劇場公開日 2023年11月25日

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ほかげのレビュー・感想・評価

全90件中、81~90件目を表示

3.5戦争を終えるということ

2023年11月28日
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鑑賞方法:映画館

時は敗戦直後。心と身体に傷を負った人たちに灯影(ほかげ)を当てた映画でした。主要登場人物は4人。女(趣里)は出征した夫が戦死し、子供も戦災で亡くなった模様。飲み屋をやっているが、実際は生活のために身体を売っている。戦災孤児(塚尾桜雅)は、文字通り戦災孤児。喰うために盗みもしているらしい。復員兵(河野宏紀)も同様に文字通り復員兵だけど、出征前は小学校の教師をしていた模様。戦地での体験から、PTSDになっている模様。テキ屋の男(森山未來)は、テキ屋をやってる場面は登場せず、謎の男だったけど、やはり彼も復員兵。戦地での怪我で右腕が使えなくなっている。

そんな登場人物たちが、それぞれの”戦争”を如何に終わらせることが出来るのか、というのがテーマでした。結局将来に望みが繋がる解決に至ったのは戦災孤児1人だけという感じでしたが、それだけ戦争の残した傷跡が大きかったということが実感できる作品でした。印象に残ったのは、終盤の「戦争から帰って来られたのは、怖い人だけ」というセリフでした。逆に言えば、怖くない人、優しい人は死んでしまったということであり、一つの真実だとは思うんだけれども、戦争の恐ろしさを実感できるセリフでした。

物語的には起承転結がはっきりしていて、最初から60分くらい経過するまでの”起承”の部分は女の居酒屋が舞台となっており、てっきりワンシチュエーション映画なのかと思いました。しかし戦災孤児が家を追い出されて”転”の場面になると、物語は大きく動き出しました。テキ屋の男が戦災孤児が持っていたピストルに拘ったことから、何となく結末が見えてきましたが、森山未來の存在感溢れる演技とともに、非常に衝撃的な展開でした。

一方復員兵の存在は、イマイチしっくり来ないものでした。中盤まではキーパーソンの一人でありながら、女の飲み屋を追い出されて以降は物語に絡まなくなってしまい、最後の最後”結”の”結”の部分で申し訳程度に再登場というのは、ちょっと残念な展開でした。

いずれにしても、日本にとっては80年近く前の話ですが、世界を見渡せば今まさに戦争が行われている訳で、そうした地域に住む人たちが、如何に苦しい立場にいるのかということに、自ずと思いを馳せる作品でした。

因みに全く異なるジャンルの映画ですが、先日観た「ゴジラ-1.0」と時代状況も登場人物の心情も重なっているというのは、偶然なのでしょうか。思うに今の日本の状況は、第2だか第3の敗戦後とも言うべき惨憺たる状況とも捉えることが出来るような気がするだけに、そうした現代の状況がこうした作品を生んだのではないかと思ったりもしたところです。

そんな訳で、評価は★3.5とします。

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鶏

3.0ヒリヒリとした空気感の割に「戦争の理不尽さ」が伝わってこない

2023年11月27日
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戦災で生き残った女と復員兵と戦災孤児が「疑似家族」を構成することで、戦争で荒んだ心に仄かな幸せの火が灯る・・・
つい最近の「ゴジラ−1.0」でも同じようなシーンを見かけたが、こちらは、時としてホラー映画のような画面作りが不穏な空気を醸し出している。さらに、耳障りにも感じられる大音響の効果音や叫び声が、ヒリヒリと神経を逆撫でする。
この映画は、前半の室内劇と、後半のロード・ムービーの大きく二部構成となっており、全体としては、少年の目を通して、生き残った人々に刻まれた「戦争の傷跡」が描かれている。
ただ、後半の、捕虜の殺害を命じた元上官に復讐しようとする元兵士の話はまだしも、前半の居酒屋の話からは、少年や復員兵が悪夢にうなされている場面以外は、あまり戦争の悲惨さは伝わってこない。
あるいは、「ゴジラ−1.0」ではテーマにもなっていたサバイバーズ・ギルト(生き残った者の罪悪感)も描かれず、どうも戦争や空襲のトラウマが観念的で、生々しく胸に迫って来ないのである。
あの時代に、同じような境遇で、体を売らなくても生きて行けた女性はたくさんいたはずなのに、どうして居酒屋の女が、そうなってしまったのかもよく分からないし、闇市などにたくさんいたはずの戦争孤児が、たった一人しか出てこないのも不自然に感じる。
ザワザワとした、あるいはヒリヒリとした空気感の割に、「戦争の理不尽さ」のようなものを実感することができなかったのは、やや肩透かしだった。

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tomato

4.5彼らの悲痛な思いを忘れてはならない

2023年11月27日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

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こころ

3.0暗くて意味不明な時間が長すぎる

2023年11月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

萌える

独特な雰囲気で面白い映画です。誰が監督か分からない作品より良い。
ただ、この映画は、とにかく暗いシーンが多く何をやってるか分からない。カット割りも多いので、誰が?何を??というシーンが多い。さらに初めの60分くらいは意味がわからない。
かなり苦痛。

配信では見てられないと思う。スクリーンより画面の方が暗すぎて分からないだろうし、とにかく60分は辛い。私なら絶対途中で止める。

趣里と森山未來の演技で何とか観てられる。
特に趣里はファーストシーンで子供出てきたと思ったくらい可愛らしい。

最後の20分くらいでようやく意味がわかったけど、、、感動したり泣いたりすることでもないかな、、

ただ、映画は監督のもの、これだけ個性的な映画になってることはすごいと思います。

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だるまん

3.0坊やの用心棒

2023年11月26日
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悲しい

幸せ

終戦直後の東京で体を売る仕事をさせられている女と、そこにやって来た食べ物を盗んで一人で生きている坊やの話。

客としてやって来て久々に眠れた男にまた明日もと言われ、そして坊やと共に3人で眠る夜。

酒で現れた男の闇と、夜の仕事を辞める決断をする女と、そして坊やのお仕事と…。

気づけば主人公は坊やが大人の世界を見て変化する心情を描いた成長物語になっていて、なかなか面白くはあったけれど、想像していたより大人しく、生々しさや壮絶さとかがあまりなかったかな。

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Bacchus

5.0戦争孤児の強い眼差しの先に…

2023年11月26日
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トラヴィス

3.0趣里さん

2023年11月25日
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役柄にビックリ!

朝ドラヒロインの人の役柄では、ないですよね。

途中からストーリーがよくわからないです。

魚を手づかみは、ビックリです。

主人公は、子供ですか?

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完

4.0戦後の生活って壮絶だゎ

2023年11月25日
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鑑賞方法:映画館

以前観た予告から想像していたストーリーとはだいぶ違ったけど(そもそもどこで予告観たんだろ💦)、それでも観てよかったと思える作品。
目を背けたくなる場面も多数。

一、二を教えれば十以上わかる聡明な坊やのお話。

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らまんば

4.0結構見てみたら得した映画。

2023年11月25日
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鑑賞方法:映画館

全くノーマークだったので、とても堪能できた。チョッと他に例を見ない演出と表現主義的な映像が鮮烈な印象をもたらせてくれる。前半の役者の表情をカットバックするだけで、グイグイと物語を引っ張る。一転して後半は野外を舞台に移しその自然との対局に戦後の日本人の絶望を一人の戦争孤児を狂言回しに描いていく。今までの塚本晋也の作品には見られない深みが前半後半の落差として陰影を生み出し作品に奥行きをもたらしてくれている。

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mark108hello

5.0タイトルなし

2023年11月4日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

TIFF2023にて。
この作品も、『野火』『斬』同様の、ヒリヒリした、不条理さからのやるせなさだったり、人の弱さだったりという機微が表現されていて惹き込まれる素晴らしい映画でした。
全ての登場人物に目力があって印象的でした。
映画祭QAで監督曰く、戦後の闇市にインスパイアされて、そこを舞台に何か作品を作りたかった。キナ臭くなってきた世の中を憂いての、祈りの映画だと話しておられたのも印象深かったです。

終戦直後の日本。
闇市が立つとある場所。
皆、戦争がもたらした不条理さに絶望し、目に怒りを宿し、心の傷を抱え、生きることを見失いかけている。
それぞれのキャラクターが交わる時、ドラマが生まれ、心の闇が少しずつ明らかになってゆく。たどる行く末がとても気になり、こちらもヒリヒリしてくる。

全ての愚直で不器用なキャラクター達がたどる先を見て、
「ああ、そうか…。そうなったか…。」
と心が傷んだ。

良きにせよ悪しきにせよ、それぞれの未来がある。泥の中でも咲く蓮の様に、立ち上がって上手く生き延びることが出来た者が最後に勝ったと言えるのであろう。
ラストはそんな希望を感じさせてくれる終わり方であった。

1946年以降、社会福祉のパラダイムが構築されても昭和中期までは、元闇市が発展してた場所などで、傷痍軍人などを見かけていたが、至る場所のある所では、こういう歴史を辿っての今があるのだな…と理解出来て、そういう意味でも、興味深い作品でした。

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エミさん