キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのレビュー・感想・評価
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がっぷり組んだふたりの名優
混沌とした
ディカプリオといば苦境に合わされてひたすら困った顔してるの最大の特徴だと勝手に思っているので3時間以上に及ぶ対策でひたすら困り顔さらすのかな?って思ってたら思ってた以上に困り顔をさらしていた。とても満足。
今作ディカプリオ演じるアーネストは先住民の土地でオイルマネーを受理するために糖尿病の妻を病死に見せかけて殺害し保険金得ようとしている真っ黒な悪人なのだが
何故か見ていて彼が憎めない。
何故なら彼の本心に偽りがないからだろう。
保険金が欲しいかと聞かれれば迷いなくウンと首を振るだろうし、妻を愛してるかと聞かれば迷いなくウンと答える。良くも悪くも裏表がない人間。
妻を愛する気持ちと虐殺の命令者である叔父に逆らえない気持ちで板挟みになり自分で毒を盛っておいて妻を看病するという矛盾の行為を行う。
傍から見れば狂人だが彼の心に偽りはない。
妻を愛したいという欲求と叔父逆らえないという保身と金がほしいという欲望。すべて同時に存在しすべて行動に移しているだからアーネストは序盤ちょっと過ぎた辺りから常に余裕がなくて悪人だがとても人間らしく見える。
元々FBI捜査官の設定でオセージ族不審死の謎を暴く話からオセージ族視点からみないとダメだろってことでディカプリオはこの配役になったが白人側の傲慢な差別意識とオセージ側の文化や心情を写しにはこれ程適した役はないと思う。
凶悪
宗教映画ではありませんが、信仰についての映画でした。
信じるもの、信じる人の危うさ、それでも信じる力の強さ。歪んだ信仰は人の目を曇らせる。曇った目でしか世界を見られない人たちの物語だと思いました。
予告見た時点ではディカプリオのオーバー演技が気になりましたが、やっぱりそんなことはなく本当にそういう人にしか見えませんでした。すごい。
アメリカ創世の話ではありませんが、アメリカってこういう国だよねという、スコセッシのアメリカ論をじっくり堪能した3時間半だったと思います。
ただ、とっても斬新かつ滑稽なエピローグがあるのですが、エピローグをあの形にした意味を、エンドロールの音を聴くうちにストンと腑に落ちて、スコセッシの「表現」に対する飽くなき実験にただただ脱帽するしかないと思いました。
インシュリン
長い…
3時間半などなんのその!
なにしろ3時間半という長丁場に備えて、前夜より飲食を絶って臨むという、あたかも内視鏡検査を受けるかのような覚悟を持っての鑑賞でございました。
わりと淡々とした進行でアクションも抑え気味なので、退屈しそうな感じですが、丁寧に作り上げたセンスが光る画面の連続、編集の妙、見事な音楽、そしてもちろん役者揃いのアンサンブル。
重苦しい雰囲気を過不足なく描く力量はさすがの職人監督です。
そんなこんなで退屈どころか良質の長編小説を読み切ったような満足感にひたることができました。
ただひとつ、エピローグの演出は面白くはありましたが、本編の雰囲気にはそぐわないような気がしました。監督本人が出演するほどですから思い入れはあるのでしょうがね。
結論を申しますと、3時間半など恐れるなかれ!と、あいなります。
内容が攻めすぎてて最高
スコセッシ作品の中でもトップクラスの完成度
軽く見れる作品ではないが、見ごたえは今年一番だと思う。
食事に例えると高級レストランのディナーだ。
定食やで食べたい観客は長さに辟易するだろう。
だた、その分ストーリーのち密さ、演技の意味など様々な点で余韻が長続きする。
因みに私はしばらく気分がいい意味で悪くなりました。
ハエとラストシーン、キングとモリーなど多くの印象的なシーンがある。
ネタばれになるのでが、ハエについては鑑賞後意味を調べてみることをお勧めします。以外と解釈が広がりました。
最後のシーンは完全に自分たちがこれをネタにどれだけ楽しんだり、利用したりしたかを伝えにきてきましたね。カメラワークと音響的に自己批判も多少してる気がしました。
感服しました。
大作然とした作品
フラワームーン
幸いにして映画作品として俯瞰でみえているけど
あーゆうアーネストみたく天然で純粋なおバカっているな。
自分という個が希薄なぶん流されるまま何でもやってしまう怖さ。
犯罪に加担してると自覚しながらその自分に蓋して、目の前の幸せや享楽でそれを誤魔化すひと…
半径1メートル?くらいしか見えていない、愛らしく哀しき犠牲者にうつった。
遠目から眺めてる分には良いが近寄りたくはない。
さながら闇バイトのぬかるみにはまっていく人か
相続で揉めて一家離散なんて話はよく聞く
兄弟は他人の始まりっていう慣用句は真実かもしれない。
しかし血は水よりも濃いってのも真だし…
だから権謀術数、私欲で狡猾に周囲を陥れていくヘイルだが、甥御の娘の死を一緒に嘆いている(と思いたい)姿には、なかなか勧善懲悪な作品ではみられない可笑しみを感じた。
アーネスト、ヘイルそしてモリーも含め、人の機微というか明暗というか表裏というか自己矛盾といか、をまるごと描いていて印象深かった。
親子や夫婦や血縁や友情や、何かとソレらしく語られる「信頼」や「絆」。
その危うさと脆さをみた。
あとちょっと長い気も
1920年代インディアンが豊かに暮らす社会で起きた実話をもとにした映画
1920年代に起きた実話を元にした映画。
スーツを着こなしクルマを乗り回す裕福なインディアン達(オセージ族)の街が登場する。彼らの中には白人の運転手や白人の女の子をメイドとして雇っている者もいる。初めて見る不思議な社会が描かれる。この裕福なインディアンを食い物にしてやろうと白人の悪党どもが暗躍する。結局、この悪党どもはインディアンなど人とも思っていないので、彼らの財産を奪うため、平気で騙し、ぼったくり、悪法を成立させ、そして次々とインディアンを殺していく。主役のディカプリオのダメ男(小悪党)っぷりは憎たらしいのだが、インディアンの妻を愛していたり、何せ主役だから感情移入して憎みきることはできない(ディカプリオの上手さなんだろうな)。ディカプリオを利用し、慈善事業などでインディアンの心を掴んでいるロバート・デ・ニーロの悪党っぷりはひどい(悪事を働くことになんの躊躇いもない)。
なぜこんな社会が成立したのか、そしてどのようにして彼らの財産を白人達は掠め取っていったのか、またアメリカ社会はどう動いたのか、興味深いのでこの映像で是非確認してください。
スコセッシらしい視点からのストーリー展開である。3時間半にわたる長い映画だが、ひとつも飽きさせることのない素晴らしい作品である。
狙われたオセージ族
スコセッシ、今だ衰え知らず。
今年観るべき映画の一つではなかろうか
凄かった。
評判通り、3時間半を全く感じさせない面白さ。中弛みなく集中してしまったよ。
アメリカの歴史上、先住民と移民である後から入ってきたヨーロッパ人との戦いの痕はまだまだ根強く残ってて、サンクスギビングデーも色々な反応があることはアメリカで学んだことの一つだけど、具体的に知っている話はなかったので、とても勉強にもなった。
侵略者としか思えない、後から来た人々の鬼の所業に怒りを覚えると同時に、多分元々はそこまで極悪人ではなかったであろう、アーネストがどんどん周りに染まっていって自分軸を失っていく所に胸が痛んだ。
おそらくモーリーは彼の根っこの人の良さみたいなものは見抜いてたと思う。
優しくて繊細で弱くて狡賢い役がピカイチ上手いディカプリオはもちろん、デニーロのあの善人顔した極悪人っぷりが堪らなく良い。
あの人当たりの良さは騙される。
俳優陣が全員良かったのもあるし、始まり方も、ラストシーンのまとめ方とかエンディングとかも、なんか上手く言えないけどとても心を掴まれたわ。
長さに躊躇せず、とにかく観て欲しい作品だった。
これは知るべき史実でもあり、今年一番なんかすごいものみたわね!という感動があった映画でもありました。
欲にまみれた人間の醜悪さ
欲にまみれた人間の醜悪さは見ていて辛くなるが、でも物語の題材としての価値は十分にある。本作もそうだ。アメリカの先住民オーセージ族に起こった実際の事件が題材。石油が発掘されたことで巨万の富を築いた彼らの財産を、白人たちが狙っていく話。子どももまで産ませておいてそんなことする?と思ってしまう。あんな事ができるのは時代なのか、欲に目がくらんだからなのか。いずれにしても先住民たちを人間として扱っていなかった白人たちの感覚が色濃く出ている事件だ。昔を描いた物語なのに、現代のことを考えてしまう。
当時の社会情勢や町並み、いろんなものを再現させた努力はすごい。冒頭のディカプリオの歯が若干汚れた感じなのもうまい演出。そうだよな、西部劇のように銃で簡単に人が生き死にしていた時代なんだということを改めて思い知らされる。
欲にまみれた人間たちの醜悪さと、その中に存在した愛。人の感情はなにか一色に染められているわけではなく、いろんな思いが点在し混じり合った抽象画みたいなもの。そんな事を考えさせられる大作だった。ディカプリオと妻役のリリー・グラッドストーンの演技がとにかく凄みがあって印象に残る。
ただし長い。もう少し短くできるだろうよと思ってしまう。
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