愛を耕すひとのレビュー・感想・評価
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王
貴族の称号、それなりの報酬を求め王の家を作り、苦を乗り越え偉業を成し遂げた男。
彼は優しく偉大なるも、時に人生の選択を間違えたり。
行動すべき所で踏みとどまったりする。
彼の人生は晩年まで描かれるが、その選択ミスは一生の効後悔、懺悔となったり。
いくら大きな事を成し遂げても人生に悔いは残るんだな。
王たる者も、人で有ればやっぱそうなんだな。
でも彼は最後あれほど欲しかった貴族の称号、お金、地位を、全てを投げ捨てその後悔を取り戻しに行動する。
そうだ、それで良いんだ!
キミの一番はもう持っていたじゃ無いか、ただ無自覚だっただけだろう、キミが得たモノは偉業や、農産資源じゃ無いよね。
彼が施設で娘抱きしめ、最愛の人を救い出し、何も無い野原に強引だろう、法に背いてもただ妻を助けたかった転げ捨てられた手錠に、切なさと正しさと、決意の行動が描かれてた。
正しい王でも選択を誤り、自分を恥じるんだな。
間違いは有るさ、でもソコを全力に、全てを捨て正しさに向かうのが本物で有って欲しい。
これが史実だって?やるやんカッコいいやん。
荒野の果てに見つけた小さな春の芽
敵の狂いっぷりがしんどかった
主人公はマッツ・ミケルセンだけに、とにかくいい男として描かれていましたね。
敵の横取り汚職貴族・シンケルの気が狂っていて、嫌がらせの遣り口が陰湿なのがしんどかったわー
そのシンケルが、どうやってマッツに●されるのかを楽しみに待つこと、110分くらい。
邦題がネタバレみたいになっていました。
理不尽に負けず自分を貫く
BASTARDEN
18世紀のデンマーク開拓史の実話という事だが、正直言って時代背景の知識はほぼゼロの状態で鑑賞。ただ、それでも観ている間に登場人物の人間関係は分かるので問題はない。
非道な領主からえげつない仕打ちを受けながらも、貴族の称号を懸けて荒野の開拓に挑む退役軍人の話。悪徳な権力者というのは、どこの国にも実際にいたんだなと率直に思う。
原題の「BASTARDEN=私生児」は、貴族と使用人の間に生まれ、父親に認知されなかった主人公の出自のことを表してるのだろう。だからこそ貧困から脱するためだけでなく、自らの尊厳のためにも過酷な挑戦を続けたのだと推測。途中から家族とのつながりに目覚めていくところも人間味を感じるストーリー。
マッツミケルセンの演技と佇まいはやっぱり格好いいの一言で、それだけで観ていられる。もう今年で60になるらしいが、こんな風に年を重ねたいと思わせてくれる名優ですね。
主役の演技に高評価。
これは私たちの分‼
貴族の称号を得るために不毛の土地を開拓しようと奮闘する元軍人が、悪い地主に邪魔されながらも様々な人と出逢っていく中で…といった物語。
中盤までは、割と静かな場面が多くを占めるが、そこは北欧の至宝!その画をずっともたせてくれるのは流石です!それでいて、はじめは子供相手にも容赦がないですね。「知るか!」にはゾクッとしましたよ(笑)
逃亡者の夫婦やゴロツキの少女等々、アウトローな人々がその時々の利害によって集まったり去ったりする流れは見応えがありますね。権力と人間の汚さがこれでもかと…。
また、思いの外ロマンスやアクションなんかもしっかり見せてくれましたね。収穫祭の影で湖のシーンなんかは思わずニヤニヤしちゃいましたよ。イチャつきやがって(笑)‼んで、若き地主も、恐れられながらも一目置かれていない感じがまた良い味出している感じ。
終盤はいよいよ事が大きく動き出した感じで緊張感が‼あの方とあの方のニヤミス!?…からのこの共闘(⁉)はアツい。これは彼の分、そして追撃のあそこは…きっと苦しめられてきた彼女たちの恨みなのでしょう。
登場人物も皆良キャラ揃い。逃亡者夫婦や神のお兄ちゃん、ゴロツキ達…。この土地の開拓に関わった全ての人達が魅力的でした。
しかし、ちょっとわからなかったのが、この時代の背景とか詳しくないがケーレンは国王のお墨付きなんだったら、有力者とはいえシンケルの一人くらいどうにでもできたんじゃないのかな?この時代の地主がとても権力を持っていることはわかるが、国王の土地を好き勝手しても黙認されるほどなのか?
とにかく、この時代と悪権力、自然の厳しさをまざまざと見せつけられながらも、そんな哀しみの中に隠れた小さな幸せ…春の芽のような希望をほんのりと感じられる良作だった。
ヒース
原題:Bastarden=ろくでなし
日本語題は誰が考えたのか知らないけれど、原題の方が作品の内容には
合っていると思った。
*追記*一度投稿してから、他のレビュアーさんが「私生児」の意味もあると
書いておられたのを読んだので拝借してここに追記します。
ろくでなしとは作品に登場するフレデリック・デ・シンケルを
指すのだろう。退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉(マッツ・ミケルセン)
が荒野を開拓して農地にしようとするのを邪魔する極悪非道の男。
その地域を仕切っている有力者だけに質(たち)が悪い。権力を
持っていて周囲の人間は逆らえないから好き放題だ。
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(原題:Gladiator II)に登場する
双子の皇帝に匹敵する。
そんな奴の妨害に遭う一方で自然の脅威やら人的資源の問題やらが
障害となり心が休まる暇などなかったに違いない。だから「愛を耕すひと」
というロマンス的な雰囲気の題はちょっと合わないと思った。
誰かを愛するのは間違いないがそれだけがこの映画の主題ではないはずだ。
ケーレン大尉自身もただやられるだけではなく彼なりの方法で
解決しようとする。不利な状況を打破するには綺麗ごとでは済まない。
彼が取った行動もなかなかのものだった。
18世紀のデンマーク。アメリカの西部開拓時代のような、ならず者が
蔓延る世の中では自分の身は自分で守ることも必要だったに違いない。
ぶれない自分軸を持っていて信念を貫こうとする人はやっぱり強いし
必死の努力の先に得られるものは大きいと感じた。
史実に基づく歴史小説が原作。この映画では予備知識がなくても
時代背景や人物の成り立ちが分かりやすく描かれていて良かった。
小説用の創作や映画用の脚色は当然あっただろうが、とても
ドラマチックな内容だった。壮絶という言葉が本当にふさわしかった。
デンマーク・ドイツ・スウェーデン合作。デンマークが舞台の
デンマーク語の映画は普段観る機会があまりないから貴重だった。
おそらくデンマーク映画界の最高峰のスタッフ・キャストが集結して
製作されたと思われ、質の高い映画を観た充実感が得られた。
マッツ・ミケルセンの渾身の演技が良かったが他の出演者たちも
それぞれ印象に残った。
(余談)予告編を見た時、日本語字幕の「決して違う」という表現に
違和感を覚えた。「決してーーではない。」という使い方が普通では?
その部分は本編ではまともな翻訳になっていた。
今ひとつ主人公の心境がよく分からないのよ。
重厚な歴史ドラマ。デンマーク語(だよね)であるところが好感持てる。最近は大市場のアメリカを意識してかヨーロッパが舞台であっても全編英語っていう映画が多く違和感を抱くことが多い。ナポレオンが英語喋っている作品もあったよね。
舞台はデンマーク領ユトランド半島。「バベットの晩餐会」と同じ土地です。あれは海っぺりだったけど本作は内陸の荒れ地(ヒース)。時代は「バベット」のちょうど100年前です。
まずこの時代感というか主人公の生活環境の過酷さがいまひとつ表現できていないと思う。かたや仇役のシンケルの暮らしぶりのキンキンさ。デンマーク王国は全盛期はかなり豊かだったと聞くけど片田舎の荘園領主があんなウィーンのど真ん中みたいな生活していたかなあ。
映像は確かに美しいけどどうも土にまみれて大地を耕しているという感じはしない。小綺麗なんです。
最大の問題はルドヴィ・ケーレン大尉の人物表現。この映画の原題は「Bastarden」私生児です。原作にあたっていないのではっきりは言えないがこれは彼が周りからそのように呼ばれ蔑まれていたということでしょう。人格形成に影響がないわけがない。そのような経験は、上昇志向がありながら卑屈であり、時として優しく時として冷酷で暴力的な人間として、すなわち二面性のある複雑な人間を生み出すと思う。冷酷なところはならず者たちに罰を加えるシーンに表れているがその他、基本的にはこの作品はルドヴィ・ケーレンという人物の心の中には分け入っていない。全てマッツ・ミケルセンの重厚な演技で覆い隠されていて単に鈍重な我慢強い人にしか見えず今ひとつ心の陰影が見えてこないのです。演出のせいではもちろんあるのだが、ミケルセンの演技プランにも問題がなかったといえるのか?素晴らしい演技だ、名優だともてはやす声があまりにも多くて、天邪鬼の自分としては疑問を呈してしまうのです。マッツ・ミケルセンの最高演技は007のル・シッフルだと思っているひとなもんで。すいません。
男爵の由来じゃないよ
あんまり話題になっていないけど、マッツがでてるとつい見に行っちゃいます。
マッツはやっぱり、期待を裏切りません。それでも、誰でもわかる主演作があげれない、ライダーズ・オブ・ジャスティス?重賞もとっていないんじゃないかなぁ?
地味なこと以外は減点ができません。
史実を元に脚色していると思うけど、現代人の視点では結末も合格です。
原題はBastardenで英語から考えると「クソ野郎」なので、むしろこういう邦題を付けるとかえって敬遠するひともいるんじゃないかな。
作物の育たない荒れ地を開墾する話し。全く笑わない「クソ野郎」のマッツと作物がちょっとだけ生長するのを眺める作品。封建制を敷いている国であれば、どこでも成立するストーリー。空き地とお屋敷があればお金をかけずに撮影できそう。日本でも頑張ってリメイクしてみて下さい。
本作やイニシェリン島の精霊、燃ゆる女の肖像みたいな寒くて風が強そうな所は、食材のバラエティーがなくて、実にメシマズに見えますね。現代においてもそういったところの食事は単調ですもの。ビタミンなんて単離されてないとは言え、あのような食事をしていれば寿命は短くなるよね。それに比べると、同時期の江戸の町民の食生活は恵まれてるし、文化が発展する余地があるんだなと、見ながら思いました。あと、あの領主はフルーツゼリーがよっぽど好きなんだろうね。ケーキは手を付けてなかったけど。
配信で上がっていても気付かなそうな作品なので見ましょう。
ずっと見ていられる!
凍てつく心を耕したのは?
マッツ・ミケルセンの演技に圧倒された約2時間だった。
「007カジノ・ロワイヤル」や「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」しか映画ではお目にかかってないが、存在感がある俳優とマークしていた。
だからこそ、期待して「愛を耕すひと」(原題「BASTARDEN」の意味である「私生児」とはかけ離れているようであるが映画の結末から納得した)を鑑賞したのだが、期待以上の感動をもらった。
とても嬉しい❗
不毛の大地を独りでも開拓しようとするルドヴィ・ケーレンが、襲い掛かる自然の脅威と地主であるフレデリック・デ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながら、彼のもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの凍てつく心に変化が芽生え、愛するようになっていく。
アンマイ・ムスとの別れと修道院で再会のシーンには涙が溢れた。
演じたメリナ・ハグバーグは初めての映画出演だが難しい役をこなしていた。
フレデリック・デ・シンケルのシモン・ベンネビヤーグの徹底したサイコパスな演技がこの作品をさらに見応えあるものにしている。
結末が予感できたためスコアを「4.5」にしたが、初めてのデンマーク映画、重厚な色彩の映画を観て良い時間を過ごした。
是非とも観るべき一作。
2509
愛憎渦巻く濃密なドラマ
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