劇場公開日 2023年10月20日

「観る側の受信機設定次第です」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン かつのじょうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観る側の受信機設定次第です

2023年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

上映時間3時間26分ときくと「うへぇ」と思いますよね。
私も若い頃はマーティン・スコセッシ作品は「長い」「重い」イコール体力のある時でないとダメ、と思っていました。
でも10年ちょっと前にWOWOWでドラマ「ボードウォーク・エンパイヤ」を観た時に毎回おまけのメイキング映像と関係者インタビューをやっていて、各シーンの細部にいたるまでどれだけ登場人物の性格や心情にこだわって撮影しているのかがわかりまして、そのおかげでスコセッシ作品を観る際には自分の受信機設定をスコセッシのテンポとリズムに合わせるようになりました。すると、まぁドキドキワクワクとはいきませんが、内容をじっくりと味わうのが心地よくなってきて、長くてもお尻が痛くはならないのです。

私は、この作品で描かれたようなアメリカの歴史は知りませんでしたし、そうだったのかという発見もありましたが、なんか、働かずに大金を得て家事すらしない(ように見えました)被害者とお金に群がるだけの加害者という、基本的に働き者で貧乏性の日本人としてはまったく共感しない人々のお話でした。後半に登場した捜査官が仕事熱心なのにちょっと救われたかなぁ。急に大金を得ると不幸になるということですかね。日本で宝くじ当選金をとりに行かない人が一定数いるというのもわかります。
でもディカプリオとデニーロの存在感と演技力のおかげで、人物の多面性や複雑さ、悪役といいきれない魅力が醸し出されてよかったです。人間って奴ぁ、しゃあない奴っちゃなぁ…という気持ちになりました。

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かつのじょう