「Till」愛を耕すひと ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Till
マッツの最新作、近年は大作やアクションものが多かったですが、久々に人間ドラマな作品がやってきたのでいざ鑑賞。
思っていたものとは違いましたが、史実に沿った重厚な人間ドラマが味わえました。
ジャガイモ作りに励むケーレン大尉とその土地までに出会った人々とのハートフルものかと思いきや、早い段階から不穏な雰囲気漂う感じで、思った以上に血生臭い展開もあったりとで驚かされました。
ケーレンも良い人なのかなーと思っていたら気難しく、最初は人を道具のようにしか見ない感じでいけ好かなかったんですが、人々との交流を得て人としての成長をしていくっていうシナリオが活きていたなと思いました。
ケーレンと関わりのあった人の死がダイレクトに突き刺さる展開が多く、救いのある展開よりも鬱屈とした展開がオープンで進んでいくので中々に重いのは好みが分かれそうです。
デ・シンケルが底無しのクズ野郎だったのもとても良かったです。
自分に敬称を付けることを要求しながらの登場シーンが嫌なやつだなと思いましたが、煮え湯の拷問シーンの容赦のなさと高笑いでまずフラストレーションが溜まり、怒りのあまりメイドを窓から突き飛ばして殺したり、残飯をわざわざ渡しに行ったりとバカだけど変に頭が回って権力があるから厄介というこの手のドラマ作品の中でも一級品のクソムーブをかましていました。
その分シンケルがアン・バーバラにギッタギタのボッコボコにされるシーンはテンション上がりました。
薬入りの酒を飲ませてぶっ倒したあとにブッ刺しまくりからの男の一物をかっ割いたところはヒャ〜となりつつもスカッとしました。
アン・バーバラの目がギラギラしていてゾワゾワしっぱなしでした。
地味にシンケルの部下を殺すシーンが暗殺者じみた隠密っぷりでしたし、どの行動も隙がなかったのが面白かったです。
思想によって差別的な要素が生まれるのも時代背景と照らし合わせて見ても納得いくものがあり、アンマイ・ムスを手放す展開は仕方がないとはいえ中々辛いものがありましたし、アン・バーバラの逮捕後も物悲しいものがあったりしました。
終盤はちと駆け足な感じがあり、アンマイ・ムスとの別れがあっという間すぎてどこか見逃したのかな?と思いましたし、アン・バーバラとの再会も無理くりすぎないかなとは思いました。
映画館でじっくり味わえて良かったです。
濃厚な演技を大スクリーンで堪能できるのはいいな〜と劇場を後にしました。
鑑賞日 2/19
鑑賞時間 13:25〜15:45
座席 C-6