ナチ刑法175条のレビュー・感想・評価
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どこまで人間は残酷になれるのか
アウシュヴィッツへ送られたのはユダヤ人だけでなく、当時の「刑法175条」で禁じられていた同性愛者のドイツ人も収容所へ送還され、虐殺され医学実験の標本にされ筆舌に尽くしがたい恥辱を味わいました。本作は、その事実を生存者が顔を出して語るドキュメンタリーです。怒りと悲しみの凄まじい言葉が並びます。
でも、戦後もこの法は生き残り、その完全撤廃は何と1994年だったのだとか。ベルリンの壁が崩されたまだその後なのです。
作中で語られる「歌う森」のエピソードが凄絶です。処刑が決まった人間は森の木に吊るされます。すると、森からは呻き声や悲鳴が聞こえて来てそれが「歌う森」と称されていたのだとか。どこまで人間は残酷になれるのでしょう。
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『大いなる自由』を観て…
想像するより何倍も酷かった
幾重にも重なる差別、迫害。
本当に許せないが、同じ人間の所業なのだ。
まだゲイというアイデンティティにも迷いがあるであろう思春期に、
突然、同性愛の容疑をかけられ、収容される。
自分自身にも迷いがある中で、
自分の中でも引き裂かれる思いの中で、
それ以上に外からも縛られる。
収容所では、
同性愛者の男性が最も低く扱われたのだという。
女性は生殖機能があるからまだマシなんだと。
どれだけ人の尊厳を奪えば気が済むのだろう。
人を身体でしか、機能でしか、語れなくなったら終わりだと思う。
おそらく当事者にはまだまだ言えない
おぞましいことが沢山あるのだろう。
どうか、彼ら彼女らの傷が
消えることは無いだろうけど、一刻も早く癒されてほしい。
きちんとした補償を受けて、回復してほしい。
もうこれ以上、涙を流させるような法律は撤廃されてほしい。
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