イノセンツのレビュー・感想・評価
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オトナは蚊帳の外
一切が子ども社会の中で起きた出来事で、オトナは蚊帳の外。
子供は原始的で、社会に染まってないのでオトナのようにルールを持たないから恐ろしい。
心のまま欲求のまま正直に行動する、無邪気で無実なイノセントたち=子どもたち。
子供社会では理屈も道理や倫理も関係なく力のあるものが勝つ。
そこで強いものに対抗するには、同様に力でしかなく、同じ土俵で勝負できるのは子供だけ。
知的障害者の姉が疎ましく、親の見ていないところでつねったり、酷いのはガラスの破片を姉の靴に忍ばせて怪我をさせてりもする、妹の無垢な残虐性に心が冷えたが、かと言って妹が姉を愛していないわけではない。子供はそういうものだ。
そしてベンは、悪意のみその遥か上を行く。平気で猫にあんなことをするサイコパス(恐らく)の彼がヒトをも操る強い力を持ってしまったらなすすべなしでひたすら怖い。見ていて無力感でいっぱいになるが、唯一対抗できそうなアナという存在に希望もある。想像した通りだけど、ベンより力の劣る姉に妹が力を合わせてベンを駆除したのは良かった。
そして猫!事前に何も知らず、正視できませんでした。
ベンよ、お前も同じ目に合え!と思ってしまった。
気持ちの優しいアイシャと子供を愛していたママの惨劇がやりきれない。
監督がインスパイアされたという「童夢」も団地の住人の話だったが、こちらの団地には移民等低所得者が住むところという意味合いも加わっている。
母子家庭でおそらく移民で、白斑症のアイシャの孤独感、ベンのすさんだ感じ、周囲のだれも彼、彼女に注意を払っていないところなど、この団地内なら普通にありそう。
そして、子役恐るべし!
無垢で残酷な子供が超能力を持つと・・・・
子供の頃、蟻の巣に水を流して楽しんでいた自分を思い出した。
悪いことをしているのはわかっていても、ゾクゾク感に酔いしれてやめられなかった。
この映画のベンジャミンもそういう気持ちで、悪意というより興味本位で超能力を悪用していたように感じる。
幼くて他人の痛みがわからないから、遊び感覚で他人を傷つけていた。
対照的に、障害があって言語が使えないが共感力が高いお姉さんと、正義感が強い妹が、共に敵を倒すといった流れだろうか。
面白いけど、終始暗く、どことなく不気味な雰囲気なので好きな映画じゃなかった。
超能力の危険さを知り、使い方を探りながら成長していく、エスパー魔美のような超能力者が好きです。
ギョッとするシーンが2度ほど、、
有りましたがそれほど怖さは感じません。
子ども達によるサイキックバトルが、家族の関係も絡めて描かれています。
子ども達の演技が秀逸なのと、カメラワークも面白くて、結構楽しめました。
童夢は昔読んだけどほとんど覚えてませんね。。
親が知らない、子どもたちの世界
ちょっとした悪戯が、どんどんエスカレートしていく、そしてそれによって友情や家族愛が歪んだり強まったりする。
きっと誰もが子ども時代に持った、子どもだけの世界や秘密を追体験するような映画。
子どもゆえの無邪気な弱いものへの攻撃の描写が、
一番怖かった。
そこ以外は最後までハラハラできた面白い映画でした!
『童夢』を読んでる人も、そうでない人も。
割引になる曜日、間違えて正規の料金で観ちゃったよ。
でも、面白かったからいいや。
途中、ずっとネコ飼ってる自分には耐えられないシーンがあって、しばらく眼を瞑ってたけど。
大友克洋の傑作『童夢』に触発されて作った映画と、かなり前から聞かされてて、観たいと思っていた作品。
『童夢』のようで『童夢』じゃない。
子供、団地、超能力などはそのまま。
あとは自由に作っている。
先が読めないので緊張感がある。
帰宅して『童夢』を読み返すが、やはり面白い!
俺は『AKIRA』より、こっちの方が好き。
世界中、マンガも映画も音楽も、触発しあって、影響受けあって、もっと面白いもの、もっと良いものが出来ていくといいな。
最後まで気の抜けないサイキックホラー
大友克洋氏の『童夢』から発想を受けた映画だけあって、終始残酷だったり痛々しいシーンが続く。
隣で見ていたおじさんは、ぐうすか寝ていたけど、これで寝れるって、ある意味神経図太そうな人だなと思ってしまうくらいだった。
終盤、主人公姉妹が狂気に走った友人と退治するシーンは、プランこの使い方や団地の見せ方など、本当に『童夢』を彷彿とさせた。
しかし、確実に、『童夢』にはなかった子供たちや親や姉妹間の関係が描かれていて、その分、切なさを増していた。
それ上、最後の不穏な姉になってしまっているのは、怖さだけでなく悲しさもプラスされていた。
幼さゆえの悪意の暴走
サイキック映画ですが派手なVFXは無く、箱庭の様な団地内で淡々とお話しは進みますが、最後までちゃんと心を掴み続けてくれる稀有な作品でした。
子供特有の残酷さや繊細さがよく表れていて、時よりフェードアウト?する場面も効果的だったと思います。
劇中での「ママあのね、、、」には重大な事が隠れていました。
時間に追われる子育てですが、子供と話しをする際は、焦らず注意深く聞く事を心がけたいもので、20年前の自分に言ってやりたいです。
さて来週は、この映画の対局にあるサメ映画を観に行きます。
これは超怖い。。。
超能力ものは好きなのですが、この映画は怖い。そして終始、不穏な空気が流れ不気味だ。
途中で劇場から逃げようかと思ったほど不気味でしたが、でもとても面白かった。
たしかに心に闇をかかえる子どもに、こんな能力が身についたらこうなるだろうな。
タイトルのイノセンツはなるほどです。
独立しているのに
怖そうな映画は怖いので見ない私も、正に10代を想起させる大友克洋の童夢という作品絡みの話題に触れるとcan't stop watching. 結果、とても丁寧に重ねる描写も子どもたちの演技も控えめな特撮も含めて良くできた一本の独立した映画という感想に落ち着く。であるからこそ、特にラストシークエンスの、剽窃とも言える酷似が残念でならない。私にとっての作品全体の評価がブランコの柱のように曲がってしまった。
子供の無邪気さと加害性
監督は童夢を読んで影響を受けたとのこと。童夢のような派手なアクションはないが、子供の持つ無邪気さと加害性が描かれていて最初から最後まで不穏で気が抜けないサスペンスホラー。
演技に見えない子役の演技が達者過ぎて不穏さに拍車をかけている。
子供達は無邪気さの中にも苦しみを抱えていて、特に主人公の少女が7歳にして自閉症の姉のヤングケアラーをさせられてる行き場のない閉塞感がこちらにまで伝わってくる。
白夜の団地の静けさが怖い。
※猫が酷い目に遭うので苦手な人はご注意。
某作品と似ている、という指摘も頷ける部分はあるものの、無垢と残虐を日常生活の中に埋め込む世界観が強く印象に残る一作
作中のいくつかの場面で、表現にそれなりの規制がかけられている(だからこそ”うまく見せない”手法が洗練されている)ハリウッド映画では見ることのできないような描写が含まれるため、その生々しさ、不気味さが肌に合わない人もいるかも。
しかし全体的に、抑制の効いた演出は効果的で、かつ主人公の少年少女の演技も真に迫るものがあり、サイキックスリラーとして非常に楽しむことができました。
子供達の、超常的な力を得たことを無邪気に喜ぶ表情と、それを他者への攻撃手段として用いる際に見せる残虐さとが、「無垢」さの両面であることを、様々なエピソードを通じて語っています。孤独感と暴力のエスカレーション、その一方で周囲の人々は全く普通に日常生活を営んでいる、という対比的描写がとても鮮烈です。
鉄柱が折れる、水面がさざなみ立つ、といった描写で超能力を表現する手法には、確かに日本のアニメや漫画、特に大友克洋の影響を見出すことができます。一方でエスキル・フォクト監督はそれらの影響を公言しているし、そうした描写の類似性を差し引いても十分独特の世界観を打ち出していて、一つの映画作品として満足できる内容でした。
昔少しだけ読んだ『童夢』を、改めて読み返したくなりました!
サイコスリラー
予告をさらっと見た印象では、アベンジャーズの様な特殊能力を持った子供達の、スタンドバイミーの様な、青春物語かと思いきや…まさかのサイコスリラー😱
怖い❗怖い❗
けど、子役のスキルが凄すぎる‼️
冷静になると、突っ込み処満載だけど、その演技力に、のめり込まされる。
イノセンツ
とんでも無いぞこの映画…。
最高にドキドキワクワク、静かに先行きを見守り、登場人物たちに感情移入していく。
完全に設定勝ちで、一つ一つの設定(自閉症とか)が全部効いてくる。無駄な登場人物は1人もいないし、無駄なシーンは一つもない。
一つ一つが洗練され、考え抜かれたカット、編集、そして演出。見事と言わざるを得ない。
そして、派手な映像的演出を行わなかったのもとても良い。目に見えない超能力というものがどれだけ異物でおかしなものなのかが、一見なんの変哲もない日常と照らし合わせて描くことで上手く描写されている。
まるでシャイニングを思わせるような、子供の残酷さとその怖さ。じわじわくるサスペンスがたまらなく心地いい…。
「人の弱い部分が見えたか」
これに関してはなんとなくなかった気がするが「愚かさ」という部分では大いにあったと思う。しかし、やっぱり大きなドラマや心動かされる体験があったかと言われるとなんだかなかったように思えるので、お話に関しては少し薄っぺらい印象もあった。彼女たちの心にもっと共感し、傷みを一緒に味わうことができたら最高だったのだろうか…。
「謎があったか?」
やはり物語を引っ張るのはこれ。「謎」の存在がやはりでかい。突如使えるようになった超能力の謎がずっといる。ただ、主人公たちがそれを解明しようとしないので、謎を追う物語ではなくとも、そのに謎が生じるだけで客は考え、翻弄されるのだと気づいた。
絶対に謎を追う構図にしなくてもこの面白さは成立するのだ。
このお話での謎は「超能力」とさらには「子供たちの思考」というところにある。
子供たちは、不必要なセリフを話すことはなく、ただ自然に口から出る言葉を吐き出しているだけのように見えた。
「緊張感があったか」
終始緊張感があった。それは、やはりあの男の子の残虐さを見たからだろう。それがあるだけで、主人公たちと男の子の間で緊張感がずっと生まれることになる。ここもやはり美味かった
「すべての事象が繋がっているか」
繋がっていた。なんの疑問も持たなかったし、すべての設定が効果的で生きていたと思う。
薄幸な子供は超能力を持つ
スタイリッシュなポスター/チラシに惹かれた。
観たくてたまらなくなった。
母子家庭で育った主人公の少年。残酷であることに自覚がなく、母親に対する愛情も欠落していた。強い負の力が働いたと思うが、少年の悲劇が語られることはない。
暴走し孤立した。友達になれたであろう少女たちを敵にまわした。他の子供たちすべてを敵に回した。
中学時代の同級生を思った。
そう、大きくデフォルメされているとはいえ、現実の世界は類似の悲劇であふれている。
デ・パルマの『キャリー』のように少年の魂が救われることを祈ったのだが、最後まで救われることはなかった。鈍い痛みが残った。
どうしても童夢を夢見てしまう世代
結果的に「童夢」にインスパイアされたというのが最大の引きとなって、観にきてしまった。最大の宣伝文句「童夢」
確かに、と、思えるものもあるが、若干それが邪魔をした。決してサイキック映画ではなくて、子供に巣食う邪念みたいなものが、特殊な力を手に入れるとどうなるか、という方が中心なので。
冒頭から執拗にそのイノセントな邪念がたくさん描写される。姉の設定とその姉と通じるインド系?の女の子の設定が秀逸。
とはいえ、よかったのは、「童夢」もそんなようだったと思うけど、特殊な能力の発露(しかもよくわからない力)はあるが、そのきっかけにはまったく触れないことか。そして「童夢」にせよ「キャリー」にせよ「スキャナーズ」にせよ、80年代サイキックよ派手さとはまったく無縁の、休日の公演の池を挟んで、周りの大人たちは気づかず子供たちだけが注視する静かなる対決は面白かった。
子供の両義性を上手く利用した秀逸ホラー
ゾッとするホラー映画ランキング的には、間違いなくトップクラスの作品でした。主要な登場人物は4人の子供で、その中でも顕著な超能力を持つアナとベンが最終対決をすることになりますが、特に怖かったのは前半部。題名の「イノセンツ」という言葉通り、子供にはイノセント(無実、無邪気な、無知な、悪気のない)なところもあると当時に、その裏返しとして無知ゆえの残酷さとか限度を知らない冷酷さを併せ持つことが遺憾なく表現されていて、ホントにゾッとしました。
本作では猫をマンションの上階から階下に落とすシーンが出て来ますが、自分も子供の頃に悪童連中と蛙に同じことをしていたことを思い出しました。今思えば申し訳ないことというか、実に気味悪いことをしたと思いますが、当時は好奇心が勝っていて、一種の集団トランス状態に陥っていたのかも知れません。そんな程度の未熟な子供が、超能力を持っていたとすれば、確かに本作で描かれるような阿鼻叫喚の世界になるのは必定のような気がしたところです。単なる超能力対決だと、そういう設定の映画ということになり、残虐シーンをエスカレートさせるなどで怖さを増幅させがちですが、本作はどこにでもある子供の残酷さの延長線上にある恐怖を描いており、身体の芯から凍らされました。
出演者の中では、主人公イーダの姉にして、最強の超能力を持つアナを演じたアルバ・ブリンスモ・ラームスタが非常に良かったです。アナは超能力者であると当時に自閉症であり、会話も出来ない状態でしたが、引っ越し先の近所に住むアイシャとの交流を通じて言葉を口にするようになります。この辺りの微妙な表情だったり言葉遣いだったりを、実に上手く演じていたと思います。物語的にも、役者的にも、彼女が本作のMVPであることは間違いないのではと思います。
因みに観た後で知ったのですが、本作は大友克洋原作の「童夢」という漫画にヒントを得た、というか、ほぼ「童夢」の実写版と言ってもいいような作品だそうです。「童夢」を読んでいないので、どの程度似通っているのか私には正確に判別できませんが、「童夢」が日本の話であり、本作が北欧の話であることを除くと、あまり高級ではない「団地」を舞台としていること、「超能力者」同士が対決する物語であること、ラストシーンで「ブランコ」が出て来ることなど、本筋はそっくりなようです。早速「童夢」を注文したので、じっくりと比較してみたいと思っています。
そんな訳で、自分の体験に照らし合わせても、実にゾッとするお話だったので、評価は★4とします。
子供たちの根源的な疑念
シャラマン作品や、同じ北欧の「ミッドサマー」はまだ理解できるが、本作の幼い子供が織り成す超常現象は、ちょっと理解の域を超える。
大人は蚊帳の外で、子供たち同士が超能力の出し合いを行うと、分別がついていない残酷なものになるからだ。
大友克洋の『童夢』に影響を受けた作品らしいが、舞台が同じ団地というだけで、『童夢』を読んだ時に感じた衝撃は全然感じられなかった。
社会福祉が充実していて、子供たちに手厚いはずの北欧社会において、閉鎖的で移民が多い団地がぽつんと存在する。
団地の子供たちの家庭は、それぞれに問題を抱えている。怖ろしいと感じたのは、ふがいない大人たちを超能力を持った子供たちが、逆に虐げていく構図になっているということだ。
それは単なる呪いというより、親なり大人の世界に対して抱く子供たちの根源的な疑念のようにも思える。
そこが、なんとも後味の悪い作品になっている所以のような気がした。
子供たちの狂気
子役の演技が凄かった。
映像の美しさと不気味さが融合された世界観。
芸術的なスリラー映画でした。
余談ですが、是枝監督の映画怪物もこういう感じを想像してたけど違った。
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