劇場公開日 2023年10月20日

「白が毒する」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0白が毒する

2023年10月24日
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鑑賞方法:映画館

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ディカプリオが特別捜査官であるトム・ホワイトを演じていたら差し障りのないサスペンス物として勧善懲悪が長時間の尺を退屈にしていたようで、疑心暗鬼になるヒロインを庇いながらの捜査を邪魔する大袈裟な悪役でしかないデ・ニーロが想像出来るし、ディカプリオが演じたアーネストは小悪党の添え物にしかならない存在であったかもしれない、悪側の目線で繰り広げられる物語がスコセッシの大傑作『グッドフェローズ』や前作の『アイリッシュマン』を彷彿とさせられる演出が垣間見れ、善悪の判断が付かないようで言われるがままに悪戦苦闘するディカプリオに軽薄なモノを感じながら少し笑える間抜けさヲ、デ・ニーロの悪代官っぷりが絶妙に嫌らしくてスコセッシが描いてきたギャングを詰め込んだ集大成的キャラに地味ながらも思えたり。

後のFBIが本格的な捜査に乗り出してからのチクリ合戦がテンポ良くスムーズに解決される展開で雑に感じたり、賢そうな凛とした表情のモーリーがアーネストに惹かれる説得力が薄いようで、物語も終盤に失速気味な印象も後日談を描く演出がスコセッシの出演を含めて驚かされた。

音楽を担当したThe Bandのロビー・ロバートソンの母親はモホーク族のインディアンでもある訳で本作との相思相愛、御冥福を。。。

リリー・グラッドストーン、見たことある顔だと、半信半疑で確信しながら大正解、ケリー・ライカートの秘蔵っ子は言い過ぎにも『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』で印象的な役柄を演じていた。

スコセッシの看板役者である二人がスコセッシ監督作で夢の共演、ディカプリオとデ・ニーロが演じたのは単なる小悪党でしかない、勧善懲悪の裏側にある悪を中心に連日ワイドショーでネタになるような事件に思えたり、史実の歴史を学んだらそんな冗談も言えないだろう、パンフを作らない罪と原作はマストか。

万年 東一