オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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醜いエゴが権力という形で現れるもの
野望と承認欲求が膨らんで、誰かの悪意に制御されるようになるまで。
共産党宣言の考え方は爆薬(それを生んだしそれ自体も)だと思った。それを科学に応用し、実現した頃には誰かに利用されていた。
序盤で示されたプリンストンでの挫折経験をコンプレックスに持っていたのか自信の影響力を拡大したいにつれ
戦争を止めるための戦争をして、研究と自己顕示の快楽に溺れていた感じだった
さいごまで権力争いだった
身の回りの危機管理に無頓着
クリストファーノーランの集大成。でもオスカーって程では···
聴聞会をストーリーの柱に据えた事で、専門用語が飛び交う内容でもだれることなく最後まで緊張感を持続出来た(そこはノーラン監督の構成の上手さ)
でもそのせいでテーマが見えにくくなった。
序盤は赤狩りと闘う科学者がテーマなのかと困惑したほど(終盤でやっと聴聞会の真意が分かる)
目的は戦争の早期終結でそのための原爆開発だった。
科学者としての純粋な探究心で大きな業績を成したが、その結果20万を超える日本人が死んだ。
描きたかったのは後悔か贖罪の念か、
人類はもう核兵器のない世界には戻れない。
「私は世界を滅ぼした」というオッペンハイマーのセリフには深い苦悩が感じられるが、ストーリー上その描き方は不十分。
水爆の開発に反対し続けたのは何故か?その問いにも答えていない。
科学は人類の進歩のために神が人間に与えた火。
でも強欲な大衆は果実のみを奪い、代償はオッペンハイマーが1人で背負う。
理由は誰よりも自分に正直だったから。
酔っ払いが吐くシーンは英雄扱いを受け入れられない心理の比喩。直接やると演出過剰だからエキストラに吐かせた。
原爆を開発し日本人を大勢殺したから英雄なのではない。
過ちに気付き、核兵器の拡散に歯止めをかけようと誠実に行動したから英雄なのだ。
その結果科学者としての地位を追われることになっても。
ヒーローの自己犠牲はダークナイトライジングでも描かれていたが、今作にも同様のテーマがあった。
また正確な時代考証にこだわったためか、一言二言の台詞のために出てくる人物が多すぎた。結果人物関係の把握が困難に。説明台詞も増え教科書映画的な側面が生まれた感は否めない。
キリアン・マーフィーとロバート・ダウニーJrの芝居が素晴らしかっただけに、もっと2人の関係に絞って描いても良かったと思う。
3時間あっという間の面白い映画だったけど、アカデミー賞を取るほどかというと、そこまでではない気がした。
難しい映画
やっと重い腰を上げて見ました。
原爆の父の伝記的な物語という事と、180分と言う時間で敬遠してました。
アメリカから見た原爆なので、まぁ日本人から見たらモヤっとする映画ではありますよね。広島・長崎への原爆投下もあっさり語られただけだし。
まぁ、終始オッペンハイマーの物語です。が、これまた難解ですねぇ。集中して見ないと迷子になります。しかも、ノーラン監督ですから相変わらずの時間軸あっちゃこっちゃです。
うーん、ついていけない。と思いながらも映画は終わってしまった。そして後にはなにも感情残らずです。面白いとか、ためになったとかも、日本として腹だたしいとかも、とにかく何も感じず終わりました。しかもつまらなくも無い。
ただただ、難しい映画でした。
長い!
アインシュタインとの含蓄ある会話がいい
量子力学と科学史は大学でほんの表面を撫でる程度に履修したくらいの知識です。
なので用語や登場人物は頭に入ってくるのですが最初は少し場面の時系列がわかりづらかったですね。
最終的にはきちんとまとまるのですが。
原爆表現に関して日本の悲惨さが描かれていないという批判がありましたが、これは終始あくまでもオッペンハイマーとストローズの視点なので描写が無かったことは観ていてそこまで気になりませんでした。
(逆に被害者視点の作品はやはり我が国で変なイデオロギーにとらわれず冷静に製作すべきという思いを強くしました)
原爆投下後のオッペンハイマーの気持ちのゆらぎの表現や、アインシュタインとの含蓄ある会話は素晴らしかったです。
緊張感のある場面の連続で3時間という時間もあまり気にならなかったです。
ただ、セックスシーンをあんなにあからさまに描く必要ありましたかね?
これじゃ「おっぱいハイマー」っていう奴絶対出てくるじゃん。
そんなわけでR15ですが15歳以上の子供でも親子での視聴は気まずくなるかもしれないシーンがちらほらあるとお伝えしておきます。
太陽の子と通づる
ラストが素晴らしい…
アメリカ人の為の映画
大嫌いな監督だが原爆に触れるのなら観なければ、と鑑賞。
アメリカ至上主義、その傲慢さ
そのダサさが世界中にバレてる中での
国を挙げてのプロパガンダ映画。
今更だけどアメリカ映画のテーマははほとんどが自由意志の追求の為なら何をしてもよいというスタンス(愛の為なら何をやってもいい等)
ノーランは近年のその筆頭といえる。
インターステラーを何度か見てみるといい。
最初は面白いかもしれないが(私も最初はそのファンタジーに酔った)何度かみるにつれそこには自由意志を基盤にしたありえない身勝手さと、自分の星の崩壊責任、テラフォーミングを差し置いてそれらを全てファンタジー物理で解決という異常さが浮き彫りになってくる。
主人公は「生まれた星で死ぬ義理はない」と言い切る。
殺戮を基盤にその傲慢さを維持してきたアメリカ。
彼らのアイデンティティ維持の為のアメリカ人の為の映画。
これまでの歴史で殆ど原爆について触れてこなかった中で
アメリカ視点での原爆が大々的に語られる。
それが世界における原爆における事実として「クラシック化」されるのが何より怖い。
「一個人の視点を述べただけ」という多様性を盾に「原爆投下は仕方ない一面があった」と言っている。
最近私はアメリカ映画から本当に遠のいてしまった。
GHQ支配下において広島島生まれでありながらアメリカ映画に酔っていた幼少期。
しかし現行のモラルではそれらは今とても観れない。
自分がいかに彼らの洗脳下にあったかを思い知らされている。
複雑な道のりと複雑な思いが伝わる
多勢の登場人物。そして彼らの、豊かな表情や意味深な台詞。また様々なシーンで、視覚的な印象が残る。映画ならではの良さ、という点で満足度が高かった。
選択がなされ決行されるまでの道のりは単純ではなく、博士をはじめ関係する人々の思いは一直線ではなかった、それがよく伝わってきた。もしこれが米映画にありがちなわかりやすく単純なものだったら受け入れ難かったと思う。言うまでもなく、エンタメや勧善懲悪のノリでは扱ってほしくない。簡単に結論付けられてほしくない。しかし、このように現実的な流れを丁寧に細かく追う路線ならば、割合受け入れやすくなると思った。
様々な人の思わくや判断そして世界情勢の変化などが絡み合っていたということを、この作品のお陰である程度具体的にイメージできるようになった。それはよかった。
映画館で見ずにVODで観たのは、わたしの場合は正解だった。ときどき数秒前に戻して台詞を見直すことができたから。一度では流れが飲み込めないところが結構あったため。(笑)
もう一度観ると理解が深まるかもしれない。
だいぶ遅くなりましたが?…(本文に続く…)
(タイトルからの続きです…)書きます。
私的な趣向として(鑑賞済みと、未鑑賞のままの封〆(上映終了)の作品を合わせて)…先の大戦関連で、5(升型テレビ拝聴も含めて作…映画は3)作見たうちの…真ん中(時代の趨勢(終局間際のみ)もの)に相応しい作品でした。
因辣(ちなみに)順逆ですが、この作品を柱にして時代背景上…先に鑑れなかったのが…閑心領域(アウシュビッツの前期時の)で、同地域関連で見たのが(同上の後期同の、五十音順で)…シンドラーのリストと戦場のピアニストで(コメントしてる映画(連盟軍*3&4)とは)逆の枢軸側が主人公もので、観たものに同で、関心領域に近かったのが?…(ノモンハン〜ソビエト社会主義共和国連邦→コタンタン(*1&2)半島に渡った、韓国籍(?)の実在した人物(1920-96)の晩年のインタビューから元に生まれた!ドラマ?を映画化した…)マイウェイ12000キロの真実の作品です。
補足‥
*1は…フランス共和国内にあるノルマンディー半島の現地読みで、*2…あの地方は?…ブルゴーニュとも…いや後で確認してから再補記致します。
*3‥連合軍は、歴史教科書の…でして、*4日本ではこの映画の最後の投下(ファットマン)から6日後(1945/08/15)の降伏(武装解除を宣言)した為…ですが、*4実は?…大戦は?…最初は中立も、オッペンハイマーの先祖の地だったドイツで起きた総統暗殺(爆殺)未遂事件で、明るみに无了(なった)偽装亡命に手を貸したとして…国内で解散総選挙を行なって惨敗した中立派に変わって親独派の政権が発足した…パフラウィー朝イランが…偽装亡命の件の国際協力を拒否したために…戦争となり…イランも国連の休日元となった(1945/10/24‥日本では24-5)にサウジと大英帝国の湾岸諸国連合軍(ガルフユニオンズ)に降伏を申し入れたために…完全終戦(先の大戦の日付期間)は?…1937/07/07(or1)-45/10/24(or25)と記録も出来ます*5。
そのためソビエト社会主義共和国連邦に慄いたパフラウィー朝イランが…米英に近寄る政策を執った為?…1979/02/04に宗教革命が起こったのです…。
映画で被爆地の惨状を描かなかったのは、来日の際、オッペンハイマーが広島長崎の惨状を見ることが出来なかったことと同じで、彼の自責の念を描くためだったかもしれないと…
オッペンハイマーについては、
幾つかのドキュメンタリー番組があり、
彼の科学者としてやユダヤ人としての想い、
そして、人間としての苦悩についての
予備情報を得ていたが、
アカデミー作品賞受賞作でもあるので、
それらを超えてエンターテイメント作品
として何を描こうとしているのかと
この作品を鑑賞してみた。
この映画、
たくさんの要素を叩き込むような編集で、
ともすると私は置いてけぼりになりかねない
作風だったが、好感を持てたのは、
出来事の内実や登場人物の思考は多面的で、
決して単純化して描写出来るものではなく、
オッペンハイマーの苦悩そのものも
長尺の上映時間をもって描いていたことだ。
ところで、この作品には広島長崎の惨禍が
描かれていないとの批判があるようだが、
邦画の「ひろしま」や「TOMORROW 明日」
とはスタンスは異なるので、
戦争祝賀会での演説の際に
オッペンハイマーが見る原爆被害者の幻視、
また、ラストシーンでは広島長崎を超えての
人類の滅亡までを匂わしているのだから、
私にはその指摘は当たらないように思えた。
ただ一つ、秘密聴聞会での
愛人との裸の妄想シーンの必要性については
全くの疑問で、演じた2人にも
同じ画面に登場している俳優たちにも
訊いてみたいような恥ずべき演出に感じた。
さて、クリストファー・ノーランは、
「メメント」では時間の逆行、
「ダンケルク」では
異なる時間幅での同時進行、
そしてこの作品では
小刻みなカットバックと、
時間の扱いに特異な手法を使う監督だが、
この作品では、一科学者の思考世界に
観客を引き込む映像手法として
一番成功しているのではないだろうか。
彼の後悔について
連鎖反応
この映画のどこが日本公開を躊躇わせたの?
昨夏、『バービー』と共にアメリカ映画界を席巻し「バーベンハイマー」の造語までもを生み出しながら、被爆国日本では「触らぬ神に祟りなし」の意向が働いて(?)公開が見送られて来た、原爆の父・オッペンハイマーの上映が漸く始まりました。アカデミー賞受賞がかなり硬いと言う前評判が、日本公開の後押しにもなったでしょう。そして、主要部門を実際に独占しました。
そこで、クリストファー・ノーラン監督作の撮影意図に応える気持ちでIMAXにて鑑賞しました。そして、観終えて。
この映画のどこに日本公開を躊躇わせた要素があったのでしょう。原爆開発に向かう政治の力や物理学者の熱意は正邪も善悪もないまぜで、彼がなぜ原爆開発に邁進したのかも明確には示さず、かと言って丸投げではなく観客に正しく考えを委ねています。この綿密な記録は、日本でこそ観られなくてはなりません。不満や疑問ががあれば、日本から映画で答えればいいのです。でも、お涙頂戴戦争映画しかスクリーンにかからない現在の日本ではそれを望むべくもありませんが。
また、原爆投下直後の広島・長崎の惨状が全く映されていない事を非難する声があり、日本人として確かに残念ではあるのですが、オッペンハイマー個人を見つめる映画としてそれは或る意味正しい選択だったろうと僕は理解します。アメリカ人の逃げや誤魔化しとは思いませんでした。
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