哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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善意の自慰
流石だなぁ〜、って感じでした。好き。好きだけども長いッ笑 ハルクターンはもっと削っても…、いや必要か。たぶん本気で好きにしたら後半の将軍ターンも延びて4時間超えだったのでしょうね。昨今色々と言われるけれども「プロデューサー力」ってのも大事なんだなぁとトンチンカンな感想を抱きました。
一見、男性陣を愚かしく描いて〜風に見えたりもしますがさにあらず。やはりこの監督の視点はフラットで素晴らしい。なんなら一番吐き気がするのが「ベラの施し」である所。アレが意味を為していない処か、(問題はあれど)恩のある人を窮地に追いやっている様は、滑稽を通り越して胸糞悪かったですねー(たぶんそれが狙い)。終わり方も個人的には「オエッ」でしたが、話全体の纏まりとしては秀逸でした。
自分の感覚をフルに刺激される映画
あらすじだけ読んでいったのだけど、想像を遥かに越えて凄かった!!
発想・衣装・背景の建物群、世界観全てものすごく好みで、最初から最後までずっとベラの変わりゆく視点に合わせて変化していく衣装や小物やセットにわくわくした。
ベラが成長過程でスポンジを吸収するように体験から得ていく全てのものが、最終的に彼女が女性として成長した後に、彼女の価値観や倫理観に繋がっていくことに心が震える。
冒険と成長はセットだよね。
彼女が成長するにはあの素敵な豪邸を出て、彼女の自由さを愛して好奇心を満たしてくれるスポンサーとお出かけし、見聞を広める必要があったのね。
家でどれだけマナーを教えても、色んな人と出会って他人から見た自分がどんなかを自分で学ぶまでは、必要なことはよくわからないよなと思った。
性的なことはその人の隠せない本質が顕になることの表現なのかなと思ってみてたけど、色んな欲望を隠しながら人は生きてて、それを全部出しても良い場所に来たらその人本来の人間性みたいものがバーンと出てしまうだろな。
文字通り丸裸になった人間をベラの純粋な観察眼でたっぷり観察してまた彼女は成長していく。すごい。すごくよくできてる。
さぞかし多い学びがあっただろう。
衣装はコルセットをつけてない時のリッチに生地を使ったフワフワのお袖のドレスもものすごく可愛いけど、カチッと型通りに着られた赤いドレスもすごくすごく素敵だったなー。どれもこれもうっとりで、新しいドレスで現れる度に隅々まで眺めてしまった。
建物がまた素敵で、窓!窓がものすごく凝ってて素敵だった!!
住みたい。
とにかく自分の感覚をフルに刺激する映画だったなと思う。
凄いものみたな。
見どころは多い
人体実験の被験者の成長譚である奇譚
ストーリーが奇想天外かつ演出が強烈で『奇譚』という表現が似合う作品だろう。
人体実験の被験者としてマッドサイエンティストである外科医・ゴッドウィン(ウィレム・デフォーさん)により脳の部分に赤ちゃんの脳を移植された成人の身体を持つベラ(エマ・ストーンさん)。
ベラの行動は言われてみれば/子育て経験があれば分かるだろうが子供の成長過程をなぞっていくものである。
ベラの成長は周囲の大人からみると急激であり、人間の欲求のひとつである性欲もストレートに表現するようになっていった。
ベラの行動は少しずつ成人の行動に近づいていくが、
・ゴッドウィンの教え子の医学生・マックス(ラミー・ユセフさん)
・ゴッドウィンとマックスを結婚させるための手続きを担当した弁護士・ダンカン(マーク・ラファロさん)
・ベラとダンカンの旅行中にクルーズ船で出会った乗客
・船から追放された後のパリの売春宿の客や労働者
などとの出会いや交流の中で、本能的行動と人格形成のアンバランスに周囲が振り回されながらも、ベラがひとりの人格を持った成人に近づく過程が興味深く観ることができる。
性欲の発露の描き方が故・大島渚さんの『愛のコリーダ』とは違う描き方ではあるが直接的であり、R-18指定も止むなしかと思った。
人体実験の被験者がストーリーに登場する作品としては個人的には大友克洋さんの『AKIRA』や貞本義行さん+庵野秀明さんの『新世紀エヴァンゲリオン』が印象的だが、この2作品をご覧になった方はベラの生き様と『AKIRA』の被験者たち・『エヴァンゲリオン』の綾波レイの姿と比べてみるのもアリかと思う。
元々彼等が非人道的な実験の産物であり、物語の終盤に登場するある人物の最後の姿の描き方が妥当かどうかは意見が分かれるだろう(個人的にはあまり好ましいとは思わなかった)。ベラにとっては明るい結末だが…
ピンホールカメラや魚眼レンズを使ったカメラワークや、モノクロから総天然色に移行する映像は、ヨルゴス・ランディモス監督の得意なスキルが反映されているようである。
世にも奇妙なものがたり
好きな監督の作品だったため、事前情報はシャットアウトして観賞。自分の子供の脳を移植された無垢な女性(肉体は大人)が社会の良識とやら(いわゆる男性的な社会)を経験する「冒険」を通じて、生きる自由を得る、というのが大まかなストーリーです。
なにがすごいってエマストーンの演技。最初と最後でキャラクターの表情の変化よ!同一人物だとは思えないほどすごかったです。こんな難役、今の日本の若手俳優にできるかよ!って。唯一可能性があるのは満島ひかりさん。やらないだろうけど笑
不満点挙げるなら、R18禁シーンが多すぎる。品がない交わりの連続で男女ってバカだなという視点を監督があえて意図的に放り込んでいる嫌いもあるが。だとしたら狙いは的中。
事前情報では純粋なベラの明るい世界旅行(冒険譚)と思っていたが、やっぱり一筋縄ではいかないヨルゲンランティモス監督。性差別、貧富の差など社会課題を次々にベラに提示していき、ベラはその解決に向けてまさしく体当たりでぶつかっていきます。そして、最後に山場があります。最後にベラが出した答えは?これは劇場で。
この監督の作品が気になったなら、「ロブスター」「聖なる鹿殺し」はおススメです。
追伸
この後、お昼挟んで好きな監督アリアスターの「ボーはおそれている」観賞します。1日でげっそりしそうです😱
グロテスクなれど美しき女性解放絵巻
成人女性の肉体に胎児の脳を移植された女性の不思議な人生を描くなんとも凄い世界観の映画です。ジャン=ピエール・ジュネやテリー・ギリアムのような不気味で異様なビジュアルにも圧倒されます。精神と肉体のアンバランスから、主人公の行動は、女性はかくあるべきと言う常識やタブーを軽々と乗り越え、女性を消費する男性優位社会への強烈なアイロニーになっているのが痛快です。監督のヨルゴス・ランティモスは、彼女の冒険譚を戯画風に描いていてファンタジーのようでもあるけど、一方でどぎついベッドシーンがやたらと多くバランスが悪いようにも感じました。映画としての完成度は高いけど、異様な作風についていけるかどうかは、観る人の好みによりますね。役者では、製作も兼ねるエマ・ストーンの独断場で、女優としてリスキーで異常な役柄を見事に演じ切っています。マーク・ラファロの主人公に翻弄されるクズ男振りも、いい味わいです。また、慈愛あふれるマッドサイエンティスト役のウィレム・デフォーも素晴らしかったです。
なんじゃこりゃ?!
面白すぎるじゃないかー!!
中世なのか近未来なのかの、衣装も装飾も映え過ぎる!
自ら命を絶ったベラは、天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって
自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生。
成長していく過程で、
「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられ、
弁護士ダンカンに誘われ、大陸横断の旅に出る。
身体は大人の新生児の感覚で世界を見つめるベラは、
時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、
驚くべき成長を遂げていく。
ということで、簡単に言えば、
女性の自立要素多めのベラの成長冒険物語。
ウィレム・デフォーのゴッドの存在感も半端ない!
父親からの虐待でしかない教育的実験の話に悲しくなり、
でも、それで天才になったのかも知れないという、なんとも切ない気持ちになり、
それでもベラと生活する中で、親のような愛情を持てたゴットは幸せだね。
ゴッドとベラのお別れのシーンには涙がこぼれちゃいました。
元夫への後始末も最高!
エマ・ストーンの一人勝ち
面白いのは間違いない
毒親育ちの人は見てみたらいい
哀れな自分との共存
わからないけど
大傑作との評判にイメージしていた内容と全く違う、観たこともないぶっ飛んだ映画でした。
SFコメディに分類されていますがSFでもコメディでもないですね。
カテゴリーと無縁、前代未聞の圧倒的なオリジナリティと驚きに満ちた映画、、観ている間中ずっとジェットコースターに乗って落ちないようにしがみついているような?!
まだよくわかっていないし誰にも共感できなかったのにジワジワ心にくいこんできて、、誰かに話したくなるけど人に薦めるのも難しい。
初めての感覚です。
今は共感できることが正義のように思われているけど、全く未知の新しい世界観や全く違う生き方に共感できなくてあたりまえ。
日々、共感の檻にとらわれている脳天を一撃されて、パッと世界が開けたようなすがすがしさ、カタルシスがありました。
自分の運命を引き受け、自分の生き方や幸せは自分でさがす。
誰かを基準にしたり誰かをうらやんだり誰かのせいにするんじゃない。
自分の人生を自分で生きる圧倒的な強さ、潔さと異文化の世界観を見せつけられるものすごいトリップ感。
映画でしかなしえない表現の可能性を最大限に実現した作品に拍手!!
ただ幸せや悦びがあまりにあちら方面に偏っているところは違和感がぬぐえず、、
(他の幸せや悦びもあるよなぁと)
個人的にマイナス1。
映像、俳優陣、不可思議な音楽は最高に素晴らしかったです!!
地獄の社会科見学
なんで観に行った…?
考えてみると、私の興味を引かれない要素ばかり。
ゴシック、露悪的なエロ、「赤ちゃんの無垢」が価値を相対化する…ランティモスの監督作じゃなかったら選ばない要素のてんこ盛り。
でも、観てよかったとは思った。
フェミニズム的な切り口としてはそこまでエッジが効いてるわけではなかったけど、巷では謎のヒットを記録してるという。
振り返ってみて、まず脚本がすごいスムーズだったなあと思う。
この手のコスプレものにありがちな退屈な間がなくて、ポンポンとテンポ良く場面が展開する。
YouTubeでダンスシーンの動画を見返したけど、ダンスが終わるや否や、次の乱闘パートのきっかけが発生してる。たぶん終始こんな調子だったから、全体的にスピード感があったんだと思う。
ダンスシーンでいえば、あれは2人の関係性をまんま集約した場面だと思うので、見事な場面ではあるけど、同じことを二重に語ってるなとも思う。
しかしソシアルダンスって洗練されたセックスのメタファーに見えるので、原始的な衝動に従ってマナーもへったくれもないエマ・ストーンが圧倒するってのはあり得ない気もするけど。
男がリードして女を踊らせるのが本来のマナーで、その力関係が逆転するって意味で作品の流れには矛盾しないんだけど。
原始的なパワーが硬直化したシステムにカウンターを食らわせる、って大抵は退屈になりがちなネタだと思うんだけど、なんだかんだ最後まで楽しめてしまったので、そこは謎の手腕と言わざるを得ない。
ウィレム・デフォーの役がおいしい。特殊メイクが似合いすぎ。
本来ならとても悲惨なことばかりなのに、どうにもその感じがないっていうクールさ。
基本は地獄めぐりのように、外の世界を物見遊山してるだけだからかも。
一方でベラが直視する「現実の実相」も、あくまで安全な場所から覗き見ただけで、実際に巻き込まれて身動きできなくなるわけじゃない。
その後、所属する西洋社会の最底辺に落ちたかに見えても、持ち前の美貌と知性で軽く乗り切ってしまう。
自分は実験体と言い切って我が身を嘆いたり憐れんだりすることがないから、こんなにカラッととしているんだろうな。これは男のためのミサンドリー映画であって、ベラはそれを成立させるためだけのスーパーヒロイン。
人造人間だから、原罪である恥の概念もないっていうね。でもそれ「哀れなるもの」じゃなくない?
そういう意味で前作「女王陛下」で汗をかきまくった人間味あふれる女たちの方がまだ応援したくなったのは当然かも知れない。
豪華な動く絵本のようなビジュアルや、絶妙に耳障りな音楽など、劇場で観てよかったなとは思う。
ただ、知らずに予告を見た知人は「知的障害の人かと思った」と。確かに前情報なしでベラを見たらそう思ってしまうのもわかる。
精神の発達が肉体より著しく遅れてる、ってつまりベラの状況そのもの。
だとしたら、こんなに無責任に楽しんでていいんだろうか?製作陣はそこまで織り込み済みかも知れないが、観客の側はそうでもないんでは。
これでよかった、、気がする、、
友達に勧められて観ました。最初は共感できる部分が全くなかったけど、物語が進んでいくにつれ、SFだけどリアリティーっぽさもあり、人間味もありで共感できるところはいくつかありました。
ただ性的な表現が多いため1人で観に行くのおすすめします。
賛否両論ありそうな映画でしたが、私は観てよかったと思います。
衝撃が…
この映画に出会えて嬉チーズ
天才外科医のゴッドによって蘇ったベラは、体は大人だが知能は幼児レベルという女性。
ゴッドの屋敷で大切にされてきたが、人と関わり知識を増やしていく中で外の世界を見てみたいと思うようになる。
ゴッドの助手のマックスと婚約することになるベラだったが、婚姻届の作成のためにやってきたダンカンという弁護士と急遽駆け落ちしてしまう。
リスボン、アレクサンドリア、パリと世界各地を転々とする中で、彼女は着実に1人の女性として成長していき……
やっと観れた。
大好きなヨルゴス・ランティモス監督の楽しみにしていた最新作。
今作もただの女性の成長物語では終わらないトガった作品ではあるが、今までの作品とも明らかに違う雰囲気。
ここまで解放へと向かうハッピーエンドは初めて。
独特の世界観であったり、性に奔放なベラの人間性だったり、勿論異色さも十分感じるのだが少々毒が足りないようにも。
これはこれで良いが、今までのヨルゴス・ランティモスを期待して行った身としては少し複雑な部分があった。
とはいえ、相変わらずセンスの光りまくる映像には驚嘆させられたし、ストーリーもかなり面白く、好きだと大きな声で言いたくなるような映画だ。
手術を受け、全く新たな人間として生まれ変わったベラ。
世の中を学び、性に目覚め、世界に出て、色を見る。
そして永き旅を経た彼女は、人を知って、自分を知る。まだまだ彼女の旅はこれからも続いていくだろう。
人間は哀れな生き物だ。
欲のままに行動して失敗し、それを繰り返す。
だがそれは同時に、探求し続けることのできる生き物だということ。
知的好奇心の塊である我々は確かに“哀れなるものたち”なのかもしれないが、全く新たな世界へ踏み出せる力を持っている。そうやって人類は今日まで繁栄してきたのである。
今作はそんな監督なりの人生讃歌、人間讃歌のようにも感じられた。
新感覚のフェミニズム映画とも言えるだろう。
男を下劣な存在とただ貶すのではなく、男女の性を分けて描きつつも性別に縛られずに女性が勝利を掴み取る物語として描き切っているのがとても好感。
過激なシーンも難なくこなしたエマ・ストーンがプロデューサーとして作品に大きく関わっているのもまさに象徴的だ。
前作でヌードを自ら提案したエピソードも好きだが、今回もより攻めの姿勢が伝わり、女性としての芯の強さを感じてかなり好きになってしまった。
人体改造という倫理的に難しいテーマでありながら、珍しくかなりソフトに仕上げてある。
ゴッドの一連の行動は正しかったか?という点は一概には言えないが、否定したくないどころかそこに愛を感じられた。
前夫のアルフィー以外、みんな人間味に溢れていてなんだかんだ愛すべきキャラクターたちなのだ。
笑えるシーンが多かったのも印象的。
特に「3つのことだけ言うんだ」のシーン、恒例のヘンテコダンスのシーン、娼館でのおかしな客たちとのやり取りは声出して笑ってしまった。
ラストシーンのカタルシスも最高だった。
今年のアカデミー賞では11部門にノミネート!
頼むから何かしら獲ってくれ。
今年のオスカーイチオシです。
ヨルゴス・ランティモス監督作暫定ランキング
1.籠の中の乙女
2.聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
3.ロブスター
4.哀れなるものたち
5.女王陛下のお気に入り
ヨルゴス監督の計算された奇妙な物語とエマ・ストーンの怪演
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