Chimeのレビュー・感想・評価
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理由が明かされない恐怖、緊張感と迫力のあるシーン、不穏な音、放置された謎。
理由が明かされない恐怖、緊張感と迫力のあるシーン、不穏な音、放置された謎。
この45分の内容で十分凄いかもしれませんが、これにある程度の説明がされて、ある程度物語が理解されてこそ、映画としての快感が得られると思います。
ここまでなら作れるのかもしれません。
最後まで完成させるのが大変なのだと思います。
と、きっとこの映画の観客層として想定された、黒沢映画通の人とは異なる普通の観客の私は思います。
この場で「もう少し話がわかる方が面白い」なんて言ったら、「君は、わかってないなぁ」なんて言われそうでとても怖い。
激しく鳴るチャイム
フランス料理教室の講師を勤める一方で憧れのレストランのシェフとして働くことを夢見てレストランとの面接を受けたりしていた主人公の松岡。
ある日、フランス料理教室の講習中に田代という生徒が異常な行動に出るようになる。
玉ねぎの粗切りするシーンで田代は玉ねぎを小刻みに切り刻むことをやめないで続けると、さすがの松岡もこれ以上切ると玉ねぎの水分が失われてしまうと指摘した際に忠告した。
先生、チャイムの音が聞こえてこないか?
チャイムからうめき声が聞こえてくる。
田代の話に松岡は何かの間違いだろうと聞き流し料理を続けるように促したあとも田代の不可解な行為は続く。今度は玉ねぎを焦がしてまで焼き続ける姿に松岡は田代に呆れながらも対処する。
後日、パイを作る講座を行った際に田代は松岡に対し抵抗を示すと自ら包丁を首に刺し亡くなってしまう。
田代が亡くなり、受講していた生徒がたった一人だけになってしまうと、鶏を捌くことを教えるシーンで生徒がなぜ捌かねばならない?理由を教えて!気持ち悪い!と咎められると、自らの考えを否定され逆上した結果殺してしまう。
ついに殺人を犯した松岡には、夢のためにも遺体を遺棄し隠蔽するしか道がなかった。しかし、料理教室が開けないほど生徒が来ないために家にいる毎日。そんな中、レストランの面接で必死になるがあまりに、レストランの良さすら答えられないほど自我をアピールし過ぎたがために面接は破談で終わってしまった。
もう後が無い松岡に待っているのは自滅するしかなかったのだろう。ラストの家に帰り、最初に目についた扉があいているのを見て松岡の最期だと思った瞬間だった。
リトルブラックホールみたいだ
45分はアイデアでいったら短編コミックのようで、つまりディティールだけで走り切ってしまえるので、つげ義春やいがらしみきおの怪しげな漫画のような、答えのつかない描写芸術みたいなところはある。
こんな脚本があったとして、これが黒沢清であるだけで得体の知れないものに変容してしまう。どれだけ脚本に描き込まれてるのかわからないけど、「線路沿いのビルの2〜3階の料理教室」なのかただの「料理教室」なのかしらないけど、もう通過する電車の音と光、奥に見える東京の空、人気のない、けど、ゴミは転がる裏路地、普通のようでいて缶だけやたら消費してる主人公の家、チャイムを聴いたというそもそも料理教室にいるのが変なんじゃねぇ?という男性、肉に刃をむけるのができない、と言い放つ乱暴で凶暴な女、そしてそれを上回る凶暴な主人公、リアリティ満載の死体遺棄の後の疾走(完璧な暮れ時での横移動)、そして処分したはずのそのけったいなものはどうも殺せるような代物でなく、その辺をうろうろしているようである。。あんなことまでやっている主人公が心底恐るものなんてなんだろう。
とにもかくにもここに吉岡睦雄主演含めてブラックホールみたいな短編が誕生した。よかった。
登場人物ほぼ全員変!
黒沢清監督のホラー作品は観たことがなかったので
今作で初チャレンジです。
導入の田代さん事件でグイッと物語に引き込まれて、
今度は主人公の松岡先生が殺人&死体遺棄、
さらには松岡先生も変だし、松岡先生の家族も変。
奥様も異常な行動をとっていて見逃せない感じに。
しまいには松岡先生自身にもチャイムとノイズが
聞こえるように。
ラストの自宅の木って突然出てきましたよね?
あれはどういう意味だったのか。
なかなかクレイジーな作品だと思いました。
ラストのノイズは耳に残りますし、
不穏な感じなまま終わるので、ドッと疲れが出ました。
普通に考えて、松岡先生はすぐ逮捕されそうなもんですが
渡辺いっけい演じる刑事もザルというか変。
まずもってダボダボのスーツが変だし(笑)
結局、松岡先生を起点として変な人が生まれる連鎖を
引き起こしているようにも思うし、
松岡先生も変になっていっているのかもしれないなと
思うし、
何も説明されないし解決もしないので、
真相はわかりませんが、
不条理ホラーとしてはこれで良いのだと思いました。
ギュッと濃縮の45分
2度目のStranger、なかなか好きな劇場。
始めの田代さんのくだり、じわじわと不気味な雰囲気ではあるものの、これ45分で収まるのかという流れから一変、キャーやっぱホラーだった!な急展開。
音って一度気になりだすとだんだんイライラしてくるから、殺人や自殺などのニュースで見る「特に変わった様子はなかった」というのも、こういう衝動によるものもあるのかな?と妙に納得。
奥さんの異常な量の空き缶も、息子の急な笑いも、なんだかあの家族おかしい。まあ登場人物ほとんど変。
松岡さんのなんだか鼻持ちならない口調と、もっさりした髪型がより不気味さを醸し出している。
ラストはめちゃくちゃ怖いジェットコースターに乗ってしまったような気分。1分はあったかな?逃れられない不快な音によく耐えた自分を褒めてあげたい。
グロくはないけとイヤ。
黒沢清作品の濃縮されたエキスが堪能できる傑作
過去の黒沢清作品の濃縮されたエキスが存分に味わえる一作。上映時間45分だが、ゆうに長編作品1本を見たような充実感があった。
室内の仄暗い片隅、微かにゆれるカーテン、室内の壁に跳ね返る外の通過電車の光と音、ひんやりしたステンレス包丁、引きずられる寝袋。
あるいは、噛み合わない会話、日常の光景のなかに転がる死体、断末魔的な足の痙攣、不意に襲いかかる他人。「なにか」を見てしまった主人公の洩らす奇妙な呻き声……。
そんな、どこかで見覚えあるシーンが次から次へと出てくるが、過去作の“文脈”とは異なったカタチで現れるので、新鮮さは損なわれない。
さらにブルーの飲料自販機、路上の長くうねったタイヤ痕、生徒がぞんざいに扱う鶏肉…など、目に映り込む何もかもが不穏で禍々しい。
くわえて、神経を擦り減らすような「音」の使い方も効果絶大だ。
タイトルにある「チャイム」はもとより、アスファルトに叩きつけられたシャベルの音、尋常でない量の空き缶を手荒にゴミ出しする騒音など、日々意識せず耳にしている「生活音」がここでは不安を煽ってくる。
ただし、ときに少々やり過ぎのきらいもあって、映画『関心領域』に一脈通ずる“危うさ”を感じないでもないが。
ともあれ、このように一見脈絡なくみえる点描の不吉さが、バランスを欠いた人間の心性や情動を浮き彫りににする。さらに、クリーンで陰日向のないはずの「東京」に重く垂れこめた「空気感」までも、本作は見事に切り取ってみせる。
近年、電車やエレベーターに乗っている時、あるいはミニシアターの暗がりに身を置く時、うすうす気づいているのではないか。そう、アレと同じ「怖さ」が本作から滲み出てくるのだ。
最後に、主人公・松岡役の吉岡睦雄さん、圧巻の名演。夜の橋上を主人公が駆け出していくロングショットなど、思わず見惚れた。映画『父 パードレ・パドローネ』の終盤、モーツァルトのクラリネット協奏曲が流れる名シーンまで連想したほどだ(ちなみに同シーンの参考イメージとして、黒沢監督は『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』におけるマーゴット・ロビーの全力疾走を挙げたそうだが)。
ところで、帰宅した夫を迎えた妻(田畑智子)のあの立ち居振る舞いは、なにかの冗談? もしや小津作品『彼岸花』の田中絹代の「悪意ましましバージョン」なのか。とにかく興味は尽きない!
濃縮されてて満足度高い!
菊川のstrangerでchime観てきました。
ここ数年で最も濃縮された黒沢清映画で久々に満足!
そして中野映画でもある。中野が舞台の映画観たの初めてでトクした気分!
さすが黒沢清監督‼️
ミニシアターStrangerで鑑賞🎥
黒沢清監督の新作であれば観ないわけにいかない🙂
全体的に『CURE』系のホラーであり、50分にわたってゾクゾクする怖さを感じる中編😨💦
ただ、家族を描く場面は『トウキョウソナタ』っぽく、死体袋は『蛇の道』っぽくもある(^^)d
物語は、料理教室で教えている松岡(吉岡睦雄)だが、田代という生徒が「チャイムのような音がしませんか?誰かがメッセージを送って来ている」と言い出すが、松岡には聞こえない。少し経って、田代という生徒は「僕の脳の半分は機械に入れ替えられているんです」と言って衝撃的な行動に出る。
その後、松岡は女性生徒に料理レッスンをしていたが、「鶏の調理は気持ち悪い」という女性生徒に対してショッキングな行動を取る松岡。
松岡の日常生活が崩壊していくさまが恐怖であるが、田畑智子も熱演。空き缶コワい!😰
「自由に映画を作ってください」と言われた黒沢清監督が作ると、かくたる恐怖映画が出来上がる素晴らしさ‼️
いろんな不思議な映画を作って来た黒沢清監督だが、やはり黒沢ホラーは天下一品!✨
日本公開に先立ってベルリン映画祭ではプレミア上映満席で熱狂的に迎えられ……というニュースで気になっていたが、ようやく観られて至福の時間であった😊
(「蛇の道」+「CURE」)÷4=「Chime」
黒沢清監督の作品と言うと、最近では「蛇の道」、昔の作品だと「CURE」を観ましたが、本作もそれら前2作の流れの中にある黒沢清作品らしい作品だったなあ、というのが第一印象でした。さしずめ(「蛇の道」+「CURE」)÷4=「Chime」というところでしょうか。「÷2」ではなく「÷4」としたのは、前2作がいずれも2時間弱の長編だったのに対して、本作は45分の短中編だったという上映時間の短さに加えて、種明かしの情報が極めて少なかったということが挙げられます。
内容的には、理由も良く分からぬ状態で簡単に人が殺されるという点では「CURE」的であり、殺傷した相手をシュラフに入れて運ぶという点では「蛇の道」的でしたが、殺されてしまう劇中の登場人物にとっても、状況が説明されぬまま殺人現場を目撃することになる観客にとっても、いずれも理不尽なシチュエーションに置かれるという点では、本当に黒沢清作品そのものでした。また、正気な人が殆ど登場しない点も共通していて、その辺の薄気味悪さは相変わらず良かったです。
ただ前述の通り「蛇の道」や「CURE」ではあった種明かしが全くなく、「Chime」は誰が鳴らしたのか、どんな意味があるのかとうところが説明されておらず、映画が終わった時は「これで終わり?」という気もしましたが、現実にも科学的に解明されていない謎は数多ある訳で、こういう終わり方もありかなと、今は思っているところです。
そんな訳で、本作の評価は★3.5とします。
菊川まで観に行きました
知り合いの若い方がCureを見て、訳わからないが印象に残ったそうで、私も封切り時に観てスジは忘れていますが主人公の怪演は記憶にあります。このコメントと好きなレビュアーの推薦で久々に黒澤監督の本作を観ましたが、これも衝撃でした。田畑智子の奥さんが怖かった。主演の方初見ですが、すごい存在感を感じました。舞台の方かなと思いました。菊川の表題の映画館初めて行きました。深川を散策していいところだなと思いました。
鶏肉怖い。
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