも許されそうだし。。
ファンだと偽って楽屋に訪れた調査員が渡した一輪のバラ。
「本物のバラ?」「本物だ」
の会話も引っかかっていて。。
そんな事言うかな?違和感あった。
もしかしたら、ここは実際に起きた
「本物」で、他は「こうだったら良い」っていう妄想?!
現実と妄想が混在していて、ダグラス本人も区別がつかなくなっているのかもしれないが。。
これも私の妄想か??
監督の意図とは違うかもだし、読み取りが出来ていない部分も多いだろう。
しかし、心臓を鷲掴みにされた事には違いない!
聞き手となる精神科医のエブリンもキーパーソンだった。
ダグラス同様に男である父親、パートナーに苦しめられている。
子供や女性、弱者が男の暴力に脅かされているのは、人種・年齢関係なく今も続いている。
ダグラスが女性のように着飾っているのは、自らの男性・性を否定したい現れだったのかなと思った。
あと、やっぱり、ダグラスは、
GOD F◯◯◯!!だったと思うのよ。
GODのかがみ文字でDOG 反転。。
聖書で「犬」はかなりネガティブな扱いなのは有名ですが。
その遣い手のDOG MAN
補助具を外し、自らの足で歩き、教会を見上げるダグラス。
絶命するとわかっていても神の前に立つのだ。
どうだ!!と言わんばかりの彼の意思がこもった強い眼差し。
紫のジャケットに身を包んだのはダグラスのプライドだろう。
落とし前をつけたんだと思った。
(「紫」はキリスト教では、償い、死者の贖罪という意味があるそう。
ジョーカーも紫色の服を着ていたと思う)
キリストの十字架の影の上に倒れたダグラス。
このシーンもまるで反転しているかのようだった。
( ; ; )( ; ; )
ラストは名シーンになり得たはずなのに!!
カットもカメラワークも良かったと思う。
それなのに映像面でのCGの粗さ?
安っぽさが目立ち非常〜〜に残念!!
ブルーバックじゃん、もうちょっとど〜にかならなかったか!
何で最後の最後でアレなんだ( ̄∇ ̄)
(フランダースの犬なのは良いけど)
それから予告の見せ方がミスリードだし、
キャッチフレーズの
「ダークヒーロー爆誕」って( ̄∇ ̄)
ジョーカー意識で集客を狙ったのかもしれないが、、
いらないいらない安い安い。
私にはダグラスがダークヒーローには思えなかった。
レオンの〜もいらないいらない。
(フライヤーが「ゴールドボーイ」
タイミング悪かったね泣)
今回のエリックセラは随分とメジャーな楽曲を選んできたなという印象。
でも選曲が名曲中の名曲、傑作ばかりなので、みんな知っているから、感動は絶対に!誰でもしちゃう仕組み。
私も当然号泣。
タイトルにした聖書の言葉。
理解が、難しい。。
と、長々書いてきたけど、
終始放心状態でフリーズ。
なんだけど、震えるの!すごかった!
3月。コレで終わってもいい。
刺さった〜〜!!
◎私の観方は違うかもしれません。
自分でも整理出来ていないので、矛盾点とかあると思いますが、とりあえず、熱い気持ちを残しておきたく書きました。
みなさんのレビューをたくさん拝読したくなる作品でした。
こんにちは
キリスト教に疎いので、解説していただいた感じです。
「信用できない語り手」、そういえば。
事前にそれらしい描写もなく唐突に「歌える」ってキャバレーで客の前で朗々とエディット・ピアフで大喝采、って、彼演技はしてたが歌えたんだっけ?と思いました。明らかに口パクだったし。「ジョーカー」ほどはっきりとはわかりませんがそのように見れば怪しいところはいくつかありますね。
こんばんは。
リリー・マルレーンを聴きたくなってさがしてみたら,戦中にドイツ語版を歌っていたのはララ・アンデルセンという歌手で,マレーネ・ディートリッヒは戦後にもっぱら英語版を歌っていたのだそうです。映画ではディートリッヒの形態模写という設定なので英語歌唱が正解ということになりますね。ちょっとびっくりです。
そういえば、バラは赤でしたよね?
赤いバラは殉教、白いバラは聖母の純潔、という意味があるそうです。
深読みすればラストへの伏線かも?(でも、保健調査員がなぜそれを?)
コメントありがとございます〜
本当に、やさぐれていない!!というか逆に丁寧、柔らか。犯罪をしたので誠実とは言えないけれど、ダグラスの物腰は数々の経験故にか、何かを超越していたなーと。
だからこそ爆誕はいらん!←念押し〜。
共感ありがとうございます。
「レオン」は功罪深いですね~ベッソンのキャリアの中では大成功なんでしょうが、自分では劣化の始まりのような気がずっとしていました。今作には現在表現したい要素がいくつも感じられ、低迷も伊達じゃなかったなと思いました。
鋭くて、熱いレビュー。ムネアツです。アタクシ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズほんとに好きなんですよね。元々はミュージシャン。はじめて観たのはニューヨーク親切なロシア料理店でした。ウレシイです。
聴覚と嗅覚の刺激は防ぎ様が無いですね。
ところで、ベッソンが米国白人社会におけるキリスト教の扱いを皮肉っている、というような見方はなかなか「いえてる」と思いました。御指摘ありがとうございます。
ゆきさんのレビュー、刺さりました!信用できない語り手、を私も考えましたが信用するしない、もうどうでもいい、映画がいい、ケイレブがいいのでいいのだと思いました。フライヤーをちゃんと読まないことが多いので、ジョーカーとか、レオン以来!とかにも影響受けなかった。他の売れた(?)作品を引っ張り出すことで観客はイメージしやすくなるかもしれませんね。でも引っ張られるのはなあ、とも思いました。
コメントありがとうございました。
リンカーン・パウエルっていう子役は確かに素晴らしい才能を持っているようだし、演出もよかったですね。
ところで、今回は迷惑行為には遭われなかったですか?
共感ありがとうございます。
ベッソンの新作、正直不安しか無かったんですが満足出来る出来でほっとしました。音楽がベタ、マッドマックス?がトコトコ歩くシーンに“So what”なんて誰でも思いつきそう。