「また「女はイノセンス/男は醜悪」系映画ですか」哀れなるものたち Jongoさんの映画レビュー(感想・評価)
また「女はイノセンス/男は醜悪」系映画ですか
去年『バービー』でも思ったことだけど、この手のいわゆる"フェミニズム映画"に出てくる女性ってみんな善玉で、一方的に搾取したり束縛したり型にはめようとする悪玉はいつも男性な気がします。でもそれって本来、性別に依存する問題じゃないと思うんです。
もちろん、男性が女性に強いてきた事例の方が多いのは事実だと思うんですけど、やはりあそこまで悪玉が男性に偏ると、どうしても「男はみんなろくでなし」のように受け止めてしまいます。
この極端な構図は、20年前なら「これくらい言わないと分かんないもんな!」と僕も思えたと思います。だけど、例えば去年『TAR/ター』では「結局お前おじさんと一緒やないか」というケイト・ブランシェットを見せられました。搾取構造は性別に起因するものではないと思うのです。
また、一昨年『ドント・ウォーリー・ダーリン』では「女は家にいろ」という男の理想をホラーとして描いていましたが、進んで専業主婦になる女性もいれば搾取構造を支える女性もいました。「男vs女」という単純な構図から脱却した時代になったのだと思いました。
だからこそ『バービー』での「男ってこういうところあるよね」という挑発的な描かれ方や、今作における「男にしか出現しない独占欲とプライド」には「未だに個人の問題を性別に起因しているような描き方をするのか」と辛い気持ちになりました。
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