「ベラが魅力的!」哀れなるものたち Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
ベラが魅力的!
医学の発展と実験のために、まるでフランケンシュタインのように養育された天才外科医と、お腹の子の脳を移植されたフランケンガール。蘇生した美女が世界をめぐる冒険と大胆な性愛の遍歴を経て、自由で自立した大人になるという夢のような物語。
『フランケンシュタイン』は愛と絶望、孤独、悲哀を描いた名作だが、彼はセックスと政治を語らなかった。ゴッドが蘇生させたベラが、高らかに精神の自由を語るという点は、次の世代へのバトンタッチのように感じた。
旅に出ることを反対されたときベラが言う。「心を憎しみで汚されたくない。」
男たちはベラの自由奔放さに危険性を感じるが、女はセックスしたって汚れない。精神の自由を奪われたときに憎しみで汚れるのだ。
それがわかっている女たち(メイド、船の老女、娼館の女主人、娼婦たち)は、ベラの自由奔放さに違和感を感じていない。そのままのベラを当たり前のように受け入れ、丸ごと認めている描写が良かった。
物語が進むに連れ、女神の化身としてのベラを女性としてだけでなく人類の理想に仕立ててくる。
あなたの人生はあなたのもの!あなたはそのままで完璧!と、毒親やハラスメントで苦しむ全ての人にエールを送っているようだった。同時に、ゴッドや助手のように、間違いに気付いたら人は成熟できるという救いのメッセージも受け取った。
私はベラという魅力的なキャラを一生忘れないだろう。「こんなときベラならどうするかな?」っていつも想像すると思う。
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