「はまったら最後、映画沼」青春ジャック 止められるか、俺たちを2 TSさんの映画レビュー(感想・評価)
はまったら最後、映画沼
若松監督の作品は1本も観たことがない。彼が活躍した時代のことも知らない。
ただ、井浦新が若松監督に心酔しており、彼が監督を演じた映画(前作)があることは知っていた。近くのミニシアターでまだ上演してくれていたので急いで観に行った。
そういう若松素人さんが観ても面白い映画だった。
理屈抜きで映画が好きで映画を撮りたい若者たちと名画を広めたい支配人。
売れなきゃ映画も作れない、上映もできない厳しい現実と冷静に向き合い、映画界の将来を見据え、人材育成に力を注ぐ。そして、現場に入るとどこまでも熱い監督。
もがく若者2人(井上と金本)と、彼らを厳しく、優しく見守る大人2人(若松、木全)。映画沼にどっぷり浸かってしまった4人の日々は、映画をつくること・映画で飯を食うことの難しさ、苦しさ、面白さをド直球で伝えてくれる。
井浦新演じる若松監督は人間味に溢れている。こんな破天荒で面白いおっさんと一緒に焼き肉を食べてビールを飲んでみたい。若松監督への愛が伝わる演技だった。
井浦新以外のキャストで印象に残ったのは女性陣。金本役の芋生悠、木全の妻役のコムアイ。バーのママ役の田中麗奈。3人とも芯の強い女性たちだ。
なかでも芋生悠の演技は光っていた。鬱屈した想いを抱えたまま前に進めない、進もうとしない彼女。それでも最後に、3重苦のうちの1つの苦に向き合い、それを手放した。架空のキャラクターだが、違和感なく物語に溶け込み、存在感を放っていた。
熱いけど、暑苦しさはない。でもそれぞれの映画への想いはしっかりと。
映画好きのために作られた応援歌のような作品。
(2024年映画館鑑賞20作目)
共感ありがとうございます。
昔の若者は実験的な映画を良く観てたんだなぁ、良く自分も作ろうと考えたなぁと思いますね。現在の良い所は、新しい作品も引っくるめて何らかの形で観られる事ですかね、劇場でだとかなりのハードルですが。