「戦争なんてくだらねえぜ!俺の歌を聴け!」ボブ・マーリー ONE LOVE マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争なんてくだらねえぜ!俺の歌を聴け!
ジャマイカ
中央アメリカはカリブ海に面する島国
イギリス入植地だった歴史があり
連れてきた黒人奴隷によって
先住民アラワク人は疫病で絶滅
公用語が英語で多種多様な民族が
入交る特殊な経緯を持つ国
治安が大変悪くギャングの抗争
のみならず政治闘争で内戦状態に
なるというから極まっている
この映画はそんなジャマイカから
白人と黒人のハーフとして生まれ
多種多様な音楽文化から生まれた
レゲエで一世を風靡しあっという間に
この世を去った伝説的人物
ボブ・マーリーの生涯を追う
どうだったか
単純な辿りでなくマーリーにとって
重要だった1976年の
「スマイル・ジャマイカ・コンサート」
から音楽で政治抗争を収めようとし
銃撃されたことでやむなく
ロンドンに活動の場を移しながら
名盤「エクソダス」をひっさげて
再び1978年に帰国し
「ワン・ラブ・ピース・コンサート」
を実現するまでの2年間を中心に描き
まるで簡単なものではなかった
現実を描いていた
ボブ・マーリーを知るうえで
まず忘れちゃいけないのは
聖書にあるエチオピア帝国最後の皇帝
ハイネ・セラシエ1世をジャー(神)
として崇めるアフリカ回帰主義で
ドレッドヘア・菜食主義・"あの草"
といったトレードマークを掲げる
「ラスタファリ運動」
マーリーの活動と共に
世界中に広まり彼の死後も
多数のレゲエシンガーによって
受け継がれている
作品は遺族が関わっているだけあり
(冒頭に挨拶があります)
マーリーを決して
聖人として描いているわけでなく
人間くさく不倫もする嫉妬もする
仲間の横領に憤慨するなど
つぶさに描きます
そして政治思想に興味なく
ただ音楽を愛し
ラスタ信仰に基づき
アフリカでの公演を夢見ながら
永遠の存在になった姿は
純粋にすら感じるほど
ドレッドヘアのおかげで
銃弾守れたってのは
マジですか
ラストの当時映像で歌う本物の
ボブ・マーリーの
ネットもない時代に
ジャマイカから世界中へ
影響を与えた歌声は
今の時代にどう響くか