劇場公開日 2023年10月13日

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月のレビュー・感想・評価

全158件中、21~40件目を表示

3.5ストーリーは、始めダラダラ、尻切れトンボ

2023年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

以前、知的障がい者施設で働いていた者です。

障がい者施設を含む福祉施設の現状は、まさに玉石混在です。

良い施設もあれば、本作品のような、とんでもない施設もあります。

国や地方公共団体から支払われる「措置費」は、良い施設でも悪い施設でも同額なんです。

職員の配置基準も決められていて、利用者(入所者)何人に対して職員は何人という規定があって、その規定に基づいて措置費が支払われます。

重度知的障がい者に、適切な対応をしようと思えば、できることなら、常時マンツーマンで対応するのが理想です。

でも、介護する職員も人間なので、食事もすればトイレにも行くし休憩も必要です。また、障がい者が興奮したり暴れたりすることもあり、そのようなときは他の職員に応援してもらわないと対応できません。

だから、重度障がい者1人につき常時1.3人くらいの人員が必要です。1日3交代として、重度障がい者1人あたりの介護者は1日約4人。1か月の必要延べ人数は、4人×30日で120人。

祝日や、夏や、冬の休暇等も考慮して、職員1人あたり月に20日働くとしても、単純計算で、重度障がい者1人につき6人の人員が必要なことになります。

職員1人あたりの人件費を1か月25万円(諸経費含む)としても、6人分で150万円。重度障がい者が10人居れば1500万円。年間にすれば1億8千万円。

これはあくまでも、重度障がい者にも介護者にも、理想的な処遇をした場合の超極論の話です。それでも、かなり安い給料手取りで試算しています。

現状は、その1割にも満たない措置費しか出ません。

作品中で施設長が堂島洋子さんに対して「県のマニュアル通りにやっている」というシーンがありますが「マニュアル通り」の人員と経費だけで運営しようとすれば、まあ、暴力は論外としても、多かれ少なかれ、映画のような状況にならざるを得ません。

私が働いていた施設は、幸いにも「良い施設」でした。

では「良い施設」とはどんな施設でしょうか。

良い対応をしようとすれば、当然、国の措置基準を大幅に上回る人員が必要です。つまり、より多くの人件費がかかります。

そのために、地域や社会に働きかけて、多くの賛助者やボランティアさんを増やし続けなければなりません。それらの組織拡大活動を職員のみならず、入所者の家族や知り合いみんなで頑張っているのです。

当然、施設長や、管理職の人たちも、一般職員の応援のため現場に入ることも頻繁です。

そして、多くのボランティアさんの助けを借りて、街頭募金や、団体、企業、労働組合等のツテを頼って、支援物品の販売を行ったり、廃品回収や、バザー等々で運営費を捻出して、少しでも良い施設運営をしようと、日々頑張っているのです。

映画の中の施設には、ボランティアさんの姿が全く見当たりません。所詮、その程度の施設です。

今の日本には、障がい者施設はまだまだ足りません。

新たに施設を作ろうと思えば、多額の自己資金が必要です。

「良い施設」は、障がい者の保護者、家族、特別支援学校の先生たち、教職員組合、地域のボランティア団体等々が力を合わせて上記のような活動を通じて、自己資金を捻出して、設立された施設が多いです。そして設立時の資金活動を設立後も運営補助として継続しているのが現状です。

言わば「良い施設」は、職員と障がい者家族の自己犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではありません。誤解を承知でで言えば職員目線では「ブラック企業」になるかも知れません。

必然的に、ボランティアの延長で職員になり、熱い思いで仕事をしている人も少なくありません。

また、「どうせ働くなら社会の役に立つやりがいのある仕事の方が良い」と職業選択肢の一つとして働いている人もいます。

この両者に確執がないといえば、嘘になります。

映画にあったように「あの人が、余計なことまでするから、こっちの仕事がやりにくい。いらん仕事が増える。」と考える人も居なくはありません。

私は、6年間職員として在職しましたが、30歳を過ぎて、結婚を意識するようになったとき、手取り給与が20万円に満たない現状で家庭を持つことは困難と思い、転職しました。

現場を経験した者として、さと君の思いは解らなくもありません。

さと君のように「税金の無駄なのでは?」との思いが頭をよぎったことのある職員は多いと思います。

感情も思考もなく、ただただ、周りの介護によってのみ生かされていることが、本当に、その人にとって「人間の尊厳」なのか?と考えたこともあります。

でも、普通は誰も、さと君のような行動には走らない。

理性があるから?

怖いから?

自分の家庭や将来があるから?

という自分勝手な理由で自分の思いを否定します。

さと君は、堂島洋子さんの自宅で食事中に、障がい者や死刑囚の糞便や嘔吐物の匂いの話を平気でしています。

さと君は、真面目で正義感が強いサイコパスなんですね。

だから、さと君は正義感と優しさの行動として、あのような凶行に走ることができた。

他の人も書いておられますが、私たちとさと君は紙一重。

私たちも、どこかで心のネジが1本外れたとき、さと君にならないという保証はありません。

最後に、街で、障がい者施設の後援会が募金活動をしているのを見かけたら、そして、どこかの公園で福祉バザーをしていたら、少額でもいいのでご協力頂けたら、とても嬉しいです。

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キングオ-バ-

0.5ズレていくテーマ

2023年12月11日
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なぜこの題材を扱う上で
テーマが「表現」や「才能」に
逸れていってしまうのだろう

どうして当事者のシーンが
スライドショーのように一瞬なのだろう

どうして「尊厳」や「人権」に対して
真正面から向き合わないのだろう

多くの疑問が湧き出て止まらなかった

日頃から心なき者の差別対象となっている人々が
映画で映し出される際に、どうしてかホラー演出で
過剰におどろおどろしくされてるのは何故なんだろう
ほんと悪き風習。やめてほしい。

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JYARI

4.0重厚

2023年12月9日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

映画はエンターテイメント。
観終えて暗くなりそうな映画は少なくとも劇場では観賞したくない。
この映画はその類いの映画のはずだが、予告編を観て興味が湧いた。
もうすぐ終わってしまいそうだったので、暗い気持ちになるのを覚悟で観賞。

意外に淡々とした気持ち、充足感すら感じながらエンドロールを眺めた。
批判を覚悟で言えば、さとくんに一定のシンパシーを感じた。
安全な場所にいてあれこれ正論めいたことばかりほざく輩にはうんざりだ。
私自身老境に入り、親の看護、介護や死を目の当たりにして、
生きることを考えれば考えるほどそのためには「死に様」が重要と感じる。
結果はともかく、さとくんのそこに至る過程には思料すべき点が多々あった。
宮沢りえの自問自答にもそれが端的に表現されていた。

但し、芸術性を求める上では仕方がないのかもしれないが、
障害者の描き方は親の介護を経た者としては観ていて辛い。
ここまで描かないとゲージツにはならないのだろうか。
また、3.11に福島にいた身としてはこれと結びつける必然性に疑問を感じた。

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みみず

4.5暗部とエゴ

2023年12月7日
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鑑賞方法:映画館

二階堂ふみさんが宮沢りえさんを批判するシーンが刺さりました。ゆえに最後のオダギリジョーさんとのやりとりが空虚に見えてしまい、それも狙いなのかなと。つい最近の事件。目を背けてはいけないと思いつつも、胸が苦しくなりました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、決して風化させてはならないと思いました。

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ハチ

3.5澱のように心に残り続ける

2023年12月7日
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鑑賞方法:映画館

宮沢りえの丁寧な演技に引き込まれ、悲しみを共有しつつ観た。登場人物それぞれが抱える問題がそのまま反映したような暗い職場、決して綺麗事ではなくそれでいて誇示することもなく淡々と描かれる日常。皆それぞれにより良く生きたいだけなのにその方法が見つからなかったり間違っていたり。誰一人正しいとかではないのがリアルで共感できる。そんな中で夫婦の思いやりのある愛情(オダギリジョー演じる夫の表現が凄くいい)に少し救われる。いつまでも心に燻って残るような映画だった。

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ピート

5.0月は

2023年12月5日
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綺麗だなあ✿゚❀.(*´▽`*)❀.゚✿

これとシルバニアファミリーとルックオブサイレンスと飛んで埼玉を交互に観ると精神が研ぎ澄まされるかも(◜֊◝ )✋

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ミスター

4.5えぐられる、問いかけられる。最後のセリフがひとつの答えなのか

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

あまり前情報を入れて映画は観たくない派なので、宮沢りえ、オダギリジョーと好きな俳優が出演していることだけわかっていて、ふらりと観に行きました。

スターサンズ作品ということも知らなかったのですが、それだけで相模原障害者施設殺傷事件をベースにした映画だとわかり、身が引き締まりました。

自分も含め、できれば善人でありたいと思う普通の人たちは、差別はいけない、どんな命も大切、と当事者でない限り言います。ただそこにはそこはかとなく、後ろめたさもあるはずで、なせなら決して自分の内に差別心はないと言えないからでしょう。特に意思疎通が難しい人に対しては、本能的に怖いと思ってしまう感情が少なくとも私にはあります。
さとくんの主張は絶対に認めてはいけないけれど、全否定できない自分もどこかにいる。映画の中ではそこを演出の力で観ている人にも問いかけているようでした。
洋子と昌平の間には話すこともできないまま亡くなった息子がいて、さとくんの恋人は聾唖者という設定。彼らを分けたのは何だったのか。最後のセリフが答えなのかと感じました。

こういう難しいテーマの中、4人のメインキャストの演技は凄まじかった。圧倒されました。

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Carryko Emi

4.0完全に狂った方角を見つめている無垢な目

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

深い森の奥にある重度障害者施設。ここで新しく働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は“書けなくなった”元・有名作家だ。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平(オダギリジョー)と、ふたりで慎ましい暮らしを営んでいる。洋子は他の職員による入所者への心ない扱いや暴力を目の当たりにするが、それを訴えても聞き入れてはもらえない。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだった。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく――(公式サイトより)。

原作者の辺見庸のことは「もの食う人びと」というルポタージュで知った。世界の紛争地等、わざわざ危険なところに乗り込んで、そこで食い物を分けてもらうというかなりどぎつい作品だ。その後、脳出血とがんを患い、創作活動をしてきた自らを奈落の底に叩き込むかのような、読んでて気が滅入る漆黒の作品をいくつか書き上げた。

本作もずーーっと不穏な空気が漂い続ける。「川の底からこんにちは」「舟を編む」を撮った石井裕也の、極めて微細な人間の機微を映像で表現できる才が加わり、陰鬱さは倍加した印象だ。鑑賞後、しばらくは閉口するほかない。

この陰鬱さの正体は、本作のベースとなった「やまゆり園事件」で、犯人が語った「意思疎通のできない重度の障害者は不幸かつ社会に不要な存在であるため、重度障害者を安楽死させるべきだ」という主張を聞いた当時のばつの悪さの復活である。

「思ったことない?一度も?」と問いかけるさとくんの目は、完全に狂った方角を見つめているが、無垢ではあった。正しい方角を見つめているが、狼狽を隠しきれない洋子と対峙する場面はまさに白眉である。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉が示すように、洋子がさとくんに投げかけた言葉は、さとくんには届かず、そのまま自分に犀利な刃となって返ってくる。そしてその構造は、そのまま劇場内をも支配する。スクリーンから発せられた音と光に対する観客の反応が、思索が、言い訳が、錯乱が、そのまま自分に舞い戻る。嫌な映画である。

夜空に浮かぶ「月」は、自転の関係で、わたしたちに常に同じ面しか見せないのだそうだ。作中、頻繁に登場する「現実」というキーワード。わたしたちに見えている「月」をもってして、夜空に浮かぶあれを「月」と言えるのだろうか。宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみの怪演のシナジーが、闇夜に不気味に浮かぶ月光となって襲い掛かってくる。高畑淳子が絶妙に素晴らしい。

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えすけん

2.5何か足りない感じがする

2023年12月2日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

「月」が映画賞で評価され始めました
しかし勤務するスタッフの内情を主に描写するのみで、施設側の事情や、入居者の家族の事情が描かれないところが、片手落ち感があり、私の中ではしっくりしていません
高畑淳子さんが母親役で好演されていましたが、描かれたようなあたたかい家族ばかりでなく、実際の事件でも入居者家族の言動が犯人を惨劇に駆り立てたという報道もありましたし…

映画観賞後に原作本も読みましたが、原作のほうが障害者といわれる人の気もちが生々しく描かれていて、しかしこれをそのまま映像化は出来ない…
とはいえ企画段階でスポンサーもつかないといわれたこの映画の難役を受けた、役者さんたちの心意気は一目置きます

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オパーリンブルー

3.0もうちっとグロいところ多いんか思った

2023年12月1日
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俳優陣の演技が素晴らしかった。
内容は普通。
特に終わり方とかは、個人的に収拾つかなくなって随分適当になったのかと思ってしまいました😅

東日本大震災のくだりとかいらなかったような気もする😅

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そこらへんの有象無象

5.0問題作であることが正しいと思う。

2023年11月26日
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よくぞここまで描いたものだと思います。
この題材を、こんな風に作品にできる人が日本にもいるんですね。

あまりにひど過ぎて、思い起こすことすら拒否反応が出てしまうような事件がありますが、この事件もそのひとつで。
そうした事件は、そもそもフィクションの題材として扱ってはいけないもののような気もしてしまいますが。

それでもこの映画がてきて良かったと思うし、自分も見れてよかったと思いました。

まず前提として、映画としての出来はほんとに素晴らしくて。
その上で、描こうとしているものも、描き方も、自分はすごく共感できるし、納得がいったし、肯定したいものだと感じました。

見た人の中にほどうも、「さとくん」の論理や、主人公の自問自答を、事件を起こした側の意図を汲むようなものだと受け取って、それに批判的になる人もいるようだけど、それは例えばガリレオの天文対話を読んで天動説を主張しているととるようなものかと思います。
理解する力が欠如しすぎ。

はっきり言って、知的障害者のための支援が無駄だとかなんだとか、そういう類の考えを論理として否定するのはそれほど難しいことじゃない。
少なくとも、それよりずっと無駄なもの、ずっと悪どくて害のあるものなんて、いくらでも、数えきれないほど挙げられるし、そういうものに平気で大金をかけるのが普通な世の中だってのは、みんなわかってることでしょ。
だったら知的障害者のために金かける方が少なくとも「まし」であることくらい、いくらでも理屈はつけられる。

それでもさとくん的な考えは社会の中に生まれてしまうし、主人公のような問いかけは、現実に向き合えば向き合うほど、必ずどこかで出てきてしまう。

そこから目をそらしていては、それにきちんと対峙することもできないのだということを、教えてくれる映画だったと思います。

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sokenbitea

3.0見たいものだけ見ていたいのが普通の人たち

2023年11月26日
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鑑賞方法:映画館

記憶に新しいやまゆり園事件。衝撃的なこの事件をモデルに描いた本作は、制作陣・俳優陣の強い想いを感じるメッセージ性の強い作品でした。

覚悟はしていましたが、冒頭からずっと苦しい。明るい気持ちになれる瞬間はほとんどなく、不穏な空気を纏い続ける。終始じっとり不快。
目を背けたくなる恐ろしいこと汚いこと悲しいこと醜いこと、各所に配慮しつつもギリギリまで攻めていたように感じました。

さとくんが投げかける“普通の人”である主人公へ向けた言葉は、同じ“普通の人”であり綺麗事の世界で生きていたい私にもグサグサ刺さる。
かなり、くらう作品でした…。

映画としての面白みや倫理観への踏み込み方、放置したまま結末を迎えた問いもあったことなど不満もあり、満足度は少し低めでしたが、観て良かったです。

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まだまだぼのぼの

4.0向き合う

2023年11月26日
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ただひたすらに、あの狂気と向き合う時間だったと思う。
主人公の目線を通して、「ありえない」「馬鹿げている」と突き放し、目をつむる。知識として知ってるし、でも、自分からは関わらないし、違う世界の話と距離を置く。

そんな距離を、どんどんと詰められてくる展開で、見るのが苦しくなる。
映画の中でも、宮沢りえが、さとくんと話しているのに、いつの間にか自分と話しているように、逃がしてくれない。

そして、殺人が始まる。あの理論で行くと、解放。死んでよかったね。
いい訳ないとか言ってるけど、お前もその片棒をかついでるんだよって、訴えてくる。

あぁ、気が重い。ただただ気が重い。
だからこそ、違う、自分は違うと生きていかなければ行けないと思う。

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クメール

3.0終始「ホラー」のような演出

2023年11月23日
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鑑賞方法:映画館

さて、珍しくサービスデイと祝日が重なり、上映も朝一の回と言うことで観に行かない理由がなくなり、重い腰を上げてバルト9へ参戦です。朝8時35分という早目の時間帯でしたが、シアター1の客入りは8割ほど。年齢層はやはり高めです。
本作、鑑賞前からすでに(本作を)観た方々の「ざわつき」を感じておりましたが、それもそのはずです。原作は辺見庸による「相模原障害者施設殺傷事件(2016年/平成28年)」という名で知られることの多い大量殺人事件をモチーフにした同名小説(未読)であり、石井裕也監督の自らの脚色です。ちなみに同事件をWikipediaで確認すると、事件後の社会に対する影響などを確認することができますが、この作品もおそらくは事件を風化させない意図もあるのだろうと思います。
そのため、当然の如く簡単に断ずることが出来ない案件でもあり、私自身本作を観てどう感じたかは「まとまりがつかない」と言うのが、正直な感想です。勿論、概ねは襟を正す気持ちで観ておりました。
ただ、多少なりとも制作サイドに対して引っかかっりを感じるところもあります。
例えばこれは恐らく原作の影響と思いますが、後に事件を起こす「さとくん(磯村勇人)」に対して(2度だったか)ヒトラーに例え、そしてハンナ・アーレントさながらの「哲学」的なセリフだったりは、何から何まで「モチーフだらけで」いささか欺瞞に見えかねません。
そして、何といっても違和感なのが終始「ホラー」のような演出です。あくまで「モチーフ」とは言え、そのモデルとなる知的障害者福祉施設が実在し、そこに関わる人たちがいるわけですが、恐らくは「フィクション」を意識しすぎなのか、むしろミスリードすら感じる演出で、事件の当事者や関係者、または同様の境遇の方々に対する配慮については、若干如何なものかと感じます。
悪い作品ではないですし、目をそらさず語らなければいけない内容だと思いますが、個人的には「巧くない表現」かなと若干惜しい印象です。何だか、遅れてきて(劇場公開日は10月13日)ズケズケ申しましてすいません、と思いつつ、先日観た『愛にイナズマ』を思い出しながら「石井監督は難しい・・・」と思う帰り道でした。

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TWDera

4.0社会の縮図

2023年11月23日
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怖い

知的

難しい

この映画、堂島洋子主役ではなく、さとくん主役で書いて欲しかったな〜
さとくんの気持ちをもっと詳細に知りたかったな〜
誰もが少なからず、さとくんと同じ気持ちなった事はあるはず、映画の中にあった、出生前診断が良い例、障害があると分かったら、96%の人がおろす。これが現実。
何が正で何が負なのか、多数決では決められない。

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Bookcorner

2.5描写は正直だったが…

2023年11月23日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

重いテーマで、本音の部分がよく描写されていたが、現実逃避の感覚に近い感じがした。
俳優陣の演技は素晴らしい。重いテーマなので、それぞれ観る側に委ねられる映画だと感じた。

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ツッツン

5.0

2023年11月22日
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鑑賞方法:映画館

知的

この事件で焦点を当てるのは容疑者では無く、日本(政府•行政)の障害福祉の実態だ。最重度の障害者のためを思って職員になった彼を真逆に仕立ててしまった現在の障害福祉制度。最重度の障害者は意思疎通が出来ないとして扱っているのは国であり、国の制度に文句を言わない障害者施設の経営者は定期監査(実地指導)で逃れられる。意見を言わない職員は障害者に何をしようと経営者は知らんぷりしてくれる。最重度の障害者を放置(映画の排泄物放置の場面)の施設はたくさんあることを、国も行政も隠している。そのことに疑問を持つ職員が狂ってしまう。容疑者の狂気性に焦点を当てるのではなく、国•行政及びそれに従う業界経営者と職員の実態にも触れたことは大いに評価される。事実にもっと突っ込んだ第二作を望む、国•行政が嫌う真の障害施設経営者より、

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達

2.0ビックリ。。。

2023年11月20日
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軽い気持ちで見に行っては、だめですね。

神田伯山のラジオでおすすめしてたので

来てみたら、なんと、あの事件の話でしたか。。。。。。。

辺見庸さん原作でしたね。

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花丸

3.0後味は良くない。。。

2023年11月18日
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今何も障害がなくても、怪我や病気で神経に悪さすれば機能が麻痺してしまう。。。皆なりたくてなっているわけではないし。。何より介護しているスタッフには敬意しかないです。
自分はと言えば、まだまだ見てみぬふりの時もあります。
優しくありたいです。

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asgy213

3.5ただただ、苦しい。

2023年11月13日
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鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

磯村さん目当てで、とりあえず観ておこうかと。
そんなに直接的に描かれてると思ってなくて、普通に怖くてびっくりした。
というか、最初の二階堂ふみさんから怖すぎる。
二階堂さんが演じてた役はあの職場にいるから心が病んでしまっている人という認識でいいのか、それもよく分からず、ただただ怖い。
鑑賞後1番に思ったのは、これ遺族の人が見たらどう思うのかなっていうことだった。
モチーフですって言われてもなんかちょっと、リアルに作ればいいっていうものでもない気がして。
主役をさとくんにしてないから許されるのか?
でも師匠夫婦からも救いが何も見つからなくて、苦しい。
とはいえ、自分に優生思想がないとは言いきれないよなぁとか、改めていろいろと考えさせられることがあった。
観た後引きずるというのをレビューでよく見たけど、確かにこれは翌日くらいまで心に深く刺さった感じがあった。
考えるきっかけとしてはよかったのかなと思った。
あとは、役を演じ切った役者さんたちの覚悟とその熱演には敬意しかない。(もちろん制作スタッフの方も)

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流星の水菜