PS2 大いなる船出のレビュー・感想・評価
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なんとなく「大河ドラマ」の序章を見せられた気分、ラストの字幕を「PS3」で映画化して欲しい
2024.6.19 字幕 アップリンク京都
2022年のインド映画(165分、G)
『PS1 黄金の河』の続編
原作はインドの古典『Ponniyin Selvan』
監督&脚本はマニ・ラトラム
物語は、前作にてチョーラ王国の皇太子アーディタ(ヴィクラム、若年期:サントーシュ・シューリラム)の弟アルンモリ(ジャラム・ラビ、少年期:サントーシュ)とアーディタの配下デーヴァン(カールティ)が乗った船が沈没した後を描いていく
冒頭は、アーディタとナンディニ(アイシュワリヤー・ラーイ、若年期:サラ・アルジュン)の若き頃を描き、彼らがチョーラ王朝によって引き裂かれてしまった経緯が描かれていく
ナンディニが出自不明の孤児だったために王朝を追われることになり、彼女はその後、チョーラ王朝の敵国パールディヤに潜んでいた
ナンディニはアーディタに父代わりのパーンデイヤ(ナサール)を殺されたことを恨んでいて、その復讐の機会を窺っていた
彼女は、チョーラ王朝の財務大臣パルヴェート(サラトクマール)に見初められて結婚し、王朝内部に入ることになった、という流れがサラっと描かれていく
その後、アーディタは単独で岸に上がり、アルンモリは彼を慕うプーングラリ(アシュワリア・ラクシュミ)に助けられる様子を描いていく
アルンモリは仏教寺院にて保護されていたが、その噂は風に乗り、チョーラを転覆させようと考えるパーンデイヤの残党、王朝内の不穏分子などが暗躍していく、という流れを汲んでいた
後編はアーディタの悲恋とその落とし前が前半になっていて、後半はアーディタの死を巡って、チョーラ王朝内部の内戦状態になっていく状況を描いていく
アーディタの死をアルンモリの仕業と断罪し、アーディタの配下に内戦を起こさせる流れになっているのだが、かなりややこしい感じになっていて、人物相関図を完全に把握していないと後半の動きはほとんどわからない
パンフレットには相関図がある(1と2共通)ので、それを頭に入れるしかないのだが、人物が多すぎてハードルが高い
そもそも人物の名前がめっちゃ長くて覚えにくいのが難点で、だいたいひげ面なので見分けるのも至難の業だと言える
特に内戦になると、どっちもが同じ格好をしているので、さらにややこしくなって、戦いの中で誰が死んだのかもよくわからない感じになっている
戦いは王位をめざしていたマドゥランダカ(ラフマーン)がアルンモリ側に就いたことで勝負ありで、その後の戦いは余興に近い
戦果を挙げたアルンモリが次の王として戴冠することになったが、それをマドゥランダカに譲るという展開になっている
だが、映画のあとに語られるのは「マドゥランダカ後にアルンモリが王位に就いて、そこから王朝は飛躍した」みたいな文言があるので、ぶっちゃけ「大河ドラマで延々とやった方が良い話」のように思えた
「ポンニ川の息子」がタイトルの意味なのだが、そう呼ばれたのは実はアルンモリでした、というのを終わってから暴露するのは無茶だったように思えた
いずれにせよ、前編を観た人は観ざるを得ない内容だが、次の章で「アルンモリが戴冠するところ」まで描くのが筋だったように思う
シークエンスごとに主人公がコロコロ変わる印象があり、後半ではデーヴァンの活躍はほとんどないように見える(実際には内戦で大活躍している)のは微妙だと思った
せめて、内戦の功績によって昇進し、国防大臣(あるいは将軍)ぐらいの地位になっても良かったと思う
おそらくはアーディタの妹クンダヴァイ(トリーシャ・クリシュナーン)とは相思相愛なので、この恋愛譚をきちんとゴールさせて欲しかったなあ、というのが正直な感想である
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