ほかげのレビュー・感想・評価
全109件中、101~109件目を表示
ヒリヒリとした空気感の割に「戦争の理不尽さ」が伝わってこない
戦災で生き残った女と復員兵と戦災孤児が「疑似家族」を構成することで、戦争で荒んだ心に仄かな幸せの火が灯る・・・
つい最近の「ゴジラ−1.0」でも同じようなシーンを見かけたが、こちらは、時としてホラー映画のような画面作りが不穏な空気を醸し出している。さらに、耳障りにも感じられる大音響の効果音や叫び声が、ヒリヒリと神経を逆撫でする。
この映画は、前半の室内劇と、後半のロード・ムービーの大きく二部構成となっており、全体としては、少年の目を通して、生き残った人々に刻まれた「戦争の傷跡」が描かれている。
ただ、後半の、捕虜の殺害を命じた元上官に復讐しようとする元兵士の話はまだしも、前半の居酒屋の話からは、少年や復員兵が悪夢にうなされている場面以外は、あまり戦争の悲惨さは伝わってこない。
あるいは、「ゴジラ−1.0」ではテーマにもなっていたサバイバーズ・ギルト(生き残った者の罪悪感)も描かれず、どうも戦争や空襲のトラウマが観念的で、生々しく胸に迫って来ないのである。
あの時代に、同じような境遇で、体を売らなくても生きて行けた女性はたくさんいたはずなのに、どうして居酒屋の女が、そうなってしまったのかもよく分からないし、闇市などにたくさんいたはずの戦争孤児が、たった一人しか出てこないのも不自然に感じる。
ザワザワとした、あるいはヒリヒリとした空気感の割に、「戦争の理不尽さ」のようなものを実感することができなかったのは、やや肩透かしだった。
彼らの悲痛な思いを忘れてはならない
小動物のような可憐さと野生味。不安気な表情、そして時折見せる柔らかな笑顔。趣里さんの魅力、渾身の演技に引き込まれた。
或る決意を胸に秘めた男性を森山未來さんが、かつて心優しい小学校教員だった復員兵の青年を河野宏紀さんが、つぶらな瞳が印象的な戦争孤児を塚尾桜雅君が熱演。
ほぼ満席のキネマ旬報シアターに登壇された塚本晋也監督。平和への思いを優しい声で語られる姿が印象的でした。
戦争の惨たらしさを私達は決して忘れてはならない。
映画館での鑑賞
暗くて意味不明な時間が長すぎる
独特な雰囲気で面白い映画です。誰が監督か分からない作品より良い。
ただ、この映画は、とにかく暗いシーンが多く何をやってるか分からない。カット割りも多いので、誰が?何を??というシーンが多い。さらに初めの60分くらいは意味がわからない。
かなり苦痛。
配信では見てられないと思う。スクリーンより画面の方が暗すぎて分からないだろうし、とにかく60分は辛い。私なら絶対途中で止める。
趣里と森山未來の演技で何とか観てられる。
特に趣里はファーストシーンで子供出てきたと思ったくらい可愛らしい。
最後の20分くらいでようやく意味がわかったけど、、、感動したり泣いたりすることでもないかな、、
ただ、映画は監督のもの、これだけ個性的な映画になってることはすごいと思います。
坊やの用心棒
戦争孤児の強い眼差しの先に…
どんな戦争映画より
戦争の愚かさ虚しさを痛感する
塚本晋也監督の作品。
2014年に公開された塚本監督版「野火」は
今まで体験した戦争映画の中で
最も生々しい衝撃を与えられました。
戦地で植え付けられた
恐怖や苦痛、憎しみは帰還兵の
精神を蝕み続けます。
戦争が終わっても終わらない苦しみ。
広島出身の自分は小学一年生から
8月6日の登校日は全校生徒で
原爆の映画を鑑賞しました。
小学生にはトラウマ級の残酷な表現や現実は
戦争への嫌悪を植え付けてくれました。
絶対に必要な経験だったと
当時の教育方針に心から感謝しています。
信念も良識も矜持もなく
バイデンの戦争ビジネスに加担し
日本を戦争の出来る国へ向かわせる
岸田総理に是非鑑賞して頂きたい。
戦後の生活って壮絶だゎ
結構見てみたら得した映画。
タイトルなし
TIFF2023にて。
この作品も、『野火』『斬』同様の、ヒリヒリした、不条理さからのやるせなさだったり、人の弱さだったりという機微が表現されていて惹き込まれる素晴らしい映画でした。
全ての登場人物に目力があって印象的でした。
映画祭QAで監督曰く、戦後の闇市にインスパイアされて、そこを舞台に何か作品を作りたかった。キナ臭くなってきた世の中を憂いての、祈りの映画だと話しておられたのも印象深かったです。
終戦直後の日本。
闇市が立つとある場所。
皆、戦争がもたらした不条理さに絶望し、目に怒りを宿し、心の傷を抱え、生きることを見失いかけている。
それぞれのキャラクターが交わる時、ドラマが生まれ、心の闇が少しずつ明らかになってゆく。たどる行く末がとても気になり、こちらもヒリヒリしてくる。
全ての愚直で不器用なキャラクター達がたどる先を見て、
「ああ、そうか…。そうなったか…。」
と心が傷んだ。
良きにせよ悪しきにせよ、それぞれの未来がある。泥の中でも咲く蓮の様に、立ち上がって上手く生き延びることが出来た者が最後に勝ったと言えるのであろう。
ラストはそんな希望を感じさせてくれる終わり方であった。
1946年以降、社会福祉のパラダイムが構築されても昭和中期までは、元闇市が発展してた場所などで、傷痍軍人などを見かけていたが、至る場所のある所では、こういう歴史を辿っての今があるのだな…と理解出来て、そういう意味でも、興味深い作品でした。
全109件中、101~109件目を表示